寝子島的格闘湯巡アルヨ｜リアクション

寝子島的格闘湯巡アルヨ

【そして伝承へ……】

　九夜泉郷にて、数多の激しい戦いが繰り広げられている中。
　間もなくその決着もつこうかという頃合い、九夜山頂に佇む海原流脱衣真拳道場に、三人の男たちの姿があたアルヨ。
「自分以外の全員を脱がせ……というからには当然、あなたも含まれてるんですよね？」
　一人は、海原流脱衣真拳ブーメランパンツ派、志波武道。
「大丈夫ですか？　マスター超えだなんて」
　武道の傍らに立つのはこれまたブーメランパンツ派である、岡瀬靖久。
　そして二人が相対する者こそが、彼ら門下生の頂点に立つ真の使い手。
「ふっ。よくぞ私の真意に気づいた」
　海原流脱衣真拳開祖、羽織を肩にかけブーメランパンツを履いた海原茂、その人ネ！
　そう……武道が挑むのは、師範超え！
「いやぁ、俺って割とチャレンジャーなところあるからネ！　どうせならマスター超えに挑んでみようかと」
「そう、奥義を手にする者は師である私をも超えねばならない……その意気や良し！　しかし、本当に私に勝てると思うかね？」
「なーんの、やってみなきゃ分かりませんて！　それじゃ行きますよ、アイヤーーー☆」
　限界を越えた神速脱ぎ、その極意を掴むため秘奥義を手にせんと、武道の挑戦が始またアル！
「ええと。頑張って、武道くん」
　なし崩しに見届け人となた靖久。
　実のところ靖久と武道は、技を競い合ううちいつしか共闘し、無数の門下生を裸に剥くことでここにまでたどり着いたのでアル。今や互いの技と力量は知り尽くしているが故、靖久も武道の師範超えが真実味を帯びていることは分かていたネ。
「とうっ！　ズボンを早脱ぎする時の動きでキーーーック！！」
「ぬっ、テコンドーか！」
　武道は師父の言葉通りに、テコンドーを主体とする多彩な蹴り技で勝負をかけるアル。
　対する海原師父は巧みな体捌きでこれを避け、鋭い突きを繰り出したネ。
「！！　どわーーーっ」
「ほほう、避けたか」
　属理（ぞくり）……感じた直感が武道を飛び退かせ、辛くも避けたものの、背に伝うのは冷たい汗。
　武道のみならず、靖久もその技には戦慄したネ。
「これが真の、海原流脱衣真拳……ッ！」
　師父の技、これ全てが一撃必脱の破壊力！　一度でも隙を見せたなら武道のブーメランパンツは粉々に弾け飛ぶことは必定ヨ！
「こ、これほどの力とは……」
「では、今度はこちらからゆくぞ？」
　一転、攻勢に回る海原師父。肩の羽織をはためかせ猛攻を仕掛けるも、
「よし！　これを待ってたゼイっ。うりゃあああ！！」
　これは武道の作戦通り。度我っ！　架運多亜（かうんたあ）の蹴りが炸裂し、師範の羽織が散り散りに弾け飛んだネ。
　超えるべき師範に対して、これは手応え十分！
「よし、行ける！」
　と。
「……まさか」
　武道の挑戦を見守っていた岡久は、ある可能性にたどりついていたネ。
　腕を組み、まんじりともせず闘いを見据えながらもそれを口にしたアルヨ。
「『服を着てても下着だけ抜き取る拳』……けれど今、志波さんは道着であるブーメランパンツ以外身に着けていない。まさか……」
　目の前では今まさに決着を着けんと、踏み込む師父。迎え撃つ武道！
「狙いバッチリ、もらった！　カウンターの蹴りを食らえ～～～っ！」
「い、いけない志波さん……！」
　武道と師父の技が交錯し、やがて互いに背を向けた二人。
　戦いに一拍の沈黙が生まれた後……素破ァァァン！！
「ぐわあああやられたＺＥーーー☆」
　武道のブーメランパンツは弾け飛び、全裸敗北！
「そう……我が海原流の秘奥義は、『服を着てても下着だけ抜き取る拳』。転ずれば手を触れず、目に見えている衣服を剥ぎ取るなど容易なことよ」
「な、なんと恐るべき奥義……！」
　そう、それこそが海原流脱衣真拳を極めた者がたどり着く、絶技なのでアル！
「いやーさっすが強いですね師父！　ごめんなサーイ☆　というわけで負けちったから、岡瀬さんあとヨロシクゥ！」
「ええっ！？」
　武道はスライディング土下座で敗北を認めつつ、アレやコレやが見えないようにか、土下座体制のまま離脱していたアル。器用アルナ。
　残されたのは靖久と、不敵に笑う海原師父。
「さて、君はどうする？　師父を超え、秘奥義を手にせんと私に挑むかね？」
「ぼ、僕は……」
　靖久は一瞬、逡巡したヨ。
　とはいえ彼は、海原師父の秘技を前に、臆したわけではなかたアル。
「その技を封印するために、ここまで来たんだ。あまりのめり込むつもりは無かったのだけど」
　構えは踊るように麗しく、足運びは流麗に。
　靖久は逃げ去るどころか自ら踏み込み、師父と対峙する道を選んだネ！

「……脱がすのも、少し楽しくなってきたところです。
全力で挑ませてもらいますよ！」
「よかろう。来るがいい！」
　師父と弟子の闘いは、いざ最終決戦へ……！

　……さて。いかなる文献を紐解いても、海原流脱衣真拳を巡る一連の伝承は、ここで途切れているアル。
　靖久は師父を打ち破ることができたのか？　海原流秘奥義『服を着てても下着だけ抜き取る拳』は、誰に受け継がれることとなたのか？
　今となては、全ては謎ネ。
　しかして衣服のみを破壊し、人を殺さず人を活かさんと志した彼ら武術家の精神は、必ずや時を超え現代へと受け継がれているはずヨ。
　次に海原流を究めるのは、これを読んでいる君かもしれないアルナ！

　　　　　　　──寝子島書房刊『海原流脱衣真拳　～脱がして勝つ！　異彩の拳法、その真実～』より抜粋

「ほほう。失われた伝説の武術、脱衣真拳か
……実に興味深い」

劇終！！

　

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。
　お待たせしました！　『寝子島的格闘湯巡アルヨ』のリアクションをお届けするアルヨ。

　今回はキャンペーンのプレゼントシナリオということで、基本的なアイディアはプレイヤーさまにいただきつつ、味付けはそれはもー好き勝手にやらせていただきました。楽しかった！
　ちなみにアルアル調なのは単なる思い付きでしたが、これが思いのほか難しくて大変だったりしました。でも楽しかたアル！
　なんでもアリの脱衣バトルということで、皆さんのアクションもキレッキレでしたね！
　なるべく削らず盛り込ませていただきましたが、楽しんでいただけておりましたら幸いです～。

　それでは、今回もご参加いただきましてありがとうございました！
　また次のシナリオでお会いできますことを、心よりお待ちしております～。
　お疲れさまでした！

↑ページトップに戻る

寝子島的格闘湯巡アルヨ

あとがき

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧