輝け！ドリームガールズコレクション！！｜リアクション

輝け！ドリームガールズコレクション！！

　【純真ウェディング】

　白いブーケが、かさりと揺れた。
　薄暗くなってもざわついていたステージが、一斉にして静まりかえる。
　完全な静寂の中を、その美しさを沿わせて嘉渡洲稀跡は静かに歩き始めた。

　レースやフリルで誇張しすぎない、シンプルなデザイン。何かにその身を捧げるかのような、飾り心の少ないウェディングドレス。
　オフショルダーのそれは、そこの合間に定番の手袋を飾らなくとも、なだらかな肩から腕、手指にかけて伸びるラインに完全な調和を見出していた。今そこに、どのような手袋を身に付けたとしても、今の稀跡の衣装には、それは邪魔でしかないだろう。

　細いスレンダーな腰から降りるスカートは、前方が短く後方が長いデザインを取るフィッシュテールタイプ。
　宇宙人たちの要望にあったとおり、ストッキングは腿位置までのブライダルストッキングを用意した。そして、足先へと至る同じく白のブライダルシューズをもって──稀跡の衣装は、今まさに完全調和として存在していた。

　靴が硬いステージに反射する音を立てる。
　これから何が起こるのか、それを期待する緊張と静けさを身にひしと受けながら、前舞台の中央まで訪れた稀跡は、緊張的なバランスに満ちた細い脚を、今までより歩を一歩大きく前へと踏み出した。
　今まで、手の中に静かに収まっていた白のブーケが、前へと掲げられた腕から、まるでスローモーションのようにその手を離れて浮き上がるように中空を舞った。
　その仕草に、稀跡は小さく願いを掛ける。

「(彼等にも、私達にも……
　無事に元の世界に戻れる幸せと、戻った後の幸せを願うわ)」

　その思いに呼応するように、
　背後のモニターには一面に白鳩が飛び、モニターを白に染め上げた──

　そのまま、稀跡は後ろへと大きく身をひるがえす。
　フィッシュテールのドレスが空気を含んで浮き上がり、先程までもドレスの合間に見えていたウェディングストッキングが、これでもかと言うほどに、宇宙人たちの目に焼き付いた。
　ブーケは、偶然にも全体に眼を凝らしていた小さなイカの手に渡った。

　背後から、舞台袖に戻った後の空気から、目に見えそうなほどに幸せそうなオーラが漂ってくる。その空気は荘厳すぎて、宇宙人たちは完全にときめきを呟く隙を忘れたようだ。
　それでも舞台袖で様子を見るに、どうやら無事成功したようだった。稀跡はそれに小さく安堵の息を零して楽屋へと戻っていった──