world wide civilize｜リアクション

world wide civilize

■ウサギとウサギ、何見て跳ねる
　生き残ることで精一杯だった惑星マシロに宇宙船が墜落してきたことが、思えば全ての始まりでした。

　惑星マシロはきわめて強力なエネルギーの風がふく、生命には過酷な惑星です。
　巨大な植物が虫のように動き回り、他の生命をエサに繁殖の限りを尽くしています。
　そんな世界で生き延びたウサギ獣人は、これからもずっとそんな生活を続けるだろうと考えていました。
　そんなある日のことです。
　空から銀色の物体が飛来してきました。
　真っ赤に燃えて大地に突き刺さり、大陸を支配しかけていた植物を吹き払ってクレーターを作ったのです。
　はじめ、ウサギ獣人たちはそれを植物の一種だと考えました。
　物体が生物にはとても見えませんでしたし、『大きな乗り物に乗って飛ぶ』という概念が無かったからです。
　ですから、その物体――宇宙船からウサギ獣人が現われたとき、たいそう驚きました。

　ウサギ獣人たちは、自分たちを惑星リアの民であると名乗りました。
　惑星マシロのウサギ獣人たちと（比較的）似た容姿をしている彼らは、すぐに友好関係を結びます。互いをマシロ星人・リア星人と呼び合って、交流をもつようになったのです。
　なぜ、そんなに早く仲良くなることができたのでしょうか？
　リア星人は農耕民族でした。一定の土地に定住することのないマシロ星人にとって農耕は斬新な発想でしたし、宇宙開発にかかるまでの技術職はマシロ星人に希望をもたせました。より安全な暮らしを夢見るに充分なものだったのです。
　その一方で、リア星人はもともとこの星にくらしていたマシロ星人をある種神聖視していたのです。
　それは、リア星人の月信仰に関係していました。
　リア星人が宇宙開発を行なったのは、そもそも月への信仰心からでした。

　彼らは月……つまり母星の主要衛星にたどり着くことをずっとずっと夢見ていたのです。遺伝子に刻み込まれてしまうほどに。
　ですから初めて月面着陸した人物は永遠にたたえられましたし、月にみやこを築く計画だって生まれました。
　勿論、月は彼らにとってきわめて大事なものですから、月の環境を大きく変えるテラフォーミングは行ないません。
　お餅のように丸くて白いシェルターを作って、中で暮らす技術を生み出したのです。
　そうしていくうちに、『他にも月はあるのではないか』と考えるようになりました。
　新たなる月の発見に向けて、銀河への旅が始まったのです。

　惑星マシロは、より巨大な星の主要衛星でした。
　植物がところせましと生い茂り光合成を積極的に行なうその星は緑色をしていて、リア星人はこの星を『緑の月』と呼んで観測していたのです。
　そしてなんとかたどり着いてみると緑の月は驚くべき生命が息づき、自分たちと同じような種族が暮らしていたのです。これを神聖視しないはずはありませんでした。
　リア星人とマシロ星人はそれぞれの友好を深め、徐々に一体となっていきます。
　新たな文明――惑星ミトのカエルさんと出会うのは、その先のことでした。