携帯戦記カプセルギア　第三話「共闘、カプギアマスターズ！！」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第三話「共闘、カプギアマスターズ！！」

【VS.YELLOW(2)】

「見てくれよ、俺のトリプルスリーを！」

　拓磨くんは、自慢のカプセルギアを取り出して、敵意をむき出しのYELLOWに懸命に語りかけます。
「俺さ、野球好きなんだ！　だから、カプギアも野球で揃えたかったんだけどなかなかいいパーツないんだよな。だから、ありもので代用して――」
「――うるさいうるさいうるさい！」
『……っ！？』
　突如大声を出したYELLOWに、ギアマスター達は思わず息を飲みます。
「――君のような、誰にでも理解される趣味を持つ人間には僕らの気持ちなんてわからない。ギアバトルがしたい？　それは何が目的？　哀れみ？　同情？　冗談じゃない！　そういうの一番ムカつくんだよ！」
「……っ！？」
　小柄なYELLOWの凄まじい剣幕に、拓磨くんは言葉を詰まらせます。
　そんな二人のやりとりを由枝くんはどこか悲しげな表情で聞いていました。
（岩木さんが１００％善意で言ってるのはわかる。でも、それがかえって傷つくって気持ちもわかる）
　だから、由枝くんは何も言いませんでしたし、何も言えませんだした。
　ただ誰も悪くないのに傷つけあうことしかできないそんな現実が悲しかったのです。

「……ふーん。要するに、君、怖いんだ？」

　そのとき、能面のような顔から零れた、雪人くんの冷たい声が研究所内に響きました。

「……なん、だって？」
『YELLOW』の顔が気色ばみます。
「……君は偉そうに『YELLOW』なんて名乗っているけど、僕らと戦って、負けて、その名前が傷つくのが怖いんだ」
「お前っ……！」
　ぎりり、と歯ぎしりをする音が聞こえてきそうな形相で『YELLOW』が言うと、同時にカプセルギア――イエローライガーを取り出して、さらにギアバトルの申し込み画面を表示させます。
　それに合わせて、『YELLOW』の仲間達も、一斉にギアの準備をします。
「皆、準備はいいよね。始まるよ？」
『MAKIYUKI』こと雪人くんが確認するまでもなく、そこに集まったギアマスター達は一斉に自身のA.I.C.O.を起動し、申し込まれたギアバトルを受諾したのでした。

　　＊　＊　＊

「できるなら、こんな戦い方はしたくなかったが……」
　少し悔しそうに言いながら、ギアマスター『タク』こと岩木拓磨くんのトリプルスリーは、釘のついたバットを振るい、『YELLOW』似の仲間達の中に積極的に殴りこみます。
　最初に向かってきたの狼型のギア。その噛みつきを頭部の工事用ヘルメットでガード。反撃に釘バットを振るい、野球少年というより不良少年さながらの動きでギアに積極的なダメージを与えていきます。
『タク』の目的は、まず敵の数を減らしつつ、『YELLOW』の様子見をすること。
　当然、多対一の戦いになりますから、迂闊に背後を取らせないように注意を払っていますが、それにもやはり限界があります。
　そんな『タク』を遠距離から『セナ』こと瀬名由枝くんがサポート。

「貫け！　ミーティア！」

　左腕パーツで、空から無数の矢を降らせ、単身で突っ込んだトリプルスリーを敵に包囲させないよう足止めを続けます。
　そうすると、今度は自然と『セナ』のポラリスに向かって獣型ギアが殺到するわけですが、

「そう来ますか。それならば――」

「ノットゥルノ、蒼の絶叫！」
　次の瞬間、ギアマスターネーム『Cello（セロ）』こと神嶋星志郎くんが対応できています。左腕の群青色のパーツから放つ超音波による範囲攻撃がこちらに接近しきる前に獣ギア達を足止めします。
　そして、
「中距離戦なら、私のDiablo Azulの無反動キャノン砲で！」
　その足止めされたギア達に待ってましたとばかりキャノンを打ちこむのが、ゲーマーなギアマスター『AOI』こと仙藤蒼さん。
（……他の子はともかくとして、あの『YELLOW』って子は強敵ね。私のゲーマーの勘がそう告げてる！）
『AOI』はそう思うからこそ、今はまず確実に目の前の中距離の敵を処理していきます。
「ヌヌヌー。四足歩行が一杯デス……！　ならば……」
　ギアマスター『セツナ』ことトワ・E・ライトフェロゥも、そこで何をするかと思いきや。
「バディ！　そこでちょっと待ってるデス！」
　相棒のギア――ブレイズガーディをその場に待機させ、自分はおもむろに研究所内にある机やＰＣやらをめちゃくちゃに倒し始めました。何か考えがあるのでしょうか。