ねこじま魔法少女大戦３（ドライ）～聖なるコケシ攻防戦～｜リアクション

ねこじま魔法少女大戦３（ドライ）～聖なるコケシ攻防戦～

【ニンジャ・ゴーズ・サンズリバー】

　魔法少女の魔力残滓を読み取った恵御納夏朝（別人格の夏夜）は、これまでのあらすじ的な感じで神殿内の出来事を把握する。

　そして、この顔である。
「やれやれだ、思っていた以上に自ら葉っぱを喰ってる輩が多くてね……」
　傍らに立つ銀髪ニンジャが、彼女の言葉に顔をしかめた。
「まずこんな下品なアイテムで御神体というのが理解に苦しむ。なぜ当時の魔法少女達はこの形にしたんだ変態なのか？」
「僕に聞かないでよ、考えただけで虫唾が走る……！」
「そんなに睨まないでくれよ、カヤ＝サン。君が変態が大嫌いだっていうのは理解している」
　地味な黒装束に身を覆ったクロイネーコニンジャ・カヤ。
　そして、サキリ・デイジーカッターことブレードマニア。
　だがブレードマニアはまだ己のニンジャソウルを十全に覚醒させていない。
　生来の身体能力だけで、この神殿内に辿り着いた事実は実際スゴイ。
「既にニンジャ側も勝手な行動をしている輩が出てきている。引き続き監視しないと」
「ああ、そのとおりだ。僕らの目的は同じ。だからこうしてコンビを組んで任務に当たっている」
　ブレードマニアの表情は硬い。
「なんせ僕らはトウリョウからの『聖なるコケシ奪取』に背こうとしているのだからね」
　それはすなわち、御神体の破壊を意味する！
「変態コケシは滅すべき。慈悲はない……」
　カヤも同意して首を縦に振る。
「ところで……」
　ブレードマニアは、懐のクナイダートを抜いて眺めながら語り出す。
「それより御神体は刃物にするべきだよ。約束された勝利の剣、的な物の方が人気出るだろうに」
「そういうものなのか？　ブレードマニア＝サンが単に刃物大好きっ子だからじゃないのか？」
「それは……無きにしも非ずだが、神話上のマジックアイテムは圧倒的に刀剣類が実際多い」
「まぁ、それは言えるかも」
　カヤは「そんな事より猫さんモフモフしたい」と考えていた。
　そんな中、ブレードマニアが異様な光景を目の当たりにした。
「カヤ＝サン。この通路を見てくれ。何かの粘液だらけだ。しかも磯臭い」
　三叉路の左側、松明が消された深淵の闇の通路には、巨大なナメクジが張っていったような痕跡が見られた。
　カヤは粘液を手に取り、感触を確かめた後、顔を近付けて匂いを嗅いだ。
「……人間の通った痕跡じゃないね。かといって蛇のような生物でもない。しかも磯臭い」
「そうだ、磯臭いんだ。神殿内に海がないのに、ナンデ？」
「……わからない。けど、さっき、マッパニンジャの奴が触手を出していたから、それかも」
「だとしても、あいつは通路を歩き回るようなニンジャではないだろう？」
　そうだよね、さっきも股間のドリルで地中を移動してたからね。
　むしろ二本足で歩くことが稀有な存在だよね。
「はぁ、本当にやれやれだ。ニンジャと魔法使い意外にクリーチャーが存在するのかな、この神殿は？」
「とにかく、今は不用意に近付くのは駄目だ。モスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイアになって死ぬ」
「死ぬ」
　カヤま真顔で聞き返す。
「そう、死ぬ」
　ブレードマニアも真顔で告げた。
　抗えない末路を確認した２人は、手近な魔法少女の反応へ向けて歩き出した。