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翠雨染め
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夕食を共に食べ終え満足そうな笑顔が二つ、夜の寝子ヶ海浜公園の淡い灯りの下に浮かぶ。
『ちょっと遠回りしていきませんか?』
そう鈴が鳴る声で誘われれば、当然のようにこちらに連れ立って歩いてきたわけで。
軽い足取りで歩く中、ゆるふわの三つ編みが時折海から吹く風になびけば、
白草 朱乃
はそっと片手で髪を抑える仕草。
その手首できらきら揺れるブレスレット。何度となく今日は目にしているはずだけれど、
呉井 陽太
の口元はやはり嬉しそうに微笑まれた。
自分が贈った物を、会う度いつでも身に着けて来てくれる彼女の温かな気持ちを実感して。
いつもフリルの多い可愛らしいイメージが、本日は真っ白な清楚ワンピースに小花が散りばめられた空色の半袖カーディガン。
アクセントの黄色い斜め掛けポーチには、こちらも陽太が手作りしたバッグチャームが揺れている。
またちょっぴり大人っぽくなった気がする? なんて時折横目で見つめながら、先程まで向かい合って食事していた風景を思い出せば陽太は口を開いた。
「またあのお店で朱乃ちゃんと食事出来て良かったよぅ」
「私もですの! 呉井先輩が前にオススメしてくれた通り、ナッツ入りの方のソーダブレッドもとっても美味しかったです」
頬を綻ばせた言葉が響く。
二人が初めて出会った、思い出深いアイルランド料理店での味を共感し合う。
『店員さん』だから詳しいんだ~、なんて冗談紡ぐ陽太に、『そ、それはもう忘れてください~~!』と恥ずかしそうに顔を赤くする様子に陽太の肩が揺れたり。
その肩から下がったワンショルダーバッグに付いた星のチャームが、ちゃりんと耳心地良い音を立てた。
それを視界にチラリと入れれば、朱乃の表情は今度は照れくさそうな笑みに変わる。
雨の中、それぞれの傘の中で味わう暫しのくすぐったい時間。
◇
―― ……雨が降ってるからかな。少しお腹の古傷が痛む……。
雨音と海の音に耳を澄ませ、景観を静かに眺め始めればどちらからともなく口数は減る。
一緒にいるコの笑顔で意識されていなかった事が、じくじくとした感覚と共に陽太へ思い起こさせた。
―― そういえば……オレ、朱乃ちゃんにまだ話してない事があったな。
『また今度話すよ』
そう言ったのはもう去年の話。彼女と水族館へ一緒に行ってはぐれて、とても慌ててしまった自分の姿浮かばせれば苦い表情を漏らす。
心配する朱乃へ何とか取り繕ったつもりだったが、今思えば汗だくで笑顔を見せられても説得力に欠けただろう。
話すならば今、だろうか。でも暗い話だし今度の方が……。
そう悩み始めた陽太の足元に、突如うごうごとまとわりつく植物あり。
蔓……と、葉? の間にアジサイだよな……色無いように見えるけど、薄暗いせい?
動いて見えるのも雨粒が当たってるからかな、なんてじっと足元に見入る。その陽太の横顔を、傘の隙間からそっと朱乃も実は見つめていた。
先程まで雑談していた時より、少し顔色が良くないように感じて。
―― 先輩、どこか体調優れないのかな……。
少しでも一緒にいる時間を引き延ばしたくて、この公園に寄ったりしたけれど。自分の我儘で大好きな人が無理をするなんて、もしそうだとしたら自分の事を許せなくなってしまいそうで。
そろそろ帰りましょうか、そう朱乃が伝えようかと口を開きかけた時、先に声を発したのは陽太だった。
「……あのさ、朱乃ちゃん。今度話すって言ってた話、なかなか話せなくてごめん」
「それは……覚えてます。けど、先輩がお話したいと思った時で私は全然……っ」
「今、聞いてくれる?」
「……はい。聞きたい、です」
朱乃の両目が微か見開かれた後、静かに頷かれた。
親友に話したものと同じ内容を口にするだけのはずなのに、また違った緊張感を自覚するも、その朱乃の表情と視界の端に映るアジサイとから陽太は背中を押された気がした。
今離さないと後悔する気がして。
振り絞った言葉へと、朱乃が受け止めるように正面に立ってくれる。
一呼吸置いて、陽太はぽつりぽつりと言葉を紡いだ。
「実はオレ、小学生の時に……デパートの屋上で人混みにまみれて親とはぐれて。
手を繋いでた筈の弟の手も離れて……見失ってさ。必死になって探してる時に通り魔にお腹を刺されて……」
予想外な言葉たちに、声を立てず朱乃は口元をはっと押さえた。
つい先日に、カフェにて過去の恋人さんの話を聞いたばかりだったのもあり、どこか、その続きかと思っていたのだ。
―― 刺されたって……一歩間違えれば……。
何年も前の話だとは分かっていても、目の前にいる陽太を映す瞳は思わずそのままの彼で想像し、蒼白する。
朱乃の表情の変化に気付くも、語り出したからには最後まで紡ぎ切ろうと、陽太は彼女を気遣う言葉を飲み込んで先を続けた。
「なんとか生きてたけどその時の事が未だに響いてるらしくて。
しょっちゅうではないけど……時々人混みの中ではぐれると慌てちゃうんだ」
情けなさから微か俯いて。
それでも、伝えるべき事を呟いた。
「でも、慌てるのは、また刺されたらどうしようとかじゃなくてさ。
はぐれたせいで何かあったらどうしよう、って……大切な人を失う事の方が怖くて仕方ないんだ……」
傷が疼くたび、心の深層でただただそれを抑え、想像が生み出す恐怖の闇を見つめるしかできない自分が思い返される。
沈黙が噛み締められる。それぞれの傘の内で反芻される一時。
本当は女の子に聞かせるべき内容じゃ無かったんだけど……そんな罪悪感も沸けば、陽太の方が先に沈黙を破った。
「……。暗い話なってごめんね……!」
「弟さん達、無事で良かったですの」
慌てた言葉に被さるようにして朱乃から贈られた言葉に、陽太はきょとんとした。
普通なら、痛そうな視線や同情の気持ちが浮かびそうなもの、なのに。ああ……本当にキミらしい……。
どこか驚いた表情でこちらを見ている彼を、真っ直ぐ朱乃は見つめ返す。
―― 何故あそこまで取り乱してたのか理由が聞けて納得しました。
「話してくれて、ありがとうございます。……気持ち、分かります」
一度瞼を伏せて。彼の語ってくれた事を胸に沁み渡らせてから、再び大きく瞳を開いた。
「でも。そう思うのは先輩だけじゃないです。多分弟さんも……同じ事を思った筈ですわ。
私も……――」
大切な人は貴方だから。
傘を持たない反対の手で、朱乃は陽太の掌へと触れた。
ビクッと震えたそれが心から愛おしくて。今度はしっかり掴む。
「自分も大事にしてあげて下さい。お願い、です」
これは譲りたくない。そう意思を込めてぎゅっと握り込んだ。
突然与えられた温もりに、驚きと戸惑いの色が陽太の目に浮かぶ。
もっと、もっと伝えられることがあるはず。
もどかしさから視線を動かした朱乃の視界に、もう一つの半透明なアジサイが揺れているのが入った。
陽太の足元にあったモノ、の少し後ろで、控えめに。でも、ここにも居るよと手を振るように小さく花弁揺らすアジサイ。
朱乃の唇が意を決して動かされた。
「私、今日先輩に言おうと思ってたことがあるんです。聞いてくれますか?」
「うん……勿論。今度はオレが聞く番」
律儀に窺って覗き込んで来る、強い決意宿す瞳に促されるように気付けば陽太は応えていた。
いつもは緊張が先に立って上手く言えないけれど……今日なら、きっと。
朱乃は唇を引き結んだ。お守り代わりに塗ってきたリップクリームから勇気をもらうように。
しっかり手を繋がれたまま、可憐な言の葉が未来を紡ぐために大切な相手へと向けられる。
「先輩の事を想うと胸が苦しくて、あったかくて、先輩と会うと楽しくて時間が経つのが早くて……離れたくなくて。
こう感じるのは、他の誰でもない ―― 呉井陽太さん、貴方が好きです」
貴方だから、こんな気持ちになるんです。
温かな空色の瞳が、熱の籠った光となって伝えてくる。
陽太の中に、何かが落ち、そして広がった気がした。まどろむように揺らいでいたものが確信となったように。
眼鏡の奥の目を細める。『そんなキミだからこそ話せたんだ』、無意識にこみ上げ音となって外に出そうになった時、朱乃が慌てたように、傘が落ちるのも気に留めず両手で陽太の口を塞いだ。
むぐ。
再び二人の間に流れる沈黙。互いにそれぞれの理由で困惑空気を醸し出している。
次第に水を吸い込み湿っていく朱乃の髪や服を目にすれば、とりあえず己の傘をその小柄な体に向けようとした所で、声が響いた。
「まだ心の準備が出来てないから……! 返事は今度、聞かせて下さい」
早口にて紡がれたかと思えば、朱乃の行動は物凄く早かった。
『今日は先帰りますねっ』と居ても立ってもいられないというふうに、落とした傘を拾ってあっという間に走って行ってしまった。
耳たぶまですっかりと赤く染まらせたのを振り切るように。
咄嗟に足が追いかけそうになったのを、陽太はぐっと堪えた。
今度、と言われたから。
それが彼女の望むところならば、今は従っておこうかと苦笑いをつくる。
―― ならば今度……やっとはっきりとした自分の気持ちを言うよ……。
言えずにいた事がやっと言えたかと思えば、ひたすらに自分の心を温める言の葉くれた彼女へと、また言う事が出来た。
大丈夫。これは躊躇うことはないから。もう。
そう決意を固め、陽太はゆっくりと帰路につく。
せめてちゃんと無事に家に着いたか、後でメールしよっと。そう微笑みを残しながら。
今は雨粒が落ち続ける、二つの傘があった場所。
そこに並ぶようにして在るアジサイも二つ。
先に染まったのは薄紫。露をその花弁で受け止め咲く、大輪の立葵のよう。
それに続くように、もう一つのアジサイが浮かべたのは唐紅。
今まで何度でも想い重ねてきた彼女の心模様を映し出したかのように。
雨に揺れる二つのアジサイ。蔦を絡ませ合って、悦びを分かち合っているふうだったとか ――
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あとがき
担当マスター:
蒼色クレヨン
ファンレターはマスターページから!
何とか萌え窒息という事態を免れました、この度執筆させて頂きました蒼色クレヨンでございます。
同じ色系統があったとしても、決して全く同じ色は無い皆様の本当に豊かなアクションの数々、
そして今回も全員様『色お任せ』として下さる寛大さ、本当に恐れ多くも喜びで打ち震えておりました。
お1人お1人執筆する度、当方自身をそのキャラ様色に染める勢いで全力イメージ膨らませながら、
選ばせていただいたお色となっております。
少しでも、ご満足いただくものとなっておりますように……!(震)
個人的にすごく楽しい色選びなんです、が。
次は(らっかみタイムで)秋くらいに、……だ、だめ? もういい?;
季節で花が変わると、また印象が変わってくる感じでソワソワ出す機会を窺い出す当方が
いる、かも、しれま、せん。
改めて、ご参加者様には書かせていただけてとても光栄でした。
誠にありがとうございました!
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ゲーム
オールジャンル
定員
15人
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15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月30日
参加申し込みの期限
2018年07月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年07月07日 11時00分
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