this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
嘘<ユメ>が現実<ホント>になるセカイ。それが、らっかみ!
<< もどる
1
…
16
17
18
19
20
…
35
つぎへ >>
【ドッペルゲンガーの憂鬱】
「……はっ……はっ……はっ……」
自分の肺から吐き出されているのだとは信じられないくらい熱い息が漏れ出して、荒く呼吸を繰り返すたび、
志波 武道
は戦慄を深めます。
「……はっ、はっ……ヤッベェな、これ……」
厳かな彫像の台座へ身を隠し、思わずつぶやきました。
洋館に人気はなく、追う者、追われる自分以外の気配は感じられません。おそらくこの場所は、今日だけのために用意された虚ろな舞台なのでしょう。
「昨日、ホラー映画見たからかなァ……陽太くんに悪いことしたかな」
始まりは他愛のない雑談の中にありました。どういう経緯であったか……ともかく
呉井 陽太
が口にしたのです。
『今日は、オレと武道君のドッペルゲンガーが現れる日だよぅ。なんちゃって』
かつん、靴音。武道の肩は跳ね、竦みながらも身構えます。
彼のものであって彼のものでない、陽太の声が遠く聞こえました。
「酷いなぁ。まだなーんにもしてないじゃないかぁ? 逃げるなんてさぁ」
かつん。かつん。洋館の廊下は板張りで、歩けば小気味の良い音が響きます。
「まぁいいけどさ。逃げても捕まえればいいだけだし。さっさと痛めつけて……く、く、く」
かつん。かつん。
かつん。
「捕まえようっと」
「ッ!?」
耳元。予期せず聞こえた声に、武道は弾かれたように駆け出します。ばたばたと自身の立てる靴音が道標となることを重々に悟りながら、足を止めるわけにもいきません。
かつん、かつん。かつん。
あれは陽太のドッペルゲンガー。陽太自身ではありません。もちろんそうです。
「陽太くんが、あんな顔……するわけ、ないもんな……!」
「それってさぁ。こんな顔かい?」
「うッ、あ、が……ッ!?」
首に食い込む手のひらに尋常ではない力を感じ取り、気道を圧迫される苦悶とはまた異なる硬質な恐怖が、武道の背を這い上ります。
瞬く間に脳が充血してゆくのを感じつつ、ろっこんを乗せた手刀を振り回し、やみくもに突くと、
「おおっと。危ないなぁ、君のろっこんは怖いからねぃ……あれぇ、まだ逃げるのかい? ちっ、しぶといな」
腕が離れた隙に胸を突き飛ばし、もつれる足を叱咤しながら再び廊下を走ります。
横手にバスルームが目に入り、武道はそこへと飛び込みました。
(腕の感覚がない……右足もまだダメかぁ)
親友のろっこんを受けるとどうなるか、その威力を自分の身で知ることになろうとは。陽太は額の脂汗を動く片腕で拭い、重たい脚を必死に動かします。
鼻歌。それもとびきり陽気なメロディが、陽太の背に追いすがります。
「HAHAHA☆ 君ってもの好きだよねェ陽太くん。俺と仲良くしてるなんて、さァッ!!」
破壊音は、洋館のあちこちで見られる美術品のひとつを、武道のドッペルゲンガーが床へでも叩きつけたのでしょう。そうしてつんざくような音をたびたび発しては、陽太の行く道も精神をも追い詰めるのです。
「まぁまぁ、そう逃げないでよ。俺たちさぁ、君がここから脱出すると消えちゃうんだよね。それってひどいじゃナーイ?」
破壊音。壺か何かを壁に投げつけたのでしょうか。
(……そう。『この洋館を脱出すれば、ドッペルゲンガーは消える』。それがルール)
武道の機転に、陽太は感謝せずにいられません。彼が付け加えた条件が、陽太のウソを上書きし、せめてもの希望となってくれました。
半ば片足を引きずりながらも、親友の顔をしたナニカが発する声から距離を離します。
「いやぁ、待てよ? 君らが脱出したら、俺たちは消える。それじゃさァ……」
後ろではなく前方から破壊の音が聞こえて、陽太はびくりと足を止めました。
薄く笑う、親友と寸分変わらない、それでいて決定的に違う顔がそこにありました。
「脱出失敗したら、ドーナルンダロウネ? なぁ、陽太くん……分かってるよね? HA・HA・HA!」
「うっ、ぁ……!」
ろくでもないことになるのは確かながら、その詳しいところを想像する気にはなれません。
手刀をかいくぐりながら手近な彫像を床に倒し、ようやく感覚を取り戻してきた足で走り出すと、
「うわあっ!?」
「! 武道君!?」
廊下の曲がり角の向こうから、切羽詰まった声が届きました。
バスルームに身を潜めた……はずが。
「うわあっ!?」
追い詰められたのは、武道のほう。
小さな換気口の隙間から、水の滴る蛇口から、ずるり、ずるり。それらは這い出してきました。
「こ、これ……陽太くんのろっこんか!?」
「そうだよ、オレのだよぅ」
ずるり。ずるり。粘土細工の熊も、犬も、兎も……元々の愛らしい造形はすっかり失われて、まるで高熱に溶け落ちたようにぐずぐずに崩れ、絵具とも血ともつかない赤黒い液体に塗れています。
武道が後退りした隙に、溶けた兎がバスルームの扉を這い上り、鍵を開放しました。
「そんなに息を切らしてまで逃げなくてもいいじゃない。傷つくなぁ」
細めた瞳が、身じろぎもせず武道を見つめています。
「っ、やめ」
「そんなに息苦しいならさ、やめちゃおうよ。呼吸。こうして首を締めながら、浴槽に沈んじゃえばさ……楽になるよ、きっと」
凄まじい握力で喉を締め上げられ、武道は水を張った浴槽の中へと沈んでいきます。もがいても、もがいても、暗い水の中へ。水の中へ……。
「苦しいのは最初だけ、すぐに楽になれるよぅ。ほら、もう諦めなよ。楽になりなよ、ほら……」
「このォッ!!」
がくんと身体が揺れ、喉から手が離れた瞬間。武道は耐え兼ねて、水の中から飛び起きました。
「ぐ、ぅっ……よ、陽太、くん?」
「逃げよう、武道君!!」
陽太が自分のドッペルゲンガーを突き飛ばし、武道を救ったのです。
広いバスルームの床に転がった自分の姿にはいささか複雑な思いを抱きつつ、よろめく武道に肩を貸して、バスルームを飛び出します。
「そりゃないYO、陽太くぅん! HAHA、逃げられると思ってるのかい? 君が担いでるのは……俺なんだゼイ」
「そうだよぅ、武道君。そこにいるオレも、オレだよ。オレを連れて、どこへ逃げようっていうんだ?」
右手から、武道と同じ顔をしたドッペルゲンガー。左にはバスルームの床へ転がったはずの陽太の分身が、何食わぬ顔で立っています。
バスルームを飛び出したところで、廊下に退路は既にありません。ならば、バスルームへ引き返し立てこもるか?
「……陽太、くん……」
せき込みながら、武道が指を差し言いました。
「外……へ!」
「! そうか、分かったよぅ!」
目の前にはまぶしい光が差し込む、大きな窓。外界への脱出口は、思いのほか近くにあったのです。
地面までの高さを目測で計る間もなく、ふたりの身体は駆ける勢いのままガラスを突き破り、虚空へと飛び出しました。
落下の瞬間までに、何らかの転換があったことは確かです。けれど、ふたりがそれを感じ取ることはありませんでした。
「……イッター! 痛っ、膝打った膝……」
「武道君、ケガない!? 早く立って、逃げないと……アレ?」
さわと流れる風が、緑の野を優しくなぞり吹き抜けます。
気づくと、どこかの空き地らしき荒れた草地のなかへ、彼らは倒れ込んでいました。慌てて周りを見回しても、洋館なんて影も形もありはしません。
「ああ……外に出たから」
「逃げ切った、カナ? ああ良かった……!」
安堵した途端、すっかり気が抜けてしまって、武道は手足を草の上へと投げ出します。ほっとして、大きく息を吐き……そして、
「……?」
目にしました。かたわらの陽太の肩に乗っている、それを。
「館の外に出れば、ドッペルゲンガーは消える……でもドッペルゲンガーってさ、結局、自分自身の分身のことなんだよねぃ」
「陽太……くん?」
溶け落ちた、赤に塗れた兎の人形を。
振り返り、彼は笑いました。
「消えたドッペルゲンガーは、どこへ行くんだろうねぇ?」
やけに冷たい風が、武道の背中を撫でていきました。
<< もどる
1
…
16
17
18
19
20
…
35
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
嘘<ユメ>が現実<ホント>になるセカイ。それが、らっかみ!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
69人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年04月01日
参加申し込みの期限
2018年04月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年04月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!