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―― そのまま沈んでいきそうになる。
自室の窓に曲線引く雨粒たちを、時折横目で見ては何度目かの息を吐いた。
今、
服部 剛
は手元に画集や美術書を広げている。
高校の友人たちの中には、己のこんな光景を見たら目を丸くする者もいるかもしれない。
『だから』雨が降ってるんじゃ、なんて軽口叩いてくれる者もいるかもしれない。
そんな人物たちに囲まれていれば、陽気に傘を差してお出かけと洒落込めたのだろうと思う。
しかし本日は休日にして、特に誰と約束するでも無い一人の時間。
あまり好ましく無い空気が充満する気がして、それを紛らすように美術書たちを引っ張り出したわけだが。
ふと、部屋の隅にある布をかけたキャンバスに目がいった。
その布の下には、竜胆花咲く星の海、海の彼方まで伸びる白い月光の線路、蠍の火、南と北に輝く十字。
―― 銀河を走る鉄道……あいつが好きな物語の絵。
それは、渡せなかった誕生日祝い。
考えるつもりはなかったのに、見てしまえばどうしたって手繰り寄せてしまう黒い碧の記憶。
剛は今日一番の大きな息を吐き出した。
「……ああ、あかん! これも雨のせいや!」
雨のあほー! とでも八つ当たりする勢いで、立ち上がり窓をガラッと開けた丁度その時。
今ノックでもしようとしていたのか、緑色の蔦が空振った蔓先を持て余すふうにうよんうよんと揺れているのを、色違いの瞳が捉えた。
ん? 蔦? ……とコレ紫陽花? え、ここ2階……
「ってか、何で動いてんねん!?」
びしり! としたノリ良いツッコミ受けて、なんでか蔦は喜ぶようにくねくねしつつ。
半透明のアジサイ背負っては、お邪魔しますと言うが如く窓の縁を上がって来る。
「……あー、まぁ折角来たんや。話し相手になったって。茶ぁくらい出……飲めんか」
見たまま、ありのままを広い懐で受け止めてから。剛は部屋中央に座り込み、アジサイと向き合った。
ただ独りでくすぶらせ、持て余すよりはずっとマシだろう。
そう至れば、剛の口から躊躇う事無く語り出される。
「俺、中学の時は荒れててん」
見えんやろ? なんて、アジサイに向かって一度満面の笑顔で歯をキラーン☆とさせ茶目っ気を浮かべるも、
その笑顔はすぐに、自嘲するものへと移り変わる。
「芸術の天才達に囲まれとった焦り、自暴自棄、他人と違う瞳の色、家に帰っても誰もおらん……目つき悪ぅて喧嘩ばかりしよったな。
……そんな俺に手ェ差し出して、気にかけてくれた女がおった」
当時の己の変化をなぞるように、強張った自嘲から微かに表情緩ませて。
「隣の席の奴で、明るくていつも笑うてて、まるで俺を見透かしとるような真っ直ぐな目ぇしてて。
でも、不思議と嫌にならんかった。
彼女は絵の天才やけど、勉強は苦手でな。よう俺に泣きついてきて、その度に教えてたら気づけばあいつに教える為のネタ探しをしてた」
お陰でさんで意外と勉強出来るコになったんやで、と口元を綻ばせ剛は続けた。
「あいつとおると楽しかった。何度も救われた
俺の手ぇ掴んで明るい所に引き戻してくれた親友。そう思うとる。
でも ―― 俺は……豪雨の海に落ちるあいつの手を掴めんかった」
半透明な水面に、くしゃりと歪んだ表情が映り込んだ。
月色した片目が落ちた前髪に隠れる。
「今も病院で眠っとるのに、俺は今を過ごしとる俺が許せんと同時に苦しくなる」
『なあ、聞こえる? 俺はここにおるよ』
ベッドの傍で、幾度問いかけただろう。幾度祈っただろう。
あのキャンバスを見てしまう度、時間を巻き戻したくなる。
自分が嵐の日に海になぞ誘わなければ……
誕生日の贈り物にあんな絵を描かなければ……
どこに戻ればやり直せるのだろう。願いは沈んでいくあの姿を思い出させるばかり。願えば願う程、夢で繰り返されるばかり。
忘れられたらなんて考えたこともあった。
すぐ後悔したけれど。
「苦しくても、忘れたない」
そう。例え時間を巻き戻せたとしても、彼女に出会う以前に戻ろうとは思わないのだ。
あの笑顔を無かったことにはしたくなかった。
あの笑顔があったから今の自分が在るのを、もうとっくに認めているから。
そこまで腹は括れているのに、時折こうして顔をもたげてくる薄暗い感情に、改めて未熟さを痛感させられる。
「……はは、あかんなぁ。俺」
分かり切っていたはずなのに、ちゃんと言葉にしないと整理出来ない自身の心へ情けない笑みを浮かべた。
すると、夜色の片目がアジサイの変化に気付く。
「あれ。お前、色変わっとらんか?」
一瞬、普通の紫陽花の色になったのかと思った。
しかしよく見つめれば、それは星々集まる銀河に物哀しさを広げたような、青藍色。
花弁の中央は、まだ半透明さ帯びていれば硝子の碧瑠璃にも似た不思議な色味。
「不思議なやなぁ。けど、なんや懐かしい感じもする。聞いてくれておおきに」
緑の切符手にしたら、こんな色たち沢山見れるんかな。
――……あいつに会いたくなったわ。
思わず湧いた想いに、確かめるように胸元をぎゅっと掴んだ。
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担当ゲームマスター
蒼色クレヨン
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ゲーム
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月30日
参加申し込みの期限
2018年07月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年07月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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