メカリエチャンがやってくる！｜リアクション

メカリエチャンがやってくる！

　恍惚とした顔で呼び笛の先端を舐め、

「ハーメルン明智の異名を持つ、私の笛テクニックをぜひ……」

　と妖しく笑うアケーチ。それを横目に、タイラはん、と黄井研究員に広げた手を差し出した。

「ボクにも呼び笛を貸して貰おうか」

　黄井研究員はタイラにも呼び笛を渡す。それをしっかりと握ったタイラは、竜世に視線を向けた。

「正面からいっても無駄だ、隠れるぞ」

　海岸には修の置いたパンツが散乱し、ぼこぼこと『分解』された穴が空いている。その岩陰に二人隠れた竜世とタイラは、目配せし合って作戦を確認した。

「ボクがこの笛で呼び出すからお前がソレで捕まえるんだ。いいな」

　囁きかけるタイラに、竜世はぐっと頷く。

「おっけー！」

　海岸に、アケーチ、あやめ、レオン、タイラの吹く呼び笛の音がハーモニーを奏でた。メカリエチャンはその音色にふらふらと引き寄せられ、射出機の射程に入ってくる。
　――へへっ。ひそむってなんかバルティーグルになったみたいだ。
　そう心の中で笑いながら、竜世は射出機を構えた。

　速度を下げたメカリエチャンの前で、すっかりふんどし姿になった修が優しく微笑む。

「皆心配しているよ、おうちに帰ろう」
「ンパー……」

　メカリエチャンは呼び笛の音に混乱しながら、ふらふらと修の周りをまわる。メカリエチャンが一歩踏み出そうとしたとき、その前に竜司の足が割り込んだ。

「ちょっと失礼……」

　次に続いた言葉によって金属のように硬化したそれが、メカリエチャンの脚部にひっかかる。

「まゆ先生、大好きだ！！」

　転倒しゆくメカリエチャンに、射出機から放たれる網が四方八方から降ってきた。

「いっけー！」
「リエちゃん、ウンエーさん、ごめんなさーい！！」

　メカリエチャンは我に返り、網から逃れようともがくが、それによって余計網は絡まり合いメカリエチャンを拘束する。

「ン、ンパー！？」

　捕獲、完了。海岸に歓声が沸き起こった。

このページにイラストを設定する