目前に広がる異様な光景に、
新田 樹は愕然と……まではしなかったが、流石に少しは驚いた。
「何これ……?」
街のど真ん中で、老若男女を問わず、多くの人々がだらだらしている。
ある人は道路で横になって漫画の頁を捲り、ある人は真っ昼間からベンチでへらへらと酒盛り。
真っ当にシャキッとしている人なんて、全然見当たらない。
(いやいやいや、おかしいよ! 一体何が……)
というところまで樹が考えた時、頭の中に声が響いた。
テオの声だ。
『ちっ。また神魂のお陰で面倒なことになったな……』
テオが語るところによると、寝子島中に、あるウィルスが溢れてしまったらしい。
「ウィルス?」
『仮に、《カオル・ウィルス》と呼ぶか。寝子島は既に、感染者だらけだ』
「やだ! パニックホラーの映画や漫画みたい!」
『おい、はしゃぐな。……で、だな。このウィルスに感染すると……』
「すると?」
『思いっきり怠惰になって、所構わずだらだらしてしまう』
「あっ、この状況には納得できたけど私の思ってたのとなんか違う」
薄れるパニックホラー感に、ちょっぴりがっかりする樹。けれど、
『で、厄介なことに、感染者はだらだらしてない奴を見つけると豹変して襲いかかるわけだ』
「パニックホラー感がちょっと戻ってきた!!」
そう、樹は、そういう感じのを求めていたのである。
だらだら、というのはやっぱり何だか締まらないが、
「突如現れた謎のウィルス、未感染者を襲う感染者達……まあ、及第点かな」
『ちなみに、武器は《やる気》と《パッション》を込めた攻撃だ』
「わ、何だかへんてこだけど、一応はバトルもありなのね!」
その後、一通り状況などを説明したテオは、『あとは任せた』と色々と放り投げた。
ウィルスに感染していないのに怠惰な感じである。まあ、とにかく、
「多少はパニックホラー風味だし、折角だから楽しんじゃおうかな?」
なんて、樹は瞳をきらんと輝かせた。
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
シナリオ『それいけ蚤の市! ~欲しい物は何ですか?~』より、
新田 樹さんの願い事をシナリオ化させていただきました。
樹さん、ガイドへの登場誠にありがとうございました!
もしこのシナリオにご参加いただける場合ですが、
ガイドは一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ。
以下、シナリオの詳細でございます。
このシナリオの概要
とある休日、神魂の力で、寝子島中に《カオル・ウィルス》が蔓延してしまいました。
既に世界は切り分けられていますが、切り分けられた世界には感染者がうじゃうじゃ。
《カオル・ウィルス》に感染すると生き物は怠惰になり、所構わずだらだらしてしまいます。
ですが、感染者は、だらだらしていない相手を見つけると、途端に機敏な動きで獰猛に襲いかかる習性があり、
感染者に噛まれた場合、すぐに《カオル・ウィルス》に感染してしまいますのでご注意を。
(だらだらしてみせることで、感染者を欺くことも可能です)
なお、感染者に対抗し得る我らが武器は、《やる気》や《パッション》です。
それが《やる気》や《パッション》を乗せた一撃なら、
例えばそれがへろへろのパンチでも、感染者に大きなダメージを与えられます。
《やる気》や《パッション》に溢れた台詞を叫びながら攻撃するとより効果的で、
確実に、感染者を一撃で倒すことができます。
また、倒した感染者は、目が覚めるとウィルスから解放されていますので、
寝子島が元に戻った時の為に、あまり危険な攻撃は避けてあげてください。
《やる気》や《パッション》は拳に乗せてもいいですし、飛び道具等に乗せることもできます。
なお、感染者達とのバトルにおいて、万が一ウィルスに感染した場合は、
その時点以降の行動は基本的に指定できなくなってしまい、
だらだらしたり、未感染者がいたら襲いかかったりします。
(「こんなふうにだらだらする!」「こんなふうに襲いかかる!」という指定は可能です)
ウィルスの流行を食い止めることに成功した場合、
巻き込まれた一般の人々は神魂パワーでこの事件を「夢だった」と思うようになりますので、
大きな怪我人が出ないように注意しながら、存分に暴れ回ってくださいませ!
なお、今回のシナリオでは、もれいびでなくても、ガイド本文のテオの声を聞くことが可能です。
このシナリオでできること
以下のABのどちらかひとつを選んで、
必ず「キャラクターの行動」欄の冒頭に【A】【B】と記入してください。
双方の結果によって、寝子島が救われたり、事態が収まらずに新たな展開を迎えたりします。
(後者の場合は、後日、何らかの形で救済シナリオが出ることになります)
【A】VS、ウィルス感染者!
寝子高、シーサイドタウン、星ヶ丘、九夜山の各地域で、大勢のウイルス感染者達と戦います。
基本的に、ばっさばっさと無双することが可能ですが、
敵は大勢ですので、逆に押し負けてしまう可能性もあり得なくはありません。ご注意を。
寝子高では、ギャルパワー(物理)で戦う三宅 ゆり、
シーサイドタウンでは、《やる気》と《パッション》を白い魔弾(チョーク)に乗せるウォルター・B先生、
星ヶ丘では、なんかもう自棄になって大暴れの野菜原 ユウ、
九夜山では、「うそ、もうこんな所にまで感染者が!?」な犬杜 初と、それぞれ共闘することも可能です。
倒せば倒すほど、【B】の旧市街に向かう敵の数が減ります。
【B】旧市街にて川添先生を復活させよう!
だらだらしたい気持ちが神魂とうっかり共鳴してしまった川添 かおる先生。
ウィルスの生みの親(無自覚)ですが、ウィルスを生み出したことで力尽き、
本人は、参道商店街の路上で行き倒れて(気持ち良く眠って)います。
川添先生を起こし、どうにかして「よし、用事を済ませよう!」という気持ちにさせることができれば、
それ以降の感染はなくなり、また、感染者の力も弱まって【A】の戦闘が楽になります。
但し、旧市街・参道商店街にもウィルス感染者達がうろうろしていますので、
感染者対策なしには、川添先生を復活(?)させることは難しいかもしれません。
なお、川添先生の本日の用事は、
・近所の薬局でトイレットペーパーを買う
・近所のパン屋さんで食パンを買う
・近所の果物屋さんでバナナと手作りジャムを買う
以上です。
用事を済ませるところまでがっつりと描写がある可能性は低めですが、
説得(?)の材料等に、もし良ければご活用ください。
やや緊張感不足ですが、寝子島の平和は皆様の手にかかっています!
ご縁がありましたら、何卒よろしくお願いいたします!