- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
輝け！ドリームガールズコレクション！！
【かわいいものは、かわいらしく】
嘉渡洲 稀跡は、鏡向こうにもう一人の自分を見ながら考えていた。
モニターには先ほど、メンタルと時の部屋から出てきた時に、しっかりとテーマであるのだろう『人形』を思わせるメイクを施していた女の子が映っていた。
実際に見ると若干メイクはきつい方が、モニターにもステージにも映える、とても良い例を見た気分がした。
稀跡は既に衣装を選び身に纏い、後はステージに上がるまで、ある程度の余裕がある。
そこで、ふと鏡を目にした時に浮かんだ。
せっかくウェディングドレスを着てみたのだ。目の前には化粧道具もある。ならば、ここはお化粧も少しでもするべきではないのか、と。
「……」
しかし、普段から人目を惹く整った美しさを漂わせる稀跡にとって、日常を化粧で飾る必要はなく。そして、元からの興味の色も薄かったことから、化粧はこういう機会でなければ意識にも入らない、まさに未知の領域であった。
「……ときめきの、手伝いをするのなら、した方がよいのだろうけれども……」
宇宙人たちにときめきを与えるなら、それは今よりも可愛かったり美しかったりした方が良いのであろう。
そう思い、三面鏡の前に座り、勇気を出して化粧箱を開いてみる。だが、どれをどう使うのかさえイメージが付かない物の、その多さときたら。
「……」
稀跡が、しばしの硬直の後、そっと小さなため息と共に化粧箱を閉じようと手を掛けた時。
「お化粧の仕方、分からないの？
おばさんでよければ教えてあげましょうか？」
とても、優しい声がした。
稀跡が振り向くと、そこには言葉に聞こえたおばさんという単語とは似ても似つかない、穏やかで温和な雰囲気を湛えた女性が微笑んでいた。
「素敵なウェディングドレスね。昔を思い出すわぁ」
言葉も声も、とてもなだらかで素敵な大人の女性──志筑 かりんの柔らかな微笑みを見て、稀跡は鏡の向こうの自分と見比べる。
せっかくの機会であるから、自分の姿にも、もう少し拘ってみてもいいかも知れない。
かりんの言葉に、稀跡はその申し出を受け入れた。
そうして、ステージへと向かった稀跡の姿を見送って、かりんは少し懐かしく過去を振り返っていた。
蘇る懐かしい思い出は、いつも温かでかりんを優しく包んでくれる。
かりんの出番はまだしばらく後。準備に時間が掛かっても、ここには不思議な時間が流れる部屋もある。のんびりと辺りを見渡していたかりんは、そこで少し不思議な存在を見つけた。
「──皆、着飾るデス？ 男の人だと思ってた人ガー、女の人になるデス？」
宇宙人たちを前に、かりんの目が確かであれば、確かに『タコとイカ』の他に『カボチャ』が話をしている。正確には、カボチャヘッドのかぶり物をした女の子が。
「良く分からネーデスケドー、フェスト（お祭り）デス？
ハッ、皆で仲良く仮装する──つまりこれはー……ハロウィンって事じゃネーデスカー！
キュルビス、ハロウィン大好きデスヨ！ 今年も少し早いハロウィンがやってきたデスヨ！」
喜びのあまり、説明途中のタコとイカから離れてこっちへとスキップしてくるカボチャ、キュルビス・ラムズイヤーがかりんの元へとやってきた。
「今日ハー！ 前倒しハロウィンがやって来やがったデスヨー！！」
「あら、かわいい」
正面で見れば、カボチャのかぶり物をしていても、その身振り手振りはとても可愛いらしい。
それを感じ取ったかりんは、キュルビスににこやかに話し掛けた。
「カボチャさん、あなたも舞台に出るのかしら？」
「ヘイ！ 今日はハロウィン！ 全力で仮装しやがりまくりデスヨー！」
「それなら、あなたのお化粧も手伝いましょうか？ カボチャの上からじゃやりにくいでしょう？
そんなに可愛いんですもの。きっともっと素敵になるわ」
「カボチャデ、化粧！？」
素の笑顔で答えるかりんに、キュルビスはその思いに驚愕をした。
今までカボチャを被り続け、当然それが素顔に思われる訳もなく。それでもキュルビスにとっては、カボチャヘッドは己の顔であった中──
それに化粧とは、今までキュルビスにはない発想だった。否、これからも、起こりえることはないかも知れない。故に、
「チョ、チョットだけナラー……！」
授業以外では常にカボチャを被り、鏡に映るのは当然カボチャ。全く不満はないけれども、ハロウィンならば、少しだけなら、ちょっと可愛いカボチャも見てみたい……
カボチャ越しでも照れるのが伝わるキュルビスの様子に「青春っていいわねぇ」とのほほんとしながら、かりんはキュルビスを三面鏡の椅子へと促した。
嘉渡洲 稀跡は、鏡向こうにもう一人の自分を見ながら考えていた。
モニターには先ほど、メンタルと時の部屋から出てきた時に、しっかりとテーマであるのだろう『人形』を思わせるメイクを施していた女の子が映っていた。
実際に見ると若干メイクはきつい方が、モニターにもステージにも映える、とても良い例を見た気分がした。
稀跡は既に衣装を選び身に纏い、後はステージに上がるまで、ある程度の余裕がある。
そこで、ふと鏡を目にした時に浮かんだ。
せっかくウェディングドレスを着てみたのだ。目の前には化粧道具もある。ならば、ここはお化粧も少しでもするべきではないのか、と。
「……」
しかし、普段から人目を惹く整った美しさを漂わせる稀跡にとって、日常を化粧で飾る必要はなく。そして、元からの興味の色も薄かったことから、化粧はこういう機会でなければ意識にも入らない、まさに未知の領域であった。
「……ときめきの、手伝いをするのなら、した方がよいのだろうけれども……」
宇宙人たちにときめきを与えるなら、それは今よりも可愛かったり美しかったりした方が良いのであろう。
そう思い、三面鏡の前に座り、勇気を出して化粧箱を開いてみる。だが、どれをどう使うのかさえイメージが付かない物の、その多さときたら。
「……」
稀跡が、しばしの硬直の後、そっと小さなため息と共に化粧箱を閉じようと手を掛けた時。
「お化粧の仕方、分からないの？
おばさんでよければ教えてあげましょうか？」
とても、優しい声がした。
稀跡が振り向くと、そこには言葉に聞こえたおばさんという単語とは似ても似つかない、穏やかで温和な雰囲気を湛えた女性が微笑んでいた。
「素敵なウェディングドレスね。昔を思い出すわぁ」
言葉も声も、とてもなだらかで素敵な大人の女性──志筑 かりんの柔らかな微笑みを見て、稀跡は鏡の向こうの自分と見比べる。
せっかくの機会であるから、自分の姿にも、もう少し拘ってみてもいいかも知れない。
かりんの言葉に、稀跡はその申し出を受け入れた。
そうして、ステージへと向かった稀跡の姿を見送って、かりんは少し懐かしく過去を振り返っていた。
蘇る懐かしい思い出は、いつも温かでかりんを優しく包んでくれる。
かりんの出番はまだしばらく後。準備に時間が掛かっても、ここには不思議な時間が流れる部屋もある。のんびりと辺りを見渡していたかりんは、そこで少し不思議な存在を見つけた。
「──皆、着飾るデス？ 男の人だと思ってた人ガー、女の人になるデス？」
宇宙人たちを前に、かりんの目が確かであれば、確かに『タコとイカ』の他に『カボチャ』が話をしている。正確には、カボチャヘッドのかぶり物をした女の子が。
「良く分からネーデスケドー、フェスト（お祭り）デス？
ハッ、皆で仲良く仮装する──つまりこれはー……ハロウィンって事じゃネーデスカー！
キュルビス、ハロウィン大好きデスヨ！ 今年も少し早いハロウィンがやってきたデスヨ！」
喜びのあまり、説明途中のタコとイカから離れてこっちへとスキップしてくるカボチャ、キュルビス・ラムズイヤーがかりんの元へとやってきた。
「今日ハー！ 前倒しハロウィンがやって来やがったデスヨー！！」
「あら、かわいい」
正面で見れば、カボチャのかぶり物をしていても、その身振り手振りはとても可愛いらしい。
それを感じ取ったかりんは、キュルビスににこやかに話し掛けた。
「カボチャさん、あなたも舞台に出るのかしら？」
「ヘイ！ 今日はハロウィン！ 全力で仮装しやがりまくりデスヨー！」
「それなら、あなたのお化粧も手伝いましょうか？ カボチャの上からじゃやりにくいでしょう？
そんなに可愛いんですもの。きっともっと素敵になるわ」
「カボチャデ、化粧！？」
素の笑顔で答えるかりんに、キュルビスはその思いに驚愕をした。
今までカボチャを被り続け、当然それが素顔に思われる訳もなく。それでもキュルビスにとっては、カボチャヘッドは己の顔であった中──
それに化粧とは、今までキュルビスにはない発想だった。否、これからも、起こりえることはないかも知れない。故に、
「チョ、チョットだけナラー……！」
授業以外では常にカボチャを被り、鏡に映るのは当然カボチャ。全く不満はないけれども、ハロウィンならば、少しだけなら、ちょっと可愛いカボチャも見てみたい……
カボチャ越しでも照れるのが伝わるキュルビスの様子に「青春っていいわねぇ」とのほほんとしながら、かりんはキュルビスを三面鏡の椅子へと促した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2018年05月08日
- 参加申し込みの期限
-
- 2018年05月15日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2018年05月15日 11時00分
