放課後何する？｜リアクション

放課後何する？

　放課後、仙藤蒼の足は、自然とゲームセンターへと向かっていた。
　今日は、蒼の素敵な放課後ライフを妨げるものは何もない。
（帰宅部だけど、このまままっすぐ自宅へ帰るって気にもなれないしね）
　こんな時はゲーセンへ行くのに限る！　と、蒼の中では相場が決まっているのだ。
（何か新作の筐体とか入ってないかな？）
　なんて考えているうちに、ゲームセンターの傍まで辿り着いた。
　中学校からここまで真っ直ぐ歩いてきたので、服装は勿論制服姿だ。
（辺りに先生は……よし！　いない！）
　見回りの先生がいないかの確認だって、慣れたもの。
　蒼はいつもの調子で、ゲームセンターの中へと颯爽と足を踏み入れた。
　何をプレイするか悩みながら、店内を見て回る蒼。
「さて、と。格ゲーにするかシューティングにするか音ゲーにするか……あ！」
　蒼の黒曜の双眸が、《それ》を見留めて煌めく。
「最新の筐体！　うん、最初はこれね」
　数多の誘惑に溢れるゲームセンター内でも、その筐体は、蒼には一際眩しく見えた。
　世に出てからまだ間もないその筐体ゲームのジャンルは、シューティングだ。
　闇の世界のハンターとなって魔物を狩るというダークファンタジー風の世界観ながら、
「このガンコントローラー、本格的！」
　と、ジャキン！　と構える銃型コントローラーの感触は、蒼を高揚させた。
「足元のペダルも操作するのね……これでポジション変更、か。成る程」
　初めてプレイするゲームながら、蒼はするすると操作方法を頭に入れていく。
　更に、いざゲームが始まってからも、蒼がコツを掴むのは早かった。
　コンテニューなしで全ステージクリア。おまけに、ハイスコアまで更新だ。
「まあ、こんなものよね」
　達成感に、口元に不敵な笑みが乗る。
　すっかり気を良くして、蒼は「次は格ゲー！」と意気揚々。
（今日は、どんな人と戦えるかな？）
　わくわくしながら何度かプレイしたことのある筐体に並ぶ。
　対戦相手となったのは、大学生くらいの青年だった。
　蒼が操るピンクのチャイナ服を纏った少女の素早く的確な連撃にも、相手の大男は即座に対応してくる。
（このお兄さん、強い！　楽しい！）
　胸を弾ませながら、蒼は一瞬の隙を突いて、戦局を変える一撃を放った。
（ゲーム大会で２位になった実力、思い知らせてあげる！）
　じきに画面へと『ＫＯ』の文字が表示された時――すっくと立っていたのは、チャイナ服の少女の方だった。
「楽しかったよ、ありがとう」
　去り際に、対戦相手の大学生に声をかけられる。
　彼は笑顔だったし、応じた蒼もかんばせには明るい笑みを湛えていた。
（うん、いい試合ができた！）
　さて次はどのゲームをプレイしようかと、蒼は軽やかな足取りで再び店内を行く。
　楽しい時間は、まだまだ終わらない！

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