world wide civilize｜リアクション

world wide civilize

■あらたなる文明
　宇宙に広がるフォトンネットワーク。どこにでもあって、どこにもない。超次元存在となった惑星オサムのネットワークは、広い宇宙を探索するうちにある惑星の存在を感知しました。
　新田樹という神が願い、生まれた――惑星イツキです。

　はじめフォトンが観測した限りでは、惑星イツキはとても原始的な生命が息づく星でした。
　浅い海洋、少ない植物、細かく点在する陸地。そして大きく変化し続ける気候。
　そんな惑星の生物は自らの保護とよりより食料獲得のため飛行という手段を早くから獲得しました。
　フォトンの知る限り、惑星ツクヨミのカラス人種に近い進化方法です。
　しかし惑星イツキの独特なところは、翼の色や形による差別や争いが絶えず、星の島々を己が領土と主張しあったことにありました。
　勿論穏やかなコミュニティもありましたが、すぐに攻撃的なコミュニティによって征服をうけることになります。
　特に征服の手を伸ばすのが早かったのが、白い羽根をもつコミュニティ。
　彼らは自らを『天使』と名乗りました。
　それには、とてもとても複雑な理由があったのです。

　惑星オサムのフォトンネットワークの特徴は、時間と空間を超越して宇宙すべてを観測できる代わりに誰からも観測できないことにありました。
　しかしいくつもの惑星を知るうちに接触の方法を模索するようになり、ごくごく希に、自分たちを限定的に観測できる存在が発現することを知りました。
　宇宙開発までした無数の惑星文明の中でも、ほんの一握り。惑星イツキは、その一握りにありました。
　惑星イツキのなかには、フォトンを限定的に観測できる種族が存在したのです。
　フォトンは他文明のもつ様々な技術を教え、時には大洪水や大地震を予告し、惑星イツキの生命を救いました。
　救われた彼らは信仰をもちました。
　種族の中でもごくまれに生まれるフォトン観測者を巫女と呼び、きわめて限定的ながら啓示をもたらすフォトンを神と呼びました。
　そして自らのコミュニティを、天使と呼んだのです。

　天使族はみるみる惑星を支配していきました。
　爆発的に技術の発達した彼らが他のコミュニティを制圧するのは当然のことのようで、もはや誰にも止めることはできませんでした。
　星の制圧をし尽くした彼らは、フォトン（神）の教えに従って今度は平和主義をとなえるようになります。
　厳しい法律を作り、社会を乱す者を徹底的に処罰したのです。
　そんな彼らが宇宙開発の技術を持った時……。

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