メカリエチャンがやってくる！｜リアクション

メカリエチャンがやってくる！

「といってもどうしよっかー」
「一先ず追いかけてくれ！」

　先を行く黄井研究員の後ろで、雨崎荒太郎は、腕を組んで考えこんだ。そうしている間にも、メカリエチャンは寝子島を爆走している。メカリエチャンはシーサイドタウンの道を北、参道商店街へと向かって行く。

「ンパー！　ンパー！」
「うわっ！？」
「なんだこりゃあ！？」

　メカリエチャンに近付いた人間が、次々とふんどし姿にされていった。荒太郎はその光景を見て、走った電流にロッカーへ走る。

「よーし！　おっけー」

　ロッカーにしっかりと畳んだ服を預けた荒太郎は、後光が差すほど神々しい海パン一枚の姿になり、鳥のように飛べるようイメージした。すると荒太郎の足がふわりと浮き上がり、メカリエチャンの通る先、その屋根の上へと飛び上がる。

「でぃーふぇんす！　でぃーふぇんす！」

　荒太郎が空からメカリエチャンを追っていたその頃。滝原レオンはその横を爆速で走り抜けていったそのロボットに、思わず目を丸くした。

「……は？」

　レオンが呆けていると、キキィ……！！　と、大きなブレーキ音が鳴り、空から荒太郎が降ってくる。荒太郎はレオンの姿を見つけると、口を開いた。

「今こっちにメカリエチャン来なかった！？」
「は？　え？　メカリ……何？」
「さっきのロボットだ！」

　戸惑っているレオンに、車の窓から黄井研究員が顔を出す。レオンは説明を受けてもなお戸惑ったまま、えっ、えっと声を出していた。黄井研究員は叫ぶ。

「少年！　君も手伝ってくれ！」
「お、おお……？」
「あのロボットを一緒に捕まえてほしいんだ！」

　その勢いに、レオンは断れずに頷いてしまった。荒太郎は別の方向を指し、飛び立つ。

「僕たちはあっちから回り込むよ！」
「ということで、よろしく頼む！」

　黄井研究員はバックして車道を走り出した。商店街の道には、レオンが一人残される。

「……ハァ？」

　彼が呆然としていると、その後ろから叫び声と、メカリエチャンの声が響く。

「ンパー！　ンパー！」

　メカリエチャンはそのまま商店街へ走っていったようだった。レオンは渋々ながら、メカリエチャンを追いかける。キスしていたり抱き合っていたり、脱ぎだしたりする人の横を駆け抜けながら、レオンはメカリエチャンを探した。商店街を走っていくと、『浅葱眼鏡店』の看板を構えた店が見える。

「居た！？」
「ンパー！　ンパー！」

　そこに、メカリエチャンは居た。メカリエチャンはレオンの姿に気付くと、スピードを上げて逃げ出す。

「待てぇぇぇ！！」

　レオンも速度を上げて追いかけた。その先にどんな出会いが待っているか知らずに。

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