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また、降ってきた
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さっきまで晴れ渡っていた空が、遠い雷鳴と共にあっという間に黒い雲に包まれる。重く垂れ込めた雲から大粒の雨粒がボツボツと乾いたアスファルトに黒い染みを幾つもつけ始め、それはすぐに物凄い勢いでザアッと街全体を覆ってしまった。夕立だ。
どしゃどしゃとバケツをひっくり返したような雨に見舞われてしまった
源 竜世
は、慌てて手近の軒下に飛び込むと、ぶるぶるっと子犬のように頭を振って水滴を飛ばした。
道路のアスファルトには小さな水しぶきがビチビチとあがり、鼻先には軒から溢れる雨がボタボタと落ちてくる。突然色を失ってしまった周囲に、竜世の眉間に皺が寄った。
(まいったな、やまねーかなー)
傘など、持っていなかった。だって出る時降ってなかったし。
天気予報など気にも留めない性格の竜世は、よくこういう事に見舞われる。濡れてしまった自分の服をぎゅうと絞っていた竜世の手がふと止まった。彼は顔を上げると、頬に雫を伝わせながらアンバーの瞳に雨で霞む街を映した。
こんな時、兄ちゃんがよく迎えに来てくれた。
俯いて走るオレの名前を雨音に混じって呼ぶあの声。
顔を上げればいつも傘を持った兄ちゃんがいた。
そんで笑顔でオレの濡れた頭をわしゃわしゃと掻き回して言うんだ。
「帰ろう、竜世」って。
雨に覆われた街。竜世は顎から雫をぽたりと垂らしながら軒下に立ち尽くす。じわじわと寂しさが足元から立ち上った。
どれだけ目を凝らしてもこの雨の中に傘をさす兄の姿はない。どれだけ待っても、あの笑顔は迎えに来ない。
「―――くそっ!」
竜世は面影を追い出すように大きく頭を振る。また幾つか水滴が飛んだ。
「待ってちゃダメだろっ!」
そう小さく叫ぶと、竜世はぐっとその拳を握りしめ、雨の中に飛び出した。
来ないなら、自分で行かないと。自分の足で、辿り着かないと。
冷たい雨も、通せんぼする水たまりも全部踏み越え、前へ。
―――だって、誰も迎えになんか来ないんだ。
霞む雨の中その人影を認め、
タイラ・トラントゥール
は傘の下端正な眉を大きく上げた。
(ん? あれは……)
この土砂降りの中傘も差さず真っ直ぐに走る小さな人影。間違いない。
声をかけるか考える間もなく、タイラの喉から大きな声が飛び出ていた。
「竜世!!」
ずぶ濡れの一回り小さくなった子犬が立ち止まり、振り向いた。タイラは急いで彼の傍に駆け寄り、傘を差し出しながら言った。
「何をしている! また風邪を引きたいのか」
「……あれ、タイラじゃん。今帰りなのか?」
いつもツンツンしている竜世の髪がその頬に貼り付いている。少し笑みさえ浮かべながら濡れそぼち立ち尽くす竜世の腕を、タイラは戸惑いながらも雨から庇うように己の傘の内に引き寄せた。
(なんだコイツの顔は)
傘の下、タイラはまじまじと竜世を見た。それに何に反応する訳でもなく竜世は表情を変える事なくぼんやりとタイラを見返す。ぎゅうとタイラの眉根が寄った。
(何かあったか……?)
こんな笑みは断じてコイツの笑顔ではない。こんな、生気の抜けた笑顔など。
いつもコイツは弾けるほどのエネルギーで、うるさいくらい元気で。こんな雨に濡れたくらいでひしゃげる奴ではないはずなんだ。
どうした、と喉まで出かかった言葉をタイラは呑み込んだ。コイツにはコイツの事情がある。ボクが口を出すことでもないはず……だけれども……。
タイラがむうっと口を引き結ぶ。そしてポケットから上品なハンカチを出すと、ちゃっちゃと竜世を拭き始めた。
「傘はどうしたんだ」
「ないけど」
竜世の返答にぐあっとタイラが口を開けた。
「そんなの見れば分かる! どうせ忘れたか壊したのだろうが、ないなら迎えに出て貰うなり誰かに入れて貰うなりすればいいだろう」
「……誰もいないし」
「少しは頭を使え! ボクが通りかからなかったらどうするつもりだったんだ」
「走って帰る」
「また風邪を引くだろうが! 夏風邪はバカが引くもんだ!」
「じゃあオレバカなのかな……でもまだ引いてないよ?」
「そーいうことを言ってるんじゃなーい!!」
ガミガミガミガミ。小言を言いながらもタイラは手を止めずに丁寧に竜世の雫を払ってやる。勿論全部拭える訳もないが、自分の足元に水たまりを作っていた竜世の雫が、ボタボタからポタポタくらいにはなった。
「……あーもうこんなに濡れるとは、やっぱりお前はバカだ!」
ぐっしょりしてしまったハンカチを片手で軽く絞りながら、ギンッとタイラは竜世を睨む。その竜世は……ほわりと笑っていた。
タイラは思わずぱちぱちと瞬きをした。竜世が見せている笑顔は、先程のひやりとするような笑顔ではなかったからだ。心が滲み出るような、笑顔。
「……何故濡れてるのに笑うんだ、お前は」
そう言いながらもタイラの瞳には安堵の色が浮かんでいた。竜世が、戻ってきた。
ガミガミと言われてる言葉の半分も竜世の耳には入っていなかった。
(あれ……タイラがいる)
ぼんやりとタイラの頭を見た。いつも綺麗だなと思っている柔らかそうな金色の髪がひょこひょこと動いている。タイラが屈みながら自分を拭いてくれていた。
(どうして?)
上を向いた。そこには傘がタイラの動きにつられひょこひょこ動いていた。もう、雨は竜世を濡らしてはいなかった。
「また風邪を引くだろうが! 夏風邪はバカが引くもんだ!」
はっきりと、タイラの声が竜世の耳に届いた。ちょっと怒っているくせに何だか優しい言葉。それは竜世の心をむずむずとくすぐって。自然と竜世の口元が綻んだ。
(なんか兄ちゃんが来てくれた時みたいだ)
兄ちゃんはこんなに怒りんぼじゃなかったけど。それでも、兄の時みたいに嬉しさが立ち上ってくる。そうなんだ。楽しかったんだ、雨でも。大好きな人が横にいてくれたら。
「……何故濡れてるのに笑うんだ、お前は」
タイラの言葉に竜世は血色の戻った頬を上げ、まだちょっと濡れている鼻を擦った。
「へへ、タイラが来てくれたからいいじゃん!」
「―――別にこんくらいで風邪ひかねえって!」
声が脱衣所と風呂の洗い場を移動する。裸んぼの竜世は最後の「!」で、どぼんと広いバスタブに落ちるように浸かった。
「うるさい! バカを証明したくなければ浸かれ!」
シャツをキリリと腕まくりし、靴下を脱いで裸足になったタイラが、バスタブの竜世を見下ろしていた。
ここはタイラの家のバスルーム。
(コイツ家に帰ってもちゃんと風呂に入るのか……?)
そう考えたタイラに半ば引き摺られるように彼の家に連れてこられた竜世は、あっという間に裸に剥かれ、風呂に落とされたのである。
「お前の事だ、このまま帰っても適当に済ますに違いないからな」
ふふんと言うタイラの耳に「……はーち、きゅー、じゅー……上がる!」という声が届く。と同時にざばりと目の前に竜世の裸体が立ちはだかった。
「烏の行水か、お前はー!!」
タイラの怒鳴り声と共に竜世は再びバスタブに押し戻される。顎まで浸からされた竜世がむーと小さく言った。
「なんか……今日のタイラホントに兄ちゃんみたい」
「ん? 何か言ったか?」
こちらを見たタイラに竜世はぷるぷると首を振る。タイラは風呂の入り口まで戻ると、腕組みをしながらその縁に凭れた。
「ちゃんと温まるまでしっかり入ってこないと承知しないぞ」
「ハーイ」
観念した竜世は今度は早口で60まで数えると、ざぶんと一潜り。
「もうあったまった!」
元気にお湯から飛び出し、てててとタイラに駆け寄った。
「なあなあ、タイラ頭ふいてー」
「お前は! 髪を拭くことも出来ないのか!?」
ぽたぽたと雫を垂らす頭を見せる竜世に、タイラは呆れ顔。それでもふかふかのタオルで丁寧に彼の髪を拭き始めた。
湯気に包まれたバスルームに2人のいつもの声が響く。外の雨はまだ止まない。
―――竜世の服が乾くまで、温かいココアでも飲んでゆっくりしようか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年07月06日
参加申し込みの期限
2018年07月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年07月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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