【創立記念】Ｂ☆Ｉトリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】Ｂ☆Ｉトリエンナーレ！

　神速脱衣を決めた制服を着直す。
「脱ぐは易し、着るは難し、ってねー」
　ボタンを留めつつ軽い口調で笑い、志波武道は生徒会役員の腕章を外す。丁寧に畳んでポケットにしまい、
「腕章チェンジ！」
　反対のポケットから取り出したB☆I実行委員の腕章を取り付ける。ついでに変身ポーズも決めて、実行委員としての気合いを入れ直す。
　トリエンナーレ後に受け持つ仕事は、主に中庭での案内や警備のお仕事。
　今日は一般のお客もたくさん来場している。万が一の不届き者が出ないとも限らない。
「頑張るぜぃ」
　キラーンと歯を見せて笑い、武道は足早に中庭へと向かう。脱衣も神速、仕事も迅速が今日の武道の身上だ。
「お疲れ様デッス！」
　お店を出している生徒にも順番に声をかける。お祭り定番のたこ焼き綿あめかき氷に始まり、射的にヨーヨー釣り、青空カフェ『Grianmhar』に美術部展示の『クラフトスペース』、それから去年好評だった『トリ麺ナーレ』は『トリ麺ナーレ　アンコーラ』と名前を新たにしての出店。
「おぉこれおいしそう」
　青空カフェと麺屋ではお腹を抑え、
「これすごいな！？」
　美術部展示スペースでは飾られた絵画や装飾品に歓声を上げる。
「お困りのことがありましたら、金色の腕章をつけている実行委員にお気軽にお尋ねくださいネッ」
　仕事もしっかり忘れない気さくな警備員のもと、
「あ、武道さん」
　同じように中庭を巡回していた多喜勇生が駆け寄って来た。
「このあたりで迷子見ていないかなぁ、三歳ぐらいの小さな女の子」
「迷子さん？」
　勇生と武道はひっきりなしに人が行き交う中庭を見回す。雑踏に紛れ、小さな女の子を探すのは難しそうだ。
「唐揚げ屋のあたりで十分前くらいにはぐれたらしくて」
「この人込みだし、そんなに遠くには行ってないよな」
「うん、きっとね」
　よし、と武道は勇生の肩をぽんと叩く。
「俺も探します、見つかったら放送入れてもらうから！」
「判ったよ～」
　大らかに笑う実行委員の仲間を心強く思いながら、武道は早速、迷子捜索に取り掛かる。