【中間テスト】一夜漬け狂騒曲　～寝るなよ？　絶対寝るなよ？～｜リアクション

【中間テスト】一夜漬け狂騒曲　～寝るなよ？　絶対寝るなよ？～

【13】

　そしてテスト当日の朝。
「もうヘロヘロだよ～」
　伊藤佳奈は気だるげに登校中。
「あー、俺もヤバい。やっぱ徹夜なんてするもんじゃねぇな、頭いてぇし眠い……！　コーヒー買って眠気とばそう。飲むか？」
　相原邸から一緒に登校するは桐野正也だ。
「あ、先輩、いただきます！　ところで、先輩は甘いものが好きなんですか？」
「え、何で知ってる、のぉッ！？」
　桐野は目を向いた。
＜テスト終わったら絶対！　紗之香の抹茶ソフト白玉あんみつ食いに行こう！　……299のケーキもいいよな、男子御一人様は恥ずかしいから持ち帰りにすっかな……？　でもやっぱその場で食べてぇし……＞
　彼のろっこん『思ったー』による心の声の吹き出しが具現化していたのだ。
「うぉおぃっ！？　人の心の中身を勝手に見るなー！！」
「えー？　いいと思いますよー、スイーツ男子？」
「お、おう……」
　伊藤の掛けてくれた言葉にどんな顔していいか分からないまま、桐野は『ミルク多め！』と印字された缶コーヒーのボタンを押した。
　毒島林檎も欠伸を噛み締めながら登校していた。
　その口元は愉快げに歪ませながら、照り付ける朝日に目を細める。
「ふっ……、なかなか楽しめたな」
　ぼっち気味とはいえ、一晩で多少縁は出来たと思われる。
　そしてまさかご近所さんにライバルっぽい存在がいたとは……。
「太陽が眩しいぜ……」
　ニヒルに決める毒島であったが、
『でも、テスト本番に眠くならないか心配だよ～』
　と、内面は相変わらずぶりっ子であった。
　
　鬼教官の下で指導された生徒たちは、様々なフラグを抱え込み、中間試験へ乗り込んでいく。
　俺たちの中間試験は、まだまだこれからだ！！！

＜相原邸編・了＞

執筆：焼きスルメ