Mother's Day がやってくる｜リアクション

Mother's Day がやってくる

☆Festa della Mamma

「そっか～もうすぐFesta della Mamma（母の日）か～」
　寝子高２年のオルカ・ヴィヴァルディの両親はイタリア在住だった。
　ちなみにdella Mammaは美人のお母さんと言う意味である。
　オルカの母は日本人だけれど、イタリアでは母親に対する愛着がとても強い。
　オルカは両親に溺愛されて育った一人っ子だ。
（ん～盛大に祝いたいけど……イタリアは気軽に行こうってなるにはちょっと遠いんだよねえ）
「すっごく悩むけど～……今回は電話で。その代りできる範囲で頑張っちゃおうかな～」
　寝子島に来る時も色々してくれたマンマに、会えなくても感謝はちゃんと伝えないと、と思うオルカ。
　ネットで花を注文することにしたオルカは、カーネーションの花束とアザレアの鉢植えを選んだ。
　白色のアザレアの花言葉は、「あなたに愛されて幸せ」と「満ち足りた心」だ。
「これくらいでいいかな……あぁ、でも花ばっかじゃ味気ないかもね～」
　追加でエプロンも頼むことにした。
「Perfetto～！（よーし完璧）あとは当日に電話をかけるだけだね」

　そして母の日。時差を考えて電話する。
「Pronto,ciao mamma,（こんにちはママ）Sono Orca.ちゃ～んとうまくやってるよ」
「素敵なお花とエプロンをありがとう、嬉しいわ」
　マンマは弾んだ声でそう言ってくれた。
「マンマ、今パソコンの前に行ける～？　そう、送ったメール開いて。それがこないだやったライブの動画」
「ええ、これね。まあ！　素敵！」
　電話口から、ライブの曲と嬉しそうなマンマの声が聞こえる。
「ど～ぉ？　マンマの自慢の息子はかっこいいだろ？」
「ええ、とっても。ところで、隣に映ってる子は？」
「ん、一緒に歌ってるのは俺のだ～いじな人だよ」
　ライブで一緒に歌った相棒のことを思い浮かべながら、オルカはマンマの質問に答えた。
「息ぴったりでしょ。初めて会った時に運命だと思ってさあ……って～その話をする為にかけたんじゃなかった」
　マンマはもっと聞きたそうだったが、オルカは本来の目的を思いだした。
「母の日だからねマンマの好きな曲を歌うよ。リクエストはある？」
　マンマが告げたのは、オルカも昔から好きな歌だった。
「Va bene.（よし）しっかり聞いてね」
　電話越しに感謝の気持ちを込めて、歌う。
「Grazie di nuovo mamma！」
　改めてありがとう、と感謝の気持ちを告げるオルカだった。

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