遅刻の日｜リアクション

遅刻の日

【マンガ化】遅刻の日

○白真白の場合

「ん……まぶし……」
　左目を襲う眩しさに目をこすって時計を見た白真白は、時間を二度見してぱっちりと目を覚ました。
「うわ、もうこんな時間！　寝坊したー」
（そっか昨日、カードの整理してる途中で寝落ちしちゃったんだ）
　あたりには趣味のカードゲームのカードが散らばったまま。
　真白の両親は海外を飛び回っていて滅多に帰ってこないので、実質一人暮らしだ。
　自分で起きなければ、誰も起こしてくれない。
「とにかく急がないと……うわっ、髪ぼさぼさじゃん。ちゃんと乾いてなかったかなぁ」
　洗面所の鏡を見て、乱れまくったロングの髪にあわてて櫛を入れる。
（シャワー浴びてる余裕も朝ごはん食べてる時間もないかなぁ。片付けも帰ってきてからでいいや）
　とにかく急いで身支度しないと、と、寝巻のベビードールを脱ぐ。
　年の割に低すぎる身長とそれとは逆に大きな胸に、ベビードールは快適かつよく似合っていた。
　だがその下につけているのはベビードールから連想されるセクシーな下着ではなく、寝てる間にぐしょぐしょになったオムツ。
　昔あった事故の後遺症で、右目の義眼と共にオムツは手放せないものとなった。
　けれど真白は何事にもポジティブに、明るく前向きに生きている。
　急いでオムツを交換し制服に着替えて。
「よし、行ってきまーす」
　シーサイドタウンの自宅からダッシュで学校に向かう。

（急げ急げ。こっちの道通ったら近道できるかな？　通ったことない道だけど方角的にはあってるはず）
　汗ばみながら、スカートの中にも問題が生じていた。
（はう、走ってたら漏れてきた……学校着いたらオムツ交換しないと）
　大丈夫、オムツから漏れ出すほどではない。
「あ、あれ？　迷っちゃった？」
　見慣れない景色に一瞬パニックになりかけた真白だが、ゲームの時のように落ち着いて考える。
（いや、そんなことはないはず。このままこっちに行けば……）
　前方に、やけにのんびり歩いている寝子高女子の制服が見えた。
「ちこく、ちこく！」
　注意を促すように声に出して抜き去ったが、反応はなかった。
　ちらっと見えた綺麗な横顔が気になりつつ、真白は止まるわけにはいかない。
「よし、見えた。このままいけば滑り込みセーフのはず！」
　校門に向け、真白は一心に走った。
「間に合った！」
　風紀委員たちは、活動前の打ち合わせ中のようだった。　

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