【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド

「始まったか」
　ミハイルは正規兵の隊列より後方の砦の屋上に陣取っている。
　ボルトアクション式の狙撃銃を抱え、戦闘開始直前に祈りを捧げた。

……師よ、今一度この業を戦いに使う事を許したまえ。
我が指は運命、我は死を見届る眼、我がより頼むものなり……！

　ミハイルは早速、５発の弾丸を銃身に籠める。
　そして狙い澄ます。
　まずは前線の指揮官の頸部！
　ピンポイント射撃！
「そこだ！」
　ミハイルは発射した弾丸に魔風の光を籠める。
　緑光を纏った弾丸は、相手を滅ぼす魔弾となって急加速！
　そのまま弾丸は頸椎をぶち抜き、なおも鎧の中で跳弾！
　ガオンッと鎧の中で乱反射、内部で砕かれる竜牙兵の身体！！
　指揮官が粉々になり、武装が地面にガラガラと音を立てて落ちてゆくと、どういう原理か竜牙兵たちの動きが乱れてゆく。
　この隙をグレイスは見逃さない。
「牽制射撃って聞いてたけど、いきなり撃墜させるなんて。景気がいいですわ！」
　隊列が乱れる竜牙兵ならば、一般兵でも互角の勝負だ。
　こちらの統率と士気はグレイスのカリスマによって最高の域まで高められている。
　近寄る歩兵を切り伏せ、グレイスの水の魔法が攻撃から味方を守る。
「目的の物が何なのかは存じませんが、探し物にしては下劣ですこと！」
　四つ腕のハンマーラッシュは、彼女の操る魔法の水球でブロック。
　がら空きになった胴体へ向けて、妖精剣『ヴィヴィアン』で彼女は切り伏せる！
「市民の避難の状況は進んでるのかしら？」
「はい、まもなく、南側の住民全員が城へ避難する運びです！」
　兵士の報告にグレイスの県の握る手が強くなる。
「ありがとうございます！　あとはこの大群を倒すだけですね！」
　だが、敵の数が他の戦場よりも多すぎる。
「怯んではいけません！　勝機は必ず訪れます！！」
　飛来する魔法の矢を、水球でガードしつつ、彼女は好機を窺っていた。