＜零神探訪＞紅燈火街（レッドランタン・タウン）｜リアクション

＜零神探訪＞紅燈火街（レッドランタン・タウン）

●道化

　
　麻婆豆腐パーティが行われていたのと同刻。
　火龍の鱗の如き瓦屋根の上に、黒髪の小柄な男がひとり、片膝を立て頬杖をついて街を眺めている。
　赤き提灯の、網の目のような裏通りを幽霊が彷徨い歩くが如き様を見、また、寝子島から転移してきた者たちの様々に動き回る様を見、彼――骨削瓢は愉快であった。
　くっくっく……。
　くぐもった笑いは風に掻き消される。
「協力依頼は受けるが、坂内はんの下に付くのは癪だ――なんて思ってたら、珍奇な街の珍妙な騒動に加え、早々に坂内はんが不幸に見舞われたらしいねぃ」
　腹を抱えて笑い転げる。
　仰向けになると、街の色を映した雲が、あかあかと燃えるように広がっていた。
　真顔になり、空に呟く。
「しかしまぁあっしも零神は気になるところ、戯れに手伝おうかい。それには――」
　奇妙な動きで群れてゆく赤い灯りたちを見遣る。
「まずあの提灯が邪魔だねぇ」