携帯戦記カプセルギア　第三話「共闘、カプギアマスターズ！！」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第三話「共闘、カプギアマスターズ！！」

【山小屋のカーネルさん(3)】

　GREENは想定外の状況に錯乱しているようでした。
（だったら、オレはGREENさんが逃げないように、窓と入口を見張るよぉ～！）
　瑠樹くんは、そう考え、山小屋の扉の前に陣取りました。いざというときろっこんを発動して、脱出を阻止しようというつもりでした。
　同時に、雪人くんは、同い年である翔くんと先輩である勇樹くんに指示を開始します
「赤羽さんは正面から近接戦闘で、とにかく敵の動きを封じて。鳳城と僕は左右からタイミングを合わせて遠距離攻撃を」
「斬り込み役か、任せろ！」
　勇樹くんはスマホをスワイプし、新装備の熱源センサーで、ステルス状態になっているカーネルさんの位置を探ると、一気に右腕のジャスティスブレードで斬りかかりました。
　それは光輝く斬撃！
　しかし、それに空中に突然出現した斬撃エフェクトが重なり、甲高い金属音が鳴ります。
「エフェクトが見えた。足は……あそこか！」
　翔くんは、脚を狙い、右腕のミニ大砲を発射。
　それに呼吸をあわせて、雪人くんもＢスナイパーガンで攻撃。
　連係で、ボディと脚部にダメージを確実に蓄積させていきます。
　一方、錯乱したGREENは、

「た、大変だす！　おいどんのミリ飯とまたたびメイトがこのままだと大変なことになるだすよ～～～！！！」

　透明なのに、ポケットにまたたびメイトを突っ込んでいるために居場所がまるわかりでした。
（自分より食べ物の心配をするなんて、凄いねぇ……）
　瑠樹くんはそんなGREENの声を聞きながら、いつでもろっこんを発動できるよう、ラズちゃんと一緒に連れてきたラピちゃんを抱えます。
　カーネルさんは、ジャッジメントの剣をサーベルで押し返すと、バックダッシュしながらショットガンでソードの範囲外から攻撃しようとします。
　しかし、カーネルさんのショットガンが火を噴くよりも早く、ジャッジメントの左腕のファイヤーガトリングが炎弾を吐き出し、その出鼻を挫きます。
「悪いな、俺のジャッジメントも遠近両対応なんだ！」
　ガトリングで動きを止めたカーネルさんに、勇樹くんが再びソードで斬りかかります。
　が、彼が接近しきるよりも先に、体勢を立て直したカーネルさんのショットガンがジャッジメントを狙い、
「……っ……ジャッジメント……！？」
　次の瞬間、撃たれたジャスティスは窓を破って小屋の外へと飛び出してしまったのでした。
　さらにそれに追撃を仕掛けるように、ブーストしたステルス状態のカーネルさんが窓の外へ移動します。
「……っ……暴走したギアを取り逃がすとマズい。皆、外へ」
　雪人くんの指示で、　勇樹くん、翔くんの二人が彼の背中を追って窓の外へ飛び出します。
「……ま、待つだす！　おいどんのカーネルさーん！」
「あ、待ってぇ～！」
　さらにその後を追う『GREEN』を止めるべく、

瑠樹くんがじっとラピくんを見つめた、そのとき。

「……ああっ！　お腹が窓につっかかって、身動きがとれないだすぅうううう！！！」

　そんな悲鳴じみた声が窓から聞こえたので、、
「……これで、『GREEN』さんが逃げる心配はなさそうだねぇ～」
　瑠樹くんは、のほほんと呟いて、自分はここで見張りに徹することにしたのでした。

　　＊　＊　＊

　早鳴くんは、暴走が始まる気配を樹上から感じていました。
「やはり暴走は避けられなかったか。こうなると、不干渉を決め込むわけにはいかないな……」
　ぽつり、と呟いたのと、窓からジャッジメントが吹き飛ばされて小屋の外に飛び出してくるのは、ほぼ同時でした。
　そのすぐ後を追うように、姿の見えないカプセルギアがエフェクトを巻き散らしてジャスティスに追いすがる姿が見えます。
「……よし、行こうか、ルリィ」
　ギアマスター『サナ』こと早鳴くんが呟けば、スピードに特化したカプセルギアのルリィが樹上から大きく迂回するようにして戦場に近づいていきます。