world wide civilize｜リアクション

world wide civilize

■希望を繋ぐ
　さて、惑星ミサキの話をしましょう。
　思考する花畑こと惑星ミサキは、星を覆い尽くすほどの花々が電波やフェロモンを用いて計算力を高め、惑星規模で思考するようになった巨大な花畑コミュニティです。
　土地不足を起こした彼らは宇宙に種子をいくつも飛ばし、その殆どを死滅させながらも、ごくごく僅かな成功例を重ねることで繁栄を続けていきました。
　結果――環境に対して大きく変化することが可能な彼らは、なにもない惑星に根付いて環境ごと変化させることを得意としたのです。
　そんな彼らが最初に接触したのが、惑星ツクヨミの民、サル人種でした。

　サル人種は勿論、惑星ツクヨミの民も惑星ミトのカエルさんたちも、はじめ惑星ミサキの花々をただの植物だと考えていました。
　まさか花が惑星を覆い尽くして巨大な脳の役割をもっているなんで想像できなかったのです。
　ですが事実として、惑星ミサキの花はごく僅かな量で惑星に繁殖し、その環境を変化させるきわめて便利なものでした。
　しかも惑星のテラフォーミングに利用しはじめると、それを察したかのように航行による持ち運びに適した種へと自主改良をはたすほどです。
　そんな惑星ミサキの花々が、カエルさんのもっていた圧縮水の技術に適合した種を作り出すのは必然と言えたでしょう。
　これによって花の自主航行距離は大幅に増し、より広い宇宙空間に発展するすべを持ちました。
　やがて惑星セリの機械生命体と同じ星に根付くことになるのですが……その時、大きな変化をもたらしました。

　鉱物そのものが思考する惑星セリの機械生命体。
　ネットワークで宇宙規模の思考をする惑星ミサキの花畑。
　この二つが交わった時、とてつもない思考爆発が起きました。
　花畑ネットワークに機械生命体が感応し、機械生命体が花畑を通して巨大な思考ネットワークを築くようになったのです。
　想像できるでしょうか。
　ただでさえ強力な単独思考能力を持った鉱物群体が並列した思考ネットワークを獲得することで、超次元的な思考能力へと進化したのです。
　彼らは空気を振るわせることで歌うというすべを獲得し、歌を切り分けて体系化することで言語を用いることに成功しました。
　花と機械が混じり合い、歌と言葉を生んだのです。
　惑星ツクヨミと惑星ミトの民は驚きましたが、しかし喜びもしました。
　彼らの抱えている問題を明確に理解できるようになったからです。
　こうして、複数の惑星文明による協力体制が生まれました。
　そんな彼らが、新セリ・ミサキネットワークから教えられたのが……超次元思念体フォトンネットワークの存在でした。