レイン・チョコレート・レイン｜リアクション

レイン・チョコレート・レイン

◆ナガレ＝サンのメシテロ・ジツ！

「あー、腹減ったなー」

　放課後のシーサイドタウンで、水守流はこう呟いた。胃は食べ物を求めてぐうぐうと鳴っている。さて何が食べたいか。今日の自分は何腹だ。流は自分の腹と相談しながら考えた。

「……甘いもの食いてぇー」

　なんとなく甘い物が食べたい気分だと、流は決めてさて具体的にはどうだと思考を進める。

　――今日の気分は和菓子より洋菓子、それもクリーム系よりチョコレートの気分ってとこかー。

　そう考えながら歩いていると、ちょうど前にネコンビが見えた。流はこれ幸いにと、そこへ歩を進める。

　――ネコンビでチョコ系のお菓子いいのあるかな……。

　その時、流の頭に何かが降ってきた。

「いてっ！」

　流は降ってきた何かを探すべく、頭を押さえながら足元を見回す。流と同じ状況の人は他にもいるらしく、彼らはきょろきょろと辺りを見回していた。そうして足元になにかの箱を見つけると、流はすぐさまそれを拾い上げる。最早電光石火の如く。なぜなら彼の足元に落ちていたのは――ニャディバの高級チョコレートだったのだ！　しかもニャディバの展開している商品のなかでも、とりわけ高い物だったのだ！

「うそやーん」

　これには流もこう言わずにはいられなかった。興味のあったものではあったが、高校生の財布では流石に買えないと思い、諦めていたのである。それが突然天から降ってきたのだから、流は何の奇跡かと思わずにはいられなかった。

「そ、それがこんなにもいっぱい！？」

　しかも、足元を見てみるとそんな高級チョコレートがごろごろと転がっている。流のテンションは急上昇した。その中に、ニャイズのチョコレートを発見して流は思わず手に取る。

　――あそこの生チョコうめーんだよなー。

　ちょうどチョコレートの気分だったこともあって、食欲を刺激された流はきょろきょろと周りを見渡した。すると、考えることは同じなのか、降ってきたチョコレートを食べる者が見える。

　――ふむ、食べちゃってもいいパターンだなこれは。

　流はそう納得して、手に取ったチョコの包装を剥がしていった。

「うひょー！　ニャディバのチョコだぜー！」

　中から覗いた様々なデザインのチョコレートが、流を楽しませる。それらを口に含むと、とろけるような甘さと深いコクがたまらない。流は味わいながら、思わず笑顔になった。

「うめぇうめぇ！」

　流がそう言いながら食べていくと、彼のろっこん『メシテロジツ』が発動する。そのせいか、彼の周囲を歩いていた人々が一斉にチョコレートを拾い集め、食べ始めた。傍から見ると怖い光景であるが、流はそれを気にせずチョコレートを味わう。その後ろでは、チョコレートの雨がしとしとと降り続けていた。