メカリエチャンがやってくる！｜リアクション

メカリエチャンがやってくる！

「おい、お前はまた！」

　通行人に抱き着こうとした竜世を、タイラが抑え込んだ。タイラは自分の腕の中もがく竜世に言う。

「他の者にまで迷惑をかけるなっ！」
「えーこれもダメなのかよ！」

　竜世は唇を尖らせて、彼に抗議した。

「タイラにくっついてなかったじゃん！」
「そういう問題じゃない！」

　通行人は二人の前を素通りして遠ざかっていく。タイラもだめ、他人もだめ、竜世はどうすればいいのかわからなくなって、タイラに抱き着いた。タイラはそれに目を丸くする。

「いい加減にしろ！」
「じゃあどうすればいいんだよ！」

　暫しの問答の後、竜世はきょろきょろと辺りを見渡してメカリエチャンと黄井研究員が居なくなっていることに気付いた。

「あれ？　さっきの人は？」
「黄井研究員か？　あれなら車でどこかにいったぞ」
「えー」

　その時、

「をををををををーーー！！」

　二人の前に捕獲網射出機を構えて走る桜が、全速力で駆け抜けていく。彼女の抱えていたそれに、タイラはにやりと口角を上げた。そして、竜世ににこりと微笑みかける。

「おい、研究員の元に行けばあのバズーカを貸して貰えるようだぞ」

　そんなタイラの誘導を竜世は疑問に思うが、
　――バズーカかしてもらえんならまあいっか！
　と、流した。

「キイって人を探すかー」

「ンパー！　ンパー！」
「おやおや、愛らしいロボットさんですね」
「ンパー！」

　寝子島の海岸をるんたった、とご機嫌に散歩していたアケーチ・タッマーキは、不思議に愛らしいロボット、メカリエチャンと出会った。メカリエチャンもアケーチのただならぬ気配に、可愛らしく声を返す。

「そんな鳴き声も愛らしい……！」

　アケーチがメカリエチャンにうっとりして、はぁはぁと興奮し、激しく息を吐いているとその後ろから、バイクの音やら、空の風を切る音やら、誰かの靴音がバラバラにやってくる。

「いた！　メカリエチャン！！」

　荒太郎がメカリエチャンを指差して叫んだ。

「あやめさん、大丈夫ですか！」
「な、なんとか……」

　荒太郎の飛ぶ下を、レオンとあやめが走る。苦しそうに息を吐くあやめに、レオンは心配そうに声をかけた。

「すいません、先走っちゃって……」
「いえいえ……僕こそ、すみません」
「いやいや！」

　そんな彼らを一瞥して、アケーチはメカリエチャンに向き直る。

「なんだか情熱的に追われているのですね」
「ンパー！」

　元気よく答えたメカリエチャンに、アケーチは微笑んだ。場を包む熱気に、アケーチは高揚する。そして、

「皆様の愛をビンビンに感じてしまいます……！　ふふ……！」

　――あんな熱い愛を私もぶつけられてみたいものですね。
　ふふ……！　と、アケーチは妖しく笑った。

「ンパー！」
「うわっ！？」
「こんどは下着がいっぱい落ちてきたー？」

　その後ろで、パンツの風が吹く。