深夜激走！　寝子島仮装マラソン大会｜リアクション

深夜激走！　寝子島仮装マラソン大会

「うっ、お腹が……？」
「あらあら、不運なことだあねぇ」

けらけらと笑いながら、骨削瓢が次々と倒れるランナーを抜き去って行く。彼には今、幸運と不運が揃って降りかかっていた。幸運は、ここまでの計略が邪魔なしで進んで来たということ、不運は、ランナー並走型の救護スタッフ、直風満帆がそばを走っていたことであった。
「骨削……まさか……」
倒れたランナーのその言葉を満帆は聞き逃さなかった。
「ちょっと待って！　そこの囚人！」
「待てといわれて待つやつぁいないさね」
囚人服の袖をひらひらさせながら、瓢は走り去っていく。腹を抱えて苦しむランナーを放っていくわけにも行かず、満帆は歯噛みした。かがみ込み、青ざめた人々の容態を見る。
「救護班、直風です！　スタジアム直前の道路で次々と具合の悪くなった人が！　応援お願いします！」
連絡は取ったものの、応援が駆けつけるには時間がかかる。
「なんで!?　どうしたら……」
うろたえる満帆のそばに、一人の少年がやって来た。新撰組の衣装を着ており、これまた顔色が普通でない。瓢に下剤入りのスポーツドリンクを盛られた御剣刀であった。