素敵な１枚はきっとどこかに｜リアクション

素敵な１枚はきっとどこかに

●カードゲーム

　白真白は行きつけのカードショップに来ていた。目的は今日開催される大会に参加するため。
　大会といっても毎週やっていて、誰でも参加できる小さな大会。新しいカードパックがついこの間発売されたので、真白はそのカードを使ってデッキを新たに組んだ。今日はそのデッキで参戦する予定だ。

「新しいカードを使った浪漫コンボを組み込んだデッキ、さぁ行くぞー」

　会場に入ると、普段より参加者が多い印象を受けた。新パックが発売されたばかりなので、真白と同じように新しいデッキを試したい人が多いのかもしれない。人数が増えれば、当然対戦回数が増える。気負うような大会ではないといっても、会場内にはどこか緊張感が漂う。
　一回戦であたったのは顔なじみだった。何度も来ているショップだとこういうのは珍しくない。試合開始の合図があるまで少しお喋り。そうしている内に緊張が少しずつほぐれていく。そうしてほどよく落ち着いたところで係員の合図がきこえた。お互いのデッキをカットして勝負開始。やや苦戦はしたものの、新デッキでの初試合は無事勝利を収めた。
　それから二回戦、三回戦と勝ち続け決勝戦の舞台へ。相手もさすが決勝戦に進んだだけあって、なかなか手ごわい。それでも諦めず必死に手を考える。思考を止めず、打開策を模索する。そして粘りに粘って、コンボに必要な手札が揃った。そこから放たれた起死回生の一手は真白を優勝へと導いた。

（あ、あれ？　浪漫コンボのつもりだったのにこれ結構きまるじゃん）

　浪漫コンボというのは勝敗よりもコンセプトを優先することが多い。しかし真白の構成したコンボは浪漫に寄せているものの決定力も高いし、本人の予想よりも強かった。

「ま、とにかく優勝だ」

　真白は優勝デッキのカードを全部並べて携帯のカメラに収めた。全部写っているのを確認して、動きの解説も一緒に載せてネコッターに投稿した。

「優勝記念で自作レシピ記念、いい思い出になりそう」

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