ライブラリ・ラビリンス２｜リアクション

ライブラリ・ラビリンス２

■集合　
　どうやら、全員窓の外の異変に気が付いたらしく、
集合場所にはすでに全員が揃っていた。
「本当なら、２階も調べたかったんだがな」
　修が恨めし気にエントランスの階段を見上げる。
「まあ、この図書館がこんな中途半端なまま終わりにするわけないと思うぜ」
「そうですね、ここまで関わったら、
私も途中で投げ出すことはしたくないです」
　楓と綾花の意見に、皆うんうんと頷いて見せる。
「とりあえず、夜も近づいているわ。
発見したものの共有は道々お話しすることにしたほうがよくないかしら」
　紫の冷静な判断に皆同意し、今日は一旦引き上げることとなった。
「見つけたアイテムはどうしたらいいかねぃ」
　ポケットから取り出した鍵をつまんで、陽太が言う。
「あの木箱に入れといたらいいんじゃない？　どうせまたあそこからスタートでしょ」
　樹が、最初に前回見つけた物品が入っていた木箱を示し、
今回の収穫物はまとめてそこに入れることとなった。
そうして、空気の淀んだ廃墟内を出て、
新鮮な空気が流れ始めた夜の九夜山へと足を踏み出す。
時刻はもうそろそろ日も沈み切ろうという時間だ。
「結局時間の進み方の法則もわからずじまいか……。
今回はあんまり収穫なかった気がするなあ」
「まあまあ、何か大きな発見をするばかりが探索ではないのです。
今回は図書館の歴史とか、使われ方とかがわかってよかったのですよ」
　溜息を吐く武道の肩を、美咲紀がポンと叩いた。
「そうね。ただの資産家の趣味かと思ったら、図書館らしからぬ側面も見えてきて
個人的には結構興味をそそられるわ」
　モニカもまだまだ調べたいことはたくさんあるといった口ぶりだ。
「次はいつ、ここに来られるのかしらね……」
　しっかりと閉じて、もう開く気配のない図書館の扉を見つめながら
天吏はぽつりとつぶやいた。
　

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