＜七福猫シリーズ＞布袋猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞布袋猫を探せ編

「もしかしたら、意外な場所にいるかもしれないな……」

　観覧車を降りてから、八神修はあっちこっちにと布袋猫の姿を探し回る。時には猫の目線で、高いところから低いところまで、店の中も抜け目なく探した。そんな中、修は猫の鳴き声を聞いて振り向く。その先に見つけたものに、修は思わず口を開いた。

「お前達、どうしたんだ。皆、出て来ちゃったの？」

　そこに居たのは、修の飼い猫たちであった。サンタに扮してピンと立ち、修を呼ぶように鳴いている。修は慌てて駆け寄ると、飼い猫たちを観察して、その姿に心を奪われた。

「しかしサンタ服可愛すぎる……」

　修はポケットからデジカメを出し、パシャパシャと猫の姿を撮り始める。さらには抱っこして撫でまわしたりと、その心は猫まっしぐらだ。

「よーしよしよし」

　猫も気持ちよさそうに撫でられて、修の親バカ心を加速させる。しかし暫しそれを続けると、修は目的を思い出したようではっと我に返った。そして猫と視線を合わせて尋ねる。

「服と袋をくれた猫さんはどっちいったかな？」

　にゃおん。
　猫はひと鳴きすると、みんなである方向を見た。その先は――。

「アウトレットの方か？」

　にゃおん。
　肯定か否定か、わからないが猫たちは一斉にそう答える。そして、まるで軍隊か何かのように動きを揃えて、自分の袋の中をごそごそと漁り出した。

「え？　プレゼント？」

　やがて目の前にずらりと並んだプレゼントボックスを、修は目を丸くして眺める。

「皆くれるのかい？　おおう、有難うな」

　修はそう言うと、鞄からエコバックを出してプレゼントを大事に入れた。

「ねえ、あれなにー？」

　しかし、そんな時間も遠くから子供の声がして終わった。それと同時に、猫たちはくんくんとどこかからくる匂いに反応するや、一目散に何処かへ走り去っていく。

「み、みんな！　どこに行くんだ！？」

　修は狼狽え、猫たちを追いかけた。

「猫ちゃん行っちゃったー」
「えー？」

　布袋猫に心の中で助けを求めつつ、修が人気の少ない場所に出ると、そこには修の猫たちが集まってマタタビに酔い転げる光景が広がっている。ほっと胸を撫で下ろしたところで、背後から声がした。

「おお、八神。こんなところでどうした？」

　修は振り向いて、今までの緩んだ顔はどこへやら、クールな顔つきで口を開く。

「あ、ああ、御剣。布袋猫を探していたんだ」
「そうか。俺も探しているところなんだが、何か見つかったか」
「いや、これからだよ。ところで……」

　修はしゃがんで、刀の隣にいる瀬莉に視線を合わせた。修が続けようとした言葉を察したのか、瀬莉は落ち着いて答える。

「私もお手伝い！」
「そうか、えらいな」

　そうしていると、修と刀のスマホが鳴った。友人かららしきメールを開くと、そこには布袋猫の近くまで来た、すぐ来てといった内容が、地図付きで書かれている。三人は急いだ。