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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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夢のアロマキャンドル
深倉 理紗子は寝子島シーサイドタウン駅で買い物をした。本土に向かう電車を目にして思い付いたかのように改札へと向かう。
その時、携帯電話の呼び出し音が鳴った。小さな溜息で電話に出ると病院からの緊急の呼び出しであった。
「すぐに向かいます」
儚い笑みで電話を切った。
寝子島総合病院の職員用の出入口から理紗子が出てきた。人気のない道をふらふらと歩いて川向かいのマンションへと戻る。
疲労で目が霞むのか。強い瞬きを繰り返し、ドアの鍵を開けた。薄暗い穴倉のような中に入っていく。
のろのろと歩きながら奥を目指す。手に提げていたバッグは指から引き剥がされ、床に転がった。上体がゆっくりと傾く。
理紗子はベッドに俯せの姿で倒れ込んだ。そのままの姿で十数分の時を過ごし、両手で上体を押し上げる。
振り返るとバッグの中身が床に散乱していた。その中の箱に目が留まる。
「……本当に眠れるのかしら」
儚い希望に縋るような目でアロマキャンドルに火を点けた。
画面には今日のスケジュールが一覧となって表示されていた。
僅かな驚きで留め、理紗子は周囲にそれとなく目を向ける。
――ここは内科医局ね。私は職場で仕事をしている？
軽い戸惑いの中、緊急を要する内線が入った。
「集団食中毒が発生した。当院に大量の患者が運び込まれて救命救急科だけでは対応できないとのことだ。手の空いている者は全員、ＥＲに急行するように」
主任医師の声を受けて一斉に席を立つ。白衣の集団の中には理紗子の姿もあった。
ＥＲは混雑を極めていた。医師の怒号に近い指示が飛び交い、看護師が慌ただしく患者の間を駆け回る。ベッドの数が足りず、ストレッチャーまで使用されていた。
その騒乱の坩堝に理紗子も否応なく叩き込まれた。苦しむ患者を片っ端から診ていく。下痢や嘔吐の激しい患者には抗生物質を与え、脱水症状を引き起こさないように点滴を指示した。
患者の中には酷い腹痛にのた打ち回り、頭部に裂傷を負った者もいた。患部の消毒と止血を行ない、頭部ＭＲＩを試みることにした。
「深倉先生はいますか！」
治療の途中で呼ばれた。理紗子は他の医師に引き継いで貰い、看護師に向かって手を挙げる。
「ここです！」
看護師は駆け寄り、手短に要件を伝えた。
「わかりました。呼吸不全の患者さんから診ていくわ」
「お願いします」
受け持ちの入院患者という事情もあって、理紗子は白衣の裾を翻して走った。まるで邪魔をするかのように看護師が群がってきた。
「先生、こちらもお願いします！」
「患者さんの意識混濁が見られます。緊急の処置をお願いします！」
「わかりました。優先順位を決めて動きます！」
理紗子は方向を変えて全力で走った。エレベーターを利用しようとしたが、全てが稼働中であった。止まることが出来ず、横手の非常階段を駆け上がる。
「ハァ、どうして、こんなに、ハァ、ハァ……」
粘り気のある大気の中をもがくようにして先を急いだ。
スズメの陽気な囀りが聞こえる。
理紗子は仰向けの姿で薄っすらと瞼を開けた。額の上に手の甲を置く。
「ひんやりして、気持ちいいわ……」
口にして長々と息を吐く。数秒の安らぎを得て、ゆっくりと上体を起こす。
枕元にあった携帯電話を引き寄せた。時刻は午前五時半、平時の起床の六時よりも早かった。
目はベッドの近くの小さなテーブルに向かった。中央に置かれたアロマキャンドルは完全に燃え尽きていた。
「よく眠れたのかしら？」
小首を傾げて問い掛ける。
ベッドを離れると軽く頭を振りながら浴室へと向かった。
その時、携帯電話の呼び出し音が鳴った。小さな溜息で電話に出ると病院からの緊急の呼び出しであった。
「すぐに向かいます」
儚い笑みで電話を切った。
寝子島総合病院の職員用の出入口から理紗子が出てきた。人気のない道をふらふらと歩いて川向かいのマンションへと戻る。
疲労で目が霞むのか。強い瞬きを繰り返し、ドアの鍵を開けた。薄暗い穴倉のような中に入っていく。
のろのろと歩きながら奥を目指す。手に提げていたバッグは指から引き剥がされ、床に転がった。上体がゆっくりと傾く。
理紗子はベッドに俯せの姿で倒れ込んだ。そのままの姿で十数分の時を過ごし、両手で上体を押し上げる。
振り返るとバッグの中身が床に散乱していた。その中の箱に目が留まる。
「……本当に眠れるのかしら」
儚い希望に縋るような目でアロマキャンドルに火を点けた。
画面には今日のスケジュールが一覧となって表示されていた。
僅かな驚きで留め、理紗子は周囲にそれとなく目を向ける。
――ここは内科医局ね。私は職場で仕事をしている？
軽い戸惑いの中、緊急を要する内線が入った。
「集団食中毒が発生した。当院に大量の患者が運び込まれて救命救急科だけでは対応できないとのことだ。手の空いている者は全員、ＥＲに急行するように」
主任医師の声を受けて一斉に席を立つ。白衣の集団の中には理紗子の姿もあった。
ＥＲは混雑を極めていた。医師の怒号に近い指示が飛び交い、看護師が慌ただしく患者の間を駆け回る。ベッドの数が足りず、ストレッチャーまで使用されていた。
その騒乱の坩堝に理紗子も否応なく叩き込まれた。苦しむ患者を片っ端から診ていく。下痢や嘔吐の激しい患者には抗生物質を与え、脱水症状を引き起こさないように点滴を指示した。
患者の中には酷い腹痛にのた打ち回り、頭部に裂傷を負った者もいた。患部の消毒と止血を行ない、頭部ＭＲＩを試みることにした。
「深倉先生はいますか！」
治療の途中で呼ばれた。理紗子は他の医師に引き継いで貰い、看護師に向かって手を挙げる。
「ここです！」
看護師は駆け寄り、手短に要件を伝えた。
「わかりました。呼吸不全の患者さんから診ていくわ」
「お願いします」
受け持ちの入院患者という事情もあって、理紗子は白衣の裾を翻して走った。まるで邪魔をするかのように看護師が群がってきた。
「先生、こちらもお願いします！」
「患者さんの意識混濁が見られます。緊急の処置をお願いします！」
「わかりました。優先順位を決めて動きます！」
理紗子は方向を変えて全力で走った。エレベーターを利用しようとしたが、全てが稼働中であった。止まることが出来ず、横手の非常階段を駆け上がる。
「ハァ、どうして、こんなに、ハァ、ハァ……」
粘り気のある大気の中をもがくようにして先を急いだ。
スズメの陽気な囀りが聞こえる。
理紗子は仰向けの姿で薄っすらと瞼を開けた。額の上に手の甲を置く。
「ひんやりして、気持ちいいわ……」
口にして長々と息を吐く。数秒の安らぎを得て、ゆっくりと上体を起こす。
枕元にあった携帯電話を引き寄せた。時刻は午前五時半、平時の起床の六時よりも早かった。
目はベッドの近くの小さなテーブルに向かった。中央に置かれたアロマキャンドルは完全に燃え尽きていた。
「よく眠れたのかしら？」
小首を傾げて問い掛ける。
ベッドを離れると軽く頭を振りながら浴室へと向かった。
あとがき
担当マスター：
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！
夢のアロマキャンドル、完売です！
楽しい夢に苦しい夢（悪夢かも）と、バラエティに富んだ内容になりました。
慣れないバイトは楽しんだ者勝ちということで、楽しい夢の仲間入りを果たしました（ズサー）！
今回は個々に焦点を当てて一人一頁という形式にしました。
じっくりと腰を据えてリアクションを読めたのではないでしょうか（チラチラ）。
銀さんの怪しい楽しい商いは今後も続くと思います。
気紛れなので時期はわかりませんが、その時はいつものようにふらりと現れて、
「お一つ、いかがですか」と目を細めて勧めてくることでしょう。
最後にシナリオに参加していただき、ありがとうございました。
またのお越しを心よりお待ちしております。
楽しい夢に苦しい夢（悪夢かも）と、バラエティに富んだ内容になりました。
慣れないバイトは楽しんだ者勝ちということで、楽しい夢の仲間入りを果たしました（ズサー）！
今回は個々に焦点を当てて一人一頁という形式にしました。
じっくりと腰を据えてリアクションを読めたのではないでしょうか（チラチラ）。
銀さんの
気紛れなので時期はわかりませんが、その時はいつものようにふらりと現れて、
「お一つ、いかがですか」と目を細めて勧めてくることでしょう。
最後にシナリオに参加していただき、ありがとうございました。
またのお越しを心よりお待ちしております。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年04月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年04月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年04月12日 11時00分
