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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
寝子島へ帰ろう！
１０
「光！？」
巧はがばりと起き上がった。美咲紀が心配そうに顔を覗き込んでいる。
「椿さん！ 光は！？」
「光くん……は……」
美咲紀の声が消え入りそうになる。
「光は、どこか別の世界に行ったわ。翡翠たちと一緒にね……」
代わって答えたのは、莉鳥だ。唇を噛み締めている。
「何で！……ていうか、さっき僕がビリビリしたのって、椎井さんだよね！？ どうして！？」
「それが、翡翠との約束だったから」
武道が言った。
「光くんは連れてこないこと。君は一緒に行かないこと」
「だから僕が一緒に行くって言ったのに！」
「一緒だよ。翡翠にとって、君は邪魔なんだから」
「翡翠なんて関係ない！」
「関係あるよ。俺たちが、あのままあそこに残るかどうかの瀬戸際だったんだからね」
武道は努めて冷静に、感情を入れずに話した。誰かが決めなければならなかった。武道は悪役になることを分かった上で、その役目を買って出た。
巧にもそれは分かった。尚も言い返そうとしたが、それ故に言葉を見つけられなかった。他人を犠牲にしてでも光と共に行く――それが出来る性格なら、どれだけ楽だったろうか。
「……どこ行ったんだろうね」
ロベルトが呟く。
巧たちを帰した後、翡翠は琥珀、柘榴と共にどこか別の世界に飛んだはずだった。――彼が嘘をついたのでなければ。
もし嘘なら、今頃、あの世界はどうなっていることか。確かめる術はない。
「……一緒に帰ってきて、お花見したかったですね」
一緒にご飯を食べて、笑って、遊んで、寝て。
そうして、これからのことを自分で決める。それが生きていくということだ、と美咲紀は思っていた。
「いつか来るさ」
翡翠は言っていた。巧たちを寝子島に飛ばした後、自分たちもどこか別の世界へ行くと。どこへ行くかは分からないし、それで雲母たちのエネルギーも切れるため、更に別の世界へ行くことは出来ないと。
だから、慰めに過ぎないと分かってはいても、修は言わずにいられなかった。
「いつか来るさ。それに光はもう、昔の琥珀じゃない」
これからも様々な経験をするだろう。そうして成長し、破壊するだけではなく、周りを照らす“ひかり”になれるはずだと修は思った。この次に会うときは、きっとみんなで笑いながらご飯を食べられるはずだと修は言った。
「花見と言えば」
樹が軽く首を傾げた。
「今、何日の何時？」
「そういやそうだ」
あの世界では時間の流れが緩やかだったが、感覚としては、三日以上は経っているはずだ。亮はスマホを取り出し――目が点になった。
「兄さん？」
「全然、時間が経ってない……」
飛ばされたのは、真昼間だった。今は午後六時。日付は――同じだ。
「まさか！ 時計が狂ってるんじゃない？」
「いや、弁当があっちに転がってた。あの日のままだ」
周囲を見てきた雅樹が報告した。
光と一緒にピクニックに来たあの日。柘榴が現れ、飛ばされたあの日。
「俺が飛ばされたのはお前たちより後だけど、あんまり時間は経っていないな」
それを聞いた莉鳥が、巧の手を引っ張った。
「帰りましょう」
「え？」
「大家さんが待ってるはずよ。帰りましょう、ほら――」
莉鳥が走り出し、足がもつれそうになりながら巧はついていった。
雅樹たちも慌てて後を追う。
「行って、帰ってきただけ、か」
夕焼けを振り返り、ロベルトは呟いた。「だけ」と言うにはあまりに長く、あまりに多くの経験をした。
今までと同じ生活は送れないかもしれない。けれど、それでも元通りの生活に戻るしかないのだ。
莉鳥は多分、そう言いたいのだろうとロベルトは思った。
「元通りにはなれないな」
遥斗が応える。あの世界で出会った人々のことを忘れるわけにはいかない。せめて、アイリスのことを心に留めておこう、もし出会ったら、リリーたちのことを話してやろう……。
沈んでいく夕日を背に、彼らは、日常へと戻っていくのであった。
「光！？」
巧はがばりと起き上がった。美咲紀が心配そうに顔を覗き込んでいる。
「椿さん！ 光は！？」
「光くん……は……」
美咲紀の声が消え入りそうになる。
「光は、どこか別の世界に行ったわ。翡翠たちと一緒にね……」
代わって答えたのは、莉鳥だ。唇を噛み締めている。
「何で！……ていうか、さっき僕がビリビリしたのって、椎井さんだよね！？ どうして！？」
「それが、翡翠との約束だったから」
武道が言った。
「光くんは連れてこないこと。君は一緒に行かないこと」
「だから僕が一緒に行くって言ったのに！」
「一緒だよ。翡翠にとって、君は邪魔なんだから」
「翡翠なんて関係ない！」
「関係あるよ。俺たちが、あのままあそこに残るかどうかの瀬戸際だったんだからね」
武道は努めて冷静に、感情を入れずに話した。誰かが決めなければならなかった。武道は悪役になることを分かった上で、その役目を買って出た。
巧にもそれは分かった。尚も言い返そうとしたが、それ故に言葉を見つけられなかった。他人を犠牲にしてでも光と共に行く――それが出来る性格なら、どれだけ楽だったろうか。
「……どこ行ったんだろうね」
ロベルトが呟く。
巧たちを帰した後、翡翠は琥珀、柘榴と共にどこか別の世界に飛んだはずだった。――彼が嘘をついたのでなければ。
もし嘘なら、今頃、あの世界はどうなっていることか。確かめる術はない。
「……一緒に帰ってきて、お花見したかったですね」
一緒にご飯を食べて、笑って、遊んで、寝て。
そうして、これからのことを自分で決める。それが生きていくということだ、と美咲紀は思っていた。
「いつか来るさ」
翡翠は言っていた。巧たちを寝子島に飛ばした後、自分たちもどこか別の世界へ行くと。どこへ行くかは分からないし、それで雲母たちのエネルギーも切れるため、更に別の世界へ行くことは出来ないと。
だから、慰めに過ぎないと分かってはいても、修は言わずにいられなかった。
「いつか来るさ。それに光はもう、昔の琥珀じゃない」
これからも様々な経験をするだろう。そうして成長し、破壊するだけではなく、周りを照らす“ひかり”になれるはずだと修は思った。この次に会うときは、きっとみんなで笑いながらご飯を食べられるはずだと修は言った。
「花見と言えば」
樹が軽く首を傾げた。
「今、何日の何時？」
「そういやそうだ」
あの世界では時間の流れが緩やかだったが、感覚としては、三日以上は経っているはずだ。亮はスマホを取り出し――目が点になった。
「兄さん？」
「全然、時間が経ってない……」
飛ばされたのは、真昼間だった。今は午後六時。日付は――同じだ。
「まさか！ 時計が狂ってるんじゃない？」
「いや、弁当があっちに転がってた。あの日のままだ」
周囲を見てきた雅樹が報告した。
光と一緒にピクニックに来たあの日。柘榴が現れ、飛ばされたあの日。
「俺が飛ばされたのはお前たちより後だけど、あんまり時間は経っていないな」
それを聞いた莉鳥が、巧の手を引っ張った。
「帰りましょう」
「え？」
「大家さんが待ってるはずよ。帰りましょう、ほら――」
莉鳥が走り出し、足がもつれそうになりながら巧はついていった。
雅樹たちも慌てて後を追う。
「行って、帰ってきただけ、か」
夕焼けを振り返り、ロベルトは呟いた。「だけ」と言うにはあまりに長く、あまりに多くの経験をした。
今までと同じ生活は送れないかもしれない。けれど、それでも元通りの生活に戻るしかないのだ。
莉鳥は多分、そう言いたいのだろうとロベルトは思った。
「元通りにはなれないな」
遥斗が応える。あの世界で出会った人々のことを忘れるわけにはいかない。せめて、アイリスのことを心に留めておこう、もし出会ったら、リリーたちのことを話してやろう……。
沈んでいく夕日を背に、彼らは、日常へと戻っていくのであった。
あとがき
担当マスター：
泉 楽
ファンレターはマスターページから！
ご参加ありがとうございました！
「寝子島へ帰ろう！」リアクションをお届けします。
途中、お休みも頂きましたが、この長いシリーズを見捨てず、ご参加くださった皆様にまずは深くお礼を申し上げます。
「らっかみ！」に参加して、ほぼいきなりのシリーズもの。やや無謀だったかな、と思いつつも、またその内にやりたいなーと考えています。それにアイリスのことが残ってますしね…出したいですね…。
リリーたちヴァルキリーを掘り下げられなかったのも残念です。
誤字を含め、力不足を実感しています。精進します。
ともあれ、ありがとうございました。
また機会がありましたら、お会いしましょう！
「寝子島へ帰ろう！」リアクションをお届けします。
途中、お休みも頂きましたが、この長いシリーズを見捨てず、ご参加くださった皆様にまずは深くお礼を申し上げます。
「らっかみ！」に参加して、ほぼいきなりのシリーズもの。やや無謀だったかな、と思いつつも、またその内にやりたいなーと考えています。それにアイリスのことが残ってますしね…出したいですね…。
リリーたちヴァルキリーを掘り下げられなかったのも残念です。
誤字を含め、力不足を実感しています。精進します。
ともあれ、ありがとうございました。
また機会がありましたら、お会いしましょう！
シナリオ
シナリオデータ
- 担当ゲームマスター
- 前回シナリオ
- シナリオタイプ（らっポ）
-
- ブロンズシナリオ（100）
- グループ参加
-
- 3人まで
- シナリオジャンル
-
- ＳＦ・ファンタジー
- バトル
- 定員
-
- 15人
- 参加キャラクター数
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2018年03月20日
- 参加申し込みの期限
-
- 2018年03月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2018年03月27日 11時00分
