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五月の風に吹かれて
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小山内 海
が溌剌とした顔で細い道を突き進む。白いワンピースに黄色いカーディガンを合わせていた。力強い足取りでサイドテールが陽気に弾む。
真後ろには
橘 千歳
がいた。ピンクのニットシャツにチェック柄の赤いスカートを履いていた。ポニーテールが緩やかに左右に揺れる。薄暗い道に警戒しているようだった。
「海ちゃん、こんな寂しいところに何があるの?」
その問いかけに海は笑顔で振り返る。胸に抱いていたスケッチブックを開いて手早く文字を書き込んだ。
『ついてきてね』
「その笑顔なら期待できそうね。海ちゃんに任せるわ」
千歳は朗らかな表情を返した。
入り組んだ細い道の先は暗がりが支配していた。少しの傾斜を物ともしないで二人は一気に抜ける。
「行き止まり?」
千歳が首を傾げると、海がスケッチブックを開いて見せた。
『みぎにみちがあるよ』
書かれた通り、右手には石段があった。中央には古びた手摺が設けられていた。
千歳は顔を上げる。上の方まで続いていた。
「かなり上まであるみたいだけど、この道を行くのよね」
『そう、このうえ。だいじょうぶ?』
「剣道で身体を鍛えているからね。海ちゃんは上までいけた?」
『もちろん』
「それなら私も大丈夫だと思うよ」
力瘤を作るように腕を曲げて見せる。頼もしい姿に海は大きく頷いた。
『あんないはわたしにまかせて。さきにいくね』
海は軽く胸を叩いた。石段に一歩を踏み出した直後、思い出したかのようにスケッチブックに文字を書き込んだ。
『うえにつくまで、したをみないでね』
「道が狭いから余所見すると危ないってこと?」
訊かれた海はやや遅れて適当に頷くと弾むようにして歩き出した。三歩くらい間を空けて千歳が続いた。
海は軽快に上がっていく。石段の欠けたところは避けて通る。風化の影響なのか。細かい砂がやたらと目に付いた。
手摺をしっかりと握り、上体を引き上げるようにして歩いた。
何度も道は折れ曲がり、徐々に空が近くなる。海は手摺を握った姿で足を止めた。両肩が大きく上下する。自然に口が開いて大量の酸素を求めた。
後ろに待機していた千歳が声を掛ける。
「海ちゃん、もう少しペースを落としてもいいと思うよ」
『はりきりすぎたかも』
「今度は私が先に行くよ」
『ありがとう』
「同じペースでいくつもりだから安心して付いてきてね」
千歳が前に出た。先程よりもゆっくりとしたペースを心掛ける。
時間の感覚が希薄になる。石段の終わりが一向に見えて来ない。
千歳は歩きながら僅かに顔を傾けた。先程から海の息遣いが激しい。何度か咳き込む場面もあった。
「少し休んでもいいのよ?」
後ろを振り返らないで立ち止まる。すると背中を軽く押された。海の強い意志であった。
「わかったわ。振り返ることはできないけれど、海ちゃんの息遣いで判断して、休憩を入れるようにするからね」
背中を二度、軽く叩かれた。千歳は頷き、真剣な表情で歩き出す。
風に吹かれた木々の葉擦れの音がする。足元からは砂利の呟きが聞こえてきた。
千歳は耳に意識を集中する。海の息遣いが微かに聞こえる。心配させないように抑えているように思えた。
「あと少しで着くよね」
努めて明るい声を出した。千歳は上目遣いとなる。石段は上の方まで伸びていて先が見えなかった。
二人は黙々と歩く。先頭をいく千歳の額にも汗がじんわりと滲む。さり気なく手の甲で拭った。
「この石段って何段あるの、あ」
愚痴は一瞬で驚きに変わった。千歳は足を速めた。残りの数段を駆け上がる。
遂に石段を踏破した。笑顔が溢れ、瞬く間に表情を曇らせる。
千歳は小さな更地を目にしていた。雑草が茂り、周囲は木々に覆われて余計に狭く見える。
「ここに何が……」
遅れてきた海が千歳の横に並んだ。赤い頬で笑っていた。
「海ちゃん、ここが目的地なのよね。私にはただの空き地に見えるけど」
『うしろをみてもいいよ』
呼吸を整えながらスケッチブックを開いて見せた。
二人は同時に後ろを振り返った。
街の景色が目に飛び込んできた。青い海がいつも以上の大きさで胸に迫ってくる。
千歳は声に出来なかった。目を丸くして階段に腰掛ける。その隣に海が座った。満面の笑みでスケッチブックに文字を書き込む。
『ここにつれてきたかった。とてもおおきくて、しまをちかくにかんじられる。ちとせにやっとみせることができた』
「本当に大きいわ。青い海がどこまでも広がって、言葉なんて必要ないくらいに素敵な場所ね」
『したをみないで、ここまできたからね』
海は感謝の意味を込めて頭を下げた。千歳は相手の肩に手を置いた。視線が合うと、柔らかい笑みで頭を左右に振った。
「海ちゃんが苦しそうだったから、何度も後ろを振り返ろうとしたわ。でも、約束したからね。オルフェウスにならなくて本当によかったわ」
『オルフェウス?』
海はスケッチブックを持った姿で小首を傾げる。
「ギリシャ神話の話にあるのよ。最愛の人を亡くしたオルフェウスが黄泉の国でハデスに掛け合って妻を連れ帰ろうとするのよ。その時の条件が後ろを振り向いてはいけないってことだったのに、不安になって約束を破り、永遠の別れを迎えるのよね」
その話を聞いた海は恥ずかしそうに俯いた。膝に乗せていたスケッチブックに急いで書き込む。
『ちとせが、そのオルフェウスなら、わたしはつまになるね』
軽く押し出すようにして見せた。千歳は目にして大きな身振りで言った。
「そんなことを思っただけで、その、振り返れない辛さの表現よね。でも海ちゃんは大切で可愛いし、一緒に来られたのはよかったと思っているわ、本当に」
『わたしもうれしい。さんにんのひみつのばしょになったね』
「二人ではなくて三人?」
『ふたりの、さいあいのひともしってるから』
海の恥ずかしそうな笑みが千歳にも伝染した。
二人は赤らんだ顔で景色を眺める。
『またこようね。こんどはさんにんで』
スケッチブックに書き込んで、そっと閉じた。
海は千歳の肩に軽く凭れ掛かった。
二人は安らいだ表情で時を過ごす。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
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定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年01月08日
参加申し込みの期限
2018年01月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年01月15日 11時00分
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