脱いで！　笑って！　世界を救って？！｜リアクション

脱いで！　笑って！　世界を救って？！

　一見ポーカーフェイスに見える稀跡だったが、実を言うと内心男子３人の前で蜂蜜まみれでボディーラインが見えたり、キュートなショーツが見えそうになったりしているのはやっぱり年頃の乙女としては恥ずかしい。だが、仲間のためにならば身体をはれる。
「ちょっとまて！　そっちも怪しいぞ！」
　と蒼留人が彼女を引き止めようとした瞬間、彼は見た。小柄な影が自分達を見ていることに。
　「おい！　下品な悪戯をやめやがれっ！」
　かようの言葉をあざ笑うかのように、その影は奥へ行く。少し疲れた様子のマーガレット（罠の所為でちょっとぼろぼろ）は汗を拭う。
（服が濡れて下着が透けて見えてしまい、恥じらいの表情を浮かべる少年たちとか……素晴らしいと思いません？　ほら、そっちの蜂蜜まみれの方も……）
　マーガレットは密かにネタ帳へ書き込んだりしているが、それでも彼女自身もちょいとえちぃ姿なのは言っちゃいけない。かようが庇いきれなかった分もあるのだ。
「何か無性に腹立つな」
「響は大げさに恥ずかしがったりするから、ガキにつけこまれるし、オレに笑われるんだよ」
　ふるふると怒りで震える蒼留人に、かようがつとめて真面目に言う。だが、蒼留人は静かに言った。
「だが、あまりにも目に余るな……」
　にやり、と笑う蒼留人。かようはルームメイトが何を閃いたのか、気づいたのか楽しげに口元を綻ばせている。
「おっ？　漸く本気で捕まえる気になったか」
　かようがどことなく楽しげに言う。

「あぁ。……罠には罠で対抗だ」

　蒼留人はぐっ、と拳を握り締めて頷いた。

　果たして、彼らの作戦とは一体……？

　＊：＊：＊：＊

「ふぅ、２人とも実に情熱的な踊りだったわ。次はだれかしら？」
　気を失ったアリサを解放しながら、救護室からウズメが言う。と、「はいはーい☆」と楽しげな声。みんなのおにいさん、志波武道である。
「色っぽくて情熱的なプロのダンスの後だけど、俺は俺で磨いた芸があるからネ！」
　彼はステージに立つと、パチンッ、と指を鳴らした。
「OK、ドラムロール、カモンッ！！」

　ダララララララララララ……（ドラムロール）

「さぁさぁ皆さま見てって寄ってって☆　しっかり見てねー！　一瞬だから、見逃さないでね～……っ！」
　一気に張り詰める空気。ウズメも、他の面々も緊張した様子で見守る。

（それじゃあ、派手にいっちゃおう！）
　武道はにっこり笑った。

スリー……（ジャケットをさっ、と脱ぎ……）
ツー……（ネクタイをしゅるっ、と脱ぎ……）
ワン……（ベストをささっ、脱ぎ……）

「さぁ刮目せよ、これが俺の全速ＤＡ！」

ジャンッ！！

　ドラムロールの最後で、残りを一気に脱ぎ捨てた武道。彼はあっというまにブーメラン水着１つという井出たちになった。水泳で鍛えた無駄の無い筋肉は、実に健康的な魅力に溢れており、若い娘たちがため息をつく。
「まぁ！　ダーリンが若い頃そっくりぃ♪　いまはもっと逞しくなったけどネ！」
　ウズメが黄色い声をあげる。と、すらりとした武人らしき男性がすこし頬を赤く染める。ウズメの夫だろうか、と武道を初めとする異世界人たちは内心で考えた。
　それはさておき、武道は拍手を浴びながらもにっ、と脱いだ服を掴んでそのまま振り上げた。
「ＨＡＨＡＨＡパフォーマンスはまだまだここからだYO！」
　と、爽やかな笑顔でアップテンポな音楽に乗ってダンス！　時折引き締まった筋肉をアピールしつつ、実に健康的な魅力を振りまいた。
「ふぅむ、先ほどのお二人のようなセクシーもいいですけど、このキラキラ輝くエネルギッシュでさっぱり爽やかなのもオツですね……ふふっ！」
　明智さんは非常に楽しそうで、ティクス・ソルとコル・ティグリスは少し考える。
「確かに、アリサとティオレの舞いも、武道のパフォーマンスも、盛り上がったな」
「オレたちも、負けていられいないぜ！」
「……コル、お前は戦いたいだけじゃないのか？」
　コルの言葉に、ティクスはちょっとだけ苦笑するのだった。果たして、２人のパフォーマンスとは、いかに？！