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五月の風に吹かれて
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星ヶ丘の邸宅で
椿 美咲紀
は気炎を上げる。ワンピースの上からエプロンを付けて広々としたキッチンを忙しなく動く。
テーブルには卵の殻が幾つも転がっていた。小麦粉が飛び散った跡が見られる。
「そろそろです」
冷蔵庫を開けて小さなカップを取り出す。中には薄い黄色の物体が収まっていた。小皿に目をやるが、使うことはなかった。立った状態でスプーンを突き入れる。掬い上げた黄色い物体を一口にした。
どこか表情が冴えない。
――私が風邪を引いた時に食べた、あの卵プリンと味が違うのです。味覚が鈍くなっていても美味しかった、シュー君に作って貰ったプリンと何かが違うのです。
先程よりも大きく掬い取り、口に運んだ。よく味わって食べる。眉根に薄っすらと皺が寄った。
渋い表情で一言。
「あの味ではないのです、むぅ」
唸るような声で目を閉じる。考え込んだ末に答えに行き着いた。
「シュー君を呼べばいいのです!」
嬉々として手を合わせて直後に表情を改める。
――風邪を引いた時に看病してくれたお礼でお茶会を催すのです。自作のプリンを自分で食べるよりも、人に食べて貰うつもりで作る方が上手に出来るような気がするのです。
自分の中で納得するとスマートフォンを取り出した。
数分後、
八神 修
が訪れた。水色のシャツと白いスラックスという軽装であった。
「お茶会にようこそなのです」
「看病のお礼にしては大袈裟だな」
「そんなことはないのです。あの時のことは忘れていないのです。とても感謝しているのです。このお茶会はささやかなものなので気にしないで欲しいのです」
笑顔の早口に修は表情を緩めた。
「遠慮しないで呼ばれるとするよ」
「では台所へ行きましょう!」
美咲紀は軽やかに舞うように案内する。修は妙に浮かれた友人に苦笑した。
台所に入ると甘い匂いに包まれた。テーブルには紅茶が用意されていた。銀製のケーキスタンドは三段になっていて焼き菓子やケーキが収まっている。
「メインはプリンなのか」
「もちろん、プリンがメインなのです」
席の最前に西洋風の絵皿が置かれていた。中央には手作りと思われるプリンが乗せられている。
「さあ、どうぞ!」
イスを引いて笑顔で促す。修は何か言いたそうな顔で従った。その隣に美咲紀が横向きで座る。
「その座り方は、どこの国の作法なんだ?」
「気にしないでパクッといっちゃってください」
美咲紀は手の動きで急かす。
「まあ、いただきます」
置かれたスプーンを手に取った。天辺の横を掬い取り、口に入れた。若干、美咲紀の顔が近くなる。
「どうです?」
「……見た目は悪くないが、味は及第点に届かないかな。たぶん、加熱時間に問題があったのだと思う」
「そうですか……」
落ち込んだのは一瞬で美咲紀の顔が近くなる。期待に胸を膨らませた様子に修は理解した。
「俺が作り方を教えるよ」
「さすがはシュー君なのです」
「喜ぶのはいいが俺は脇役だ。方法を教えるだけで実際に作るのは美咲紀だからな」
「甘いプリンであっても、そこまで甘えるつもりはないのです」
決め台詞と言わんばかりの誇らしい顔となった。
「とんだ茶会があったもんだ」
気が置けない友人に修は軽口を叩く。
「早速だが始めようか」
「シュー先生、よろしくお願いするのです。エプロンをどうぞ!」
「随分と用意がいいな」
修の指摘に美咲紀は屈託のない笑みを見せた。
「まずは卵を用意する。二人なら二個で十分だ」
「わかったのです。では華麗に割って見せましょう」
「片手ではやらない方がいい。ボウルの縁にぶつけるのも良くない。卵の殻が入る可能性があるからな」
修は一個の卵を手にした。横向きの状態でテーブルに軽く打ち付ける。両手で開いて中身をボウルに入れた。
「角張ったところにぶつけなくても卵は割れる」
「なるほど、確かにそうですね。主婦歴二十年のベテランの言葉はとても重いのです」
「その設定は酷くないか。若手の料理研究家くらいで頼む」
「仰せの通りに」
大仰に頭を下げると美咲紀は卵を手に取った。同じ手順で卵の中身をボウルに落とす。
「用意が出来たら撹拌だ。ミキサーは使わないで感覚で覚えて貰う」
「泡立て器があるのです」
美咲紀は手慣れた様子で掻き混ぜる。修は横に付いて卵の状態を見た。
「ダマにならないようによく混ぜることが大切だ」
「わかったのです」
修の細かい指示を受けながら撹拌した。砂糖や牛乳を計量カップで計り、よく馴染ませる。
「それくらいでいい。あとは容器に入れてレンジで加熱する」
「わかったのです」
「注ぐ時に慌てないように。出来た泡は取り除けばいいからな」
「二十年の料理研究家の薀蓄が詰まっているのです」
「微妙に設定が混ざっているんだが」
「プリンと同じなのです!」
自信に満ちた一言に修は、上手くないから、と苦笑気味に返した。
「ここが肝心だ。加熱の温度と時間は厳守すること」
「はい、なのです!」
多機能レンジに容器を収める。加熱の温度と時間は修が設定した。美咲紀は覗き込む姿で頷く。
短時間で過熱は終わった。容器は素早く冷蔵庫に入れられた。
「数時間が必要になるが、あとはどうしようか」
「他の卵料理に挑戦するのです! ふわふわの出汁巻き卵やオムレツは外せないのです」
「美咲紀は本当に卵料理が好きなんだな」
「ソウルフードなのです!」
「それは何よりだ。炒め物は早さが勝負になる。フライパンにハンドタオルを広げた状態で乗せて巻く練習が効果的なんだが、そんな時間はないよな」
「お腹が空いてきたので実演あるのみです!」
その言葉の通り、腹部が可愛らしく鳴いた。
修は卵焼き器とフライパンを使って二種類の卵料理を作って見せた。
美咲紀が試食することになった。絶対に譲らないと顔に気迫を漲らせて詰め寄った成果である。
「ふわふわの出汁巻きがお口を幸せにするのです。とろとろのオムレツはバターの香りでお腹もグーと言っているのです」
「同時に食べると味がおかしくならないか」
修の言葉は耳に入っていなかった。箸とスプーンを駆使して夢中になって食べていた。
――メリーさんの出番はなさそうだな。
幸せそうな表情を修はイスに座って眺めていた。
その後、美咲紀の挑戦が始まった。
「焦げるのです! 上手く回らないのです!」
「火力が強い! もう少し抑えて! 手を止めたらダメだ!」
格闘すること数分、出来上がった香ばしい卵料理は二人で分け合って食べた。
「最初はこんなもんだ。徐々に慣れていけばいい。ハンドタオルの練習方法もあるし、地道にやっていくしかない」
「卵料理は一日にしてならず、なのですね」
「大掛かりな話になってきたな」
朗らかに返した修に美咲紀は照れたように笑う。その直後に目を丸くした。
「そうでした!」
突然に立ち上がると美咲紀は廊下に飛び出した。取り残された修は皿に残った卵料理を口にする。
「実に香ばしい」
平らげたところで美咲紀が戻ってきた。楕円形の物を抱えていた。
「テニスのラケットカバーを作ってみたのです。受け取って欲しいのです」
「俺のイニシャル入りか」
「気に入ってくれたら嬉しいのです」
少し歪な形のラケットカバーを受け取る。イニシャルの文字の大きさが不揃いで手作りを主張した。
修は美咲紀に微笑み掛ける。
「ありがとう。大切に使わせて貰うよ」
「あまり上手には作れなかったのです……」
「俺は気に入ったよ。本当にありがとう」
美咲紀はポニーテールを揺らしながら、えへへ、と照れた様子で笑った。
その後、二人で食べたプリンは格別の味となり、笑みが止まらなくなった。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
五月の爽やかな風に吹かれて過ごした一日はいかがでしたでしょうか。
最高の天気に見合う、一日を過ごされたことと思います。
メリーさんは相変わらずで春より団子のようでした。
執筆の時は横殴りの冬が降っていて春を体感することはできなかったのですが、
炬燵の温かさを春に見立ててがんばりました。炬燵、本当にいいですよね。眠気がくるのが困りものですが。
最後になりましたが、シナリオに参加していただき、ありがとうございました。
参加された皆様の心にほっこりと春が感じられれば幸いです。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年01月08日
参加申し込みの期限
2018年01月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年01月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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