だらだらウィルス、感染拡大中！？｜リアクション

だらだらウィルス、感染拡大中！？

●それぞれの戦い（２）

　ウォルター・B先生と合流した倉前七瀬は、
「ふむん、つまり、感染者をどうにかせんといかんのですね」
　という具合で、ようやっと状況を把握した。
　白い魔弾をビシバシ飛ばしながら、ウォルター先生が「みたいだねぇ」と応じる。
「中々の数だよねぇ。流石にちょっと、厄介だなぁ」
「任せてください！　僕も、微力ながらお手伝いします」
　言うや、七瀬は、死角からウォルター先生を狙う感染者へと、
「頑張りますよー！」
　と《やる気》と《パッション》を込めた声を上げると共に、体当たりを食らわせた。
　しかし、そんな七瀬にも、感染者の魔の手は迫って――。
「そこの２人、動かないでくださーい！」
　声が響いたのは、その時だった。
　声の方へと視線を遣った七瀬が見たのは、七色の輝き。
　無数のビー玉が、陽の光を浴びて煌めきながら、感染者達の足元を掬う。
　七瀬に襲いかからんとしていた感染者も、ビー玉に足を取られてすっ転んだ。
　ビー玉にも《やる気》若しくは《パッション》がこもっていたらしく、
「……起き上がりませんね」
　感染者達は、ビー玉攻撃に大打撃を受けたようだった。
「わ、めちゃくちゃ効いてる！　爽快だな～♪」
　声を華やがせ、瞳を生き生きと煌めかせるは、新田樹だ。
　その口元に、悪戯っぽい笑みが、にたりと乗った。
「まだまだ敵はいるみたいだし、どんどん行くよ！　たーまやー！」
　樹が手にしたザルには、さっき放ったはずのビー玉が再び山盛りになっている。
　――ろっこん『箱庭（リトルガーデン）』。
　複数の対象物の瞬間移動を可能とする樹の能力が、ビー玉攻撃を無限に仕掛けることを可能にしていた。
　次々にビー玉の光が辺りに散り、感染者達をばたばたと倒していく。
　突如現れた脅威を前に、感染者の一部が樹をターゲットに切り替えるが、
「折角楽しんでるんだから、邪魔しないでね！」
　と、好奇心でいっぱいの《パッション》溢れる警棒の一撃を食らえば、成す術もなく沈むのみ。
「さあ、お祭りは、まだまだここからだよ～♪」
　ノリノリの樹と、彼女に次々退治されていく感染者達。
　そんな光景を前に、七瀬とウォルター先生は、思わず顔を見合わせた。