＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編

●大黒猫はどこにいる

（早いとこ大黒猫を探して、元の姿に戻るようツッコミを入れてやるんだから！）
　バニーガール姿での移動は恥ずかしいので、佐藤瀬莉はアリス・ミーティア、曖浜瑠樹の間に隠れるようにして歩いている。
　早朝とはいえ、人がまったくいないわけではない。
　ウサギ姿の少年少女が何かを探している様子を見ている人の中には、好奇の視線で見る人が。
　それは、瀬莉には耐えられないことだった。
「アリスちゃん、よく堂々と歩けるね。恥ずかしくないの？」
「この服、動きやすくていいよ。それに可愛いし。瀬莉の服も可愛いじゃない」
　胸が大きくて、スタイルがいいから堂々としていられるんだ……と、ちょっとやきもちを焼く瀬莉。

「大黒猫さん、まっくろなんだよねぇ……。それなら、すぐわかると思うんだよねぇ」
　瑠樹は「ながーくいきてる、まっくろにゃんこ、どーこかなぁ？」と呼びかけながら探す。
　自分のこと？　と言っていそうな顔をした黒猫が、３人のもとにやって来た。
「ごめんよぉ。黒猫さんを探しているんだけど、君じゃないんだぁ」
　黒猫の頭を撫でながら、瑠樹は謝る。
「路地裏とか、店の間とか……海の付近に落ちてるかもだし……付近の海岸も見とくよぉ」
　別々に行動したほうが見つかるのが早いよぉ、と言う瑠樹の意見に、それもそうだね、と同意するアリス。
（１人で動く回るのは恥ずかしいよ……）
　瀬莉は、アリスと一緒に探すことに。
　
「大きさが分からないから、黒い石を探してみよう。船に乗ってる可能性もあるから、そこもチェックね」
　下もチェックね、と、足元を探すことも提案するアリス。
「どうして、船に乗ってると思うのかな？」
「漁港の船があったら、大黒猫の小槌が係留杭と間違われてる可能性もあるし。小槌の持ち手部分とかロープを引っかけやすそうだよね」
　納得した瀬莉は、怒って暴れ回っているいるうちに大黒猫がロープに引っかかっているのかもと思った。
「大黒猫ー、どこー」
　反応があるかもしれないからと、２人は呼びかけつつ探す。が、一向に見つからない。
「ねえ、お腹空かない？」
　突然、アリスがそう言い出した。
　そういえば、朝ご飯食べていなかったっけ……と思ったとたん、瀬莉のお腹が鳴った。
「お腹空いているんだね。食堂で何か食べよう。お金は、換金してるから持ってるよ」
　腹が減っては戦はできぬ、ということで、２人は漁港付近の食堂へ。
　そこにいるのは、朝食を摂っている猟師やトラック運転手のおじさん達。
　そんな中、２人のバニーガール少女は浮いた存在だった。
（恥ずかしいけど……空腹には耐えられない……）
　穴があったら入りたいって、このことなんだと思いつつ、朝定食を食べる瀬莉に対し、アリスは美味しいねと嬉しそうに食べている。

　腹ごしらえが終わり、アリスが勘定を済ませるなり大黒猫探しを再開。
（絶対に、大黒猫を見つけて突っ込んでやるんだから！）
　恥ずかしい思いをさせられた瀬莉は、血眼になって必死に探している。
　大黒猫のお怒りが鎮まるまで、彼女の怒りも収まりそうにないようだ。