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【創立記念】B☆Iトリエンナーレ!
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黄土色の毛皮に包まれた身体は小柄、百獣の王であることを示すのは顔をぐるりと覆い胸元にまでふさふさ垂れるたてがみくらいなもの。肩を竦めて爪先だってびくびく歩けば、固い肉球も鋭い爪も何の役にも立ちはしない。
以前劇で演じた役ではそうだった。臆病さを隠して空威張り、けれど化けの皮がすぐに剥がれてしまう『臆病なライオン』の役。
でも、今回は違う。同じライオンの衣装のたてがみの上には紙の王冠を被り、肩には緋色にふさふさ縁取りのついた王様のマントを羽織れば、あのとき『臆病なライオン』だった衣装はあっという間に小さくて無邪気なライオンの王様に大変身。
背筋を伸ばし、手足を伸ばし、小さな王様ライオンは――演劇部の
恵御納 夏朝
はまっすぐに前を見て大股に堂々と歩く。
演劇の面白さはこんなところにもあると夏朝は思う。
衣装の基が同じでも、演技が変わればたちどころに別の役へと早変わり。
何にもないところでかっ転んでも、例えば『臆病なライオン』であったならうずくまってめそめそと泣いてみたりするのだろうけれど、今の役は『小さなおうさま』。ちびっこライオンは転んだくらいで泣いたりしない。
顔から派手に転んでも構わず、ぴょこんと顔を上げ、きょとんと首を傾げる。
「うにゃ?」
ぱちぱちと瞬いてから、はたと気づいて立ち上がる。エッヘンと胸を張り、元のようにのっしのっしとキャットウォークの端まで歩く。
出演者の多くが決め台詞を叫ぶ場所に立って、王様ライオンは口元に肉球の両手を当てた。
(最後は堂々と……!)
「来たれ、演劇部……にゃー!」
(堂々と?)
最後のにゃー、が『堂々と』に当てはまるかどうかはさておき、演劇部としての夏朝のパフォーマンスはここまで。
舞台袖に入る最後まで気を抜かず『小さなおうさま』として歩き切ってから、
「それじゃあ、鴉取君、小犬丸君」
夏朝は次に控える
鴉取 荘助
と
小犬丸 信乃
に瞳を向けた。
「出番だよ……!」
王様ライオン姿の夏朝に声を掛けられ頷くは、大ぶりな薙刀に黒い頭巾の僧兵姿の荘助と、水干姿の腰には刀、女物の着物を羽織った肩に解いた銀髪姿の信乃。
「はーい、行ってきますね~」
ひらりと軽く手を振り、まずは荘助が舞台に踏み出す。
(忠実に衣装を再現するのもだけど)
黒衣の裾をはためかせ、黒ずくめの僧兵は悠揚たる足取りで舞台から迫り出した道を辿る。
忠実に衣装を再現するのであれば頭巾は白であるところを、
――だってあんまり白は似合わないから
その一言で、黒頭巾に挿げ替えた。
(こういう虚構の格好が許されるのもまた楽しさの一つだよね)
衣装の自由が効くのも、演劇の楽しみのひとつだろうと荘助は思う。
二枚歯下駄の音も高らかに道を歩き、道の果て、頭巾の影から鋭いまなざしで客席を睨めつける。薙刀の石突を床に叩きつけ、一言も発さぬままに踵を返す。
振り向いた荘助が一番に目にしたのは、牛若丸の格好をした信乃。
(ああ~)
向かって歩いてくる信乃を頭巾に半ば隠した視界に捉え、
(信乃さんやっぱり完璧なできだな~)
荘助は表情が隠れているのをいいことに相好を崩す。
荘助の脇、体重の一切を感じさせぬ足取りで、幽玄の縁を滑るかの如く信乃が近づいてくる。視線の一筋も交わさぬままにすれ違う。
傍らを通り抜ける信乃の肩、羽織がふわりと風をはらんで膨らむ。
(ああっ、しっぽ、長いしっぽがっ)
荘助が尻尾と呼んで愛する銀糸の髪が羽織と戯れるようになびく。それだけで、何の変哲もない着物が銀の糸を織り込んだかの如き至高の一品に変化したかのよう。
(最高です~)
やっぱり客席に居れば良かったかもしれない。そうすれば信乃さんの晴れ姿を思う存分写真に撮れたのに。
(ああ)
視界から信乃が消えてしまう。
内心の狂喜乱舞をおくびにも出さぬ荘助の脇をすり抜けながら、信乃は凛々しい瞳を客席へと流す。生来の性としては、表舞台に立つよりも影の役者として動く方が合っていると思いはするが、
(なかなかどうして)
こちらの演技に引き込まれて客席に満ちる静寂と緊張感を一身に受けるのは、思いがけず心地が良かった。
迫り出しの端に立ち、懐から取り出した篠笛に唇を寄せる。
高く、笛の音を響き渡らせる。
それは荘助への次の演技の合図。
「その太刀、」
背後に重々しい気配が持ち上がる。
「貴様にはもったいない。俺がもらってやろう」
与えられた短い時間で再現するは、弁慶と牛若丸の出会いの場面。
京の大橋で九百九十九の刀を集めた弁慶が、千本目の刀を手に入れるべく、通りがかった牛若丸と大立ち回りを繰り広げる――
背後、薙刀の刃が振り上げられる。それを音で確かめつつ、信乃は客席から視線を外さぬままに高く跳んだ。ふわりと舞う羽織の下、狙いすました薙刀の刃が空を切る。
「お前が音に聞く怪僧弁慶か」
足が舞台に着くなりトンボを切り、信乃は衣装を派手に揺らして荘助演じる弁慶を涼し気な眼差しで見遣る。
「太刀をくれてやる気はないが……」
柔らかに少女めいても見える唇に浮かぶは、憐憫の笑みか斬撃を誘う嘲笑か。
「切れ味を確かめたいのであればとめはせぬ」
来い、と太刀さえ抜かずひらりと立つ。
「この遮那王が相手をしてやる」
「おのれ生意気な!」
怒りに駆られた演技で以て、荘助は薙刀を振り回す。ひらりひらり、舞うような動きを見せる信乃に息を合わせ、紙一重で躱されているように見せかける。
先祖が忍者だったという信乃の祖父のもとで一応の修行は受けているが、腕前としてはやはり信乃の方が上。
(上手く避けてくださいね~)
薙刀の一閃を後ろ宙返りで避ける刹那、荘助の心配げな眼差しが見えた。
(これは本物のころしあいではない)
事前にふたりで重ねた稽古で練り上げた型に合わせ、荘助の呼吸に合わせ、信乃は舞台に舞う。纏う衣装が目立つよう、動きのひとつひとつが客の視線を奪うよう、見せ物としての剣舞を行う。
気合いに見せかけた合図の声を放ち、荘助が地を這う低さで切り込んでくる。
そこに合わせ、トンと高く跳ぶ。こちらがやりやすいように身を屈めた荘助の背を軽く跳び越え、背後を取る。素早く、笛を荘助の首筋に当てる。
息詰めて殺陣を見守っていた客席から感嘆の息とも歓声ともとれぬ、おおっという声が上がった。
「再度聞こう、太刀の切れ味を確かめたいか?」
「まいった」
筋書通りに剣舞と演技をこなし、荘助は遮那王たる信乃の前に傅く。
「これより貴殿を主君として仕えたい、どうかお許しを」
主従の誓いを願うどさくさに紛れ女物の着物に隠れた信乃の指を取る。手の甲に口づけをする。
――忠義の誓い方が随分西洋かぶれな気もするが……
信乃の内心の文句を降って来る視線のうちに受け止めつつ、荘助は頭巾に隠れて瞳を細めた。
(これくらいは許してくださいね)
「許す」
遮那王の一言が、終劇を現わす台詞。
その姿勢のまま、ふたりは数秒動きを止める。
絵画の一枚のような場面を作り出して後、おもむろに信乃が荘助の手を取った。ぐいと引いて立ち上がらせ、ふたり揃って客席へ深々と礼をする。
「このように、」
『遮那王』としての凛々しい表情を一転、空色の大きな眸に溌剌とした笑み浮かべ、信乃は客席へと語り掛けた。
「演劇部では和洋とわず様々な演目を行っております」
舞台袖から顔を出した『小さなおうさま』が肉球の手をひらひらと振って客席から笑いを取る。
「衣装次第、演技次第で何にでも成れる――演劇部をよろしくお願い致しまする」
興行の終わり、信乃は信乃として背筋を伸ばす。まっすぐなきらきらとした瞳で客席を見回し、折り目正しいお辞儀をすれば、客席から温かい拍手が沸いた。
見惚れる荘助の肩をぽんと叩き、舞台を終えた役者は舞台袖へと引き下がる。
外連味のある演劇部の後に続くは、本を抱えた
綾辻 綾花
と
早川 珪
、図書委員とその顧問。
それぞれに本を抱えて登場し、一言も発さぬまま、キャットウォークの途中で本を交換する。数歩歩いた先で本を貸し出すポーズをする。
静かに繰り広げられる無言劇に、客席が少しざわついたところを狙い、
――図書室ではお静かに
綾花は口元に人差し指を付けるポーズをしてみせる。
可愛らしい決めポーズは、実は舞台の頭上に待機する照明係への合図。
舞台に紫や青や赤、さまざまの丸い光がきらきらと踊り始める。虹のように光は舞台のそこここに集まり、紫陽花の淑やかな光の花を咲かせた。
それを合図に、綾花と珪は腕にかけていた傘を頭上に広げる。
綾花は雨模様、珪は虹の傘。それぞれの傘を開いてキャットウォークの端まで進み、綾花は客席に向けて一礼した。
「雨に纏わる本を集めた展示コーナーには、雨の日も楽しく過ごせる本が揃っています」
舞台に、客席に、色鮮やかに咲き乱れる光の紫陽花を見渡し、今しも雨がしとしとと降っているかのように掌を傘の外に差し出して微笑む。
「アジサイの写真集は美しく華やかで観る価値のある一冊です。梅雨の時期も図書室で過ごしませんか?」
図書委員と顧問はふたり揃って物静かにお辞儀をする。そうして踵を返し、雨と虹の傘を並べて舞台から引き上げる。
光溢れる舞台から、光の落ちた舞台袖に引っ込んだ途端、綾花は小さな息を吐いた。傍らに立つ珪が、心得たように片手を上げる。
「綾辻さん」
「はい、珪先生」
笑み崩れつつ、綾花は珪先生とハイタッチを交わした。
ライオン衣装を躊躇いなく脱ぎ捨てたその下は、スパッツとシャツの軽装。
「お願いします……!」
舞台裏の端で、夏朝は準備して待ち受けてくれていた衣装係の
三宅 葉月
と
遠野 まほろ
のふたりにぴょこんと頭を下げる。
「……任せて」
「はーい」
手慣れた仕草でメイクを整えてくれる葉月の脇、まほろが夏朝の着替えを手伝う。
白の半袖無地ブラウスに制服の無地スカート、胸元には制服リボン、左胸には校章ピンバッジ。右の二の腕部分には、この日のために夏朝が制作した特製の図書委員会の腕章。
円型の腕章のデザインは、図書委員の仲間と決めた。白地布の上下には茶色のライン、その間に『図書』の文字。文字と文字の間には、白紙のページの赤い本を持ったキジ白の猫がいる。
まほろが腕章を安全ピンで留めてくれる。葉月が両手に薄手の白手袋をはめさせてくれる。
「小道具はこれで間違いないわね」
「ありがとうございます」
右手には猫が出てくる図書室の本を一冊大切に抱え、左手には橙色布製猫パペットの『ハルくん』を装着。
「夏朝ちゃん」
「ごめんね、ありがとう」
まほろの肩を借り、白のハイソックスと寝子高の上履きを履けばできあがり。
二人の手に掛かれば、『小さなおうさま』から『寝子島高校図書委員長 恵御納夏朝』への変身はあっという間。
舞台袖に戻ってきてハイタッチをする綾花と珪先生と入れ替わりに舞台に出ようとする寸前、
「夏朝さん」
「恵御納さん」
綾花と珪先生が揃って背中をそっと押してくれた。
ふたり分の力をもらい、夏朝はいつも通りの足取りでキャットウォークを歩いて行く。今日はとお辞儀をして、本の紹介を軽くして、最後はもう一度、そっとお辞儀。
「寝子高の図書室を……これからも、よろしく、お願いします」
(……これで、僕の出番は終わりかな)
夏朝は安堵の息を吐く。スカートの裾を翻して来た道を辿りながら、演劇部と図書委員のかけもち仕事を片付けた女子高生は、B☆Iトリエンナーレの成功を願う。
(楽しい一日になりますように!)
小道具はラジカセと拡声器、大切なのは発声と度胸と咄嗟のアドリブ力。
「……ちょっとDJ風?」
ラジカセを肩に担ぐ
鴻上 彰尋
がちらりと笑い、
「サングラスも用意した方が良かったか?」
拡声器を両手で提げて
来島 アカリ
がくすりと返す。
舞台裏での早着替えを見せた夏朝が帰って来る。演劇部から図書委員への変身を見事な手腕でやってのけた
三宅 葉月
と
遠野 まほろ
の衣装係ふたりの合図を受け、放送部の彰尋とアカリは舞台に飛び出す。
カチリ、とラジカセのスイッチを入れる。アカリがすかさず差し向けて来るマイクに、やっぱり負担が多くない? とちょっぴり苦笑いしつつ、流れ出す音楽に合わせて放送部のアピールをしようとして、
「彰尋君、ごめんっ、これ……!」
金ぴか腕章をつけた
志波 武道
がメモを持った手を差し伸ばしてきた。六月の暑気の中走り回ったのか、汗をかき息を切らす先輩の様子を不思議に思いながらメモを受け取る。さっと目を走らせ、
「任せてください」
小さな声で、けれど確かに請け負う。
心配げに瞬くアカリに拡声器の支えを頼み、彰尋はキャットウォークの半ばで真直ぐに立つ。
「トリエンナーレをお楽しみの皆さまに、迷子のお知らせです。黄色い帽子に水色のスニーカーを履いた、三歳くらいのお子さまが中庭で迷子になってしまいました。もしお見掛けの際は、金色の腕章をつけた実行委員までお知らせください。どうか、よろしくお願いいたします」
柔らかく優しい声で告げて一礼し、一仕事終えたとばかりに舞台袖に帰ろうとして、アカリの一瞥に思い出した。
(……っと)
放送部のアピールをすっかり忘れてしまっていた。彰尋はアカリと顔を見合わせて笑う。
「こうなったら、もう単純に行こうか」
アドリブもアドリブな彰尋の提案に、アカリは挑むような笑顔で頷いた。
ラジカセと拡声器を道の半ばに置き、ふたりはキャットステージの端まで競うように駆ける。舞台の先端で肩を並べ、両手を拡声器替わりにして、
「放送部を!」
「よろしくお願いしまーす!」
舞台に心を揺り動かされ続ける少年ふたりは、その声量で以て講堂中に声を響かせた。
気持ちいいくらい響き渡る放送部のふたりの声に、
御巫 時子
は思わず傍らの
五十嵐 尚輝
を見遣る。
「流石放送部、よく通りますね」
「そうですね」
でも、と時子は胸の内にそっと言い添える。
男子たちの溌剌とした声も悪くはないけれど、尚輝先生の優しい語り口も、
(……好き、なんです)
放送部のふたりが悪戯っ子のような足取りでぱたぱたと舞台から降りて行く。
尚輝とふたり、それを拍手で送りながら、時子はふと小首を傾げた。
「尚輝先生、化学部は出場されるんですか……?」
いいえ、と科学部顧問は首を横に振る。カードが届かなかったらしくて、と残念そうに微笑む。
「この先出場されることがありましたら、その時は先生の応援しますね……」
去年は制服、今年は部活と委員会。来年はどんなトリエンナーレが執り行われるのだろう。楽しみは尽きないけれど、ともかくも今は今を楽しもう。
図書委員に放送委員、今までに見た出場者たちを時子は思い出してみる。同じ部活や委員会でも、それぞれの個性が光っていた。あの中に交わるのであれば、とそれでも考えてしまうのは、隣に居る先生のこと。尚輝先生は、どんな格好が似合うだろう。
「尚輝先生の制服姿も見たかったですね……」
「え、いや、……僕はもう、……」
時子はぽつりと呟いて、尚輝先生を大いに慌てさせた。
「きっと似合います」
屈託なく微笑みながら、思う。
(その時は、一緒に――)
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
92人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月09日
参加申し込みの期限
2018年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月16日 11時00分
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