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- 00月00日生 00歳
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＜月華＞悲しきアイに終止符を
影の貴人・帳の幻影が消えた今も尚、その方向を見つめたまま恵御納 夏朝……の交換人格、夏夜はぐっ、と手を握り締めていた。戦場からみえる人間大の石人形と帳の後に見えた乙女達の幻影。それが脳裏で結びつく。
（呪いの犠牲者たちなら、いろんな年齢の男女がいないとおかしい。……まさか？！）
とある危惧を覚えたとき、既に進軍ははじまろうとしていた。夏夜は思いっきり息を吸って叫ぶ。
「石人形の中に、人が入れられている可能性がある！ だから、防御の時以外は腕や足、関節を狙ったほうがいい！ 胴体や頭を完全に壊すのは避けてくれ！」
「そうか、中に人がいたら壊された事で死んでしまうかもしれない。そうなれば生贄に……ってことか」
夏夜の叫びに呉井 陽太が眼鏡を正しながら頷く。傍らにいたサキリ・デイジーカッターは話を聞きながら僅かに首をかしげた。
「全員女性だったよね。そこから推測するに呪皇への供物にされた少女達の亡霊って線も考えられる。帳の関係者かもしれないね。だったら彼女が呪皇へ忠誠を誓っている理由もこの辺りに考えられそうだけど」
「過去に魔物との戦いで贄として捧げられてきた女性たちの魂の残滓のようにも感じる」
大切な人から引き離された悲しみがあるのだろう、と優木 遥斗が静かに言った。
どっちにしろ、用心に越した事はない。とりあえず石人形の中身については調べる必要がありそうだ。
「仮に人が入っていた場合、救出しないといけないわ。状況によっては怪我や体力の消耗も考えられると思うの」
仙藤 紫は考えながらそういい、自分が請け負う、と付け加えた。
「その懸念は、なるほど、なのです。では。敵の動きを止める物が必要ですね」
椿 美咲紀は夏夜の言葉に何度も頷きながら、自分の知識の中から有効な手立てを探す。
だが、準備の時間は短い。彼女はあることを思いつくと手っ取り早く材料を探し、何かを作り始めた。
（困ったな）
月長石を仕込んだ篭手を装備しながら、遥斗はため息をついた。男女の恋愛問題が絡んでいるように感じた遥斗だったが、そういうことは相当鈍い。その事を自覚し深くため息をついた彼は、ちらり、と空を見た。
（好きになった相手の幸をただ願うだけでは、すまないのだろうか……）
複雑な思いを確かに感じつつ、相手にも自分達が知らない深い事情や不条理な出来事が愛憐の身にあったのだろう、とも考える。そして、帳にも問いかけたい、と。
白鋼は修と話し、帳に挑む者たちの行動も組み込んで編成を行う。
一同は装備を貰い、素早く準備を整えた。
（いよいよか）
天狼族へと変化した御剣 刀は、ふぅぅ、と強めに息を吐いて顔を叩いた。進行方向には、帳が用意した儀式の祭壇があることだろう。
（帳や愛憐の悲しみや苦しみは。分らない。男とか女とか以前に、愛と囲いとか理解できるほど、俺は場数を踏んでいないからな。ただ……）
もやもやとした物が胸にたまる。脳裏に思い浮かんだのは、最初にあった時の出来事。彼女が刀のフツウに手を出しておきながら高みの見物を決めていたときの事だ。
（その時、少しだけあいつの過去だろう映像を見たが……恐らく、あれは、男が帳を裏切った場面だったのだろうな）
流れ込んできた激情は、暫くの間刀の脳裏を揺らしていた。そのキンキンに冷えた鋭い刃を思わせる記憶は帳の心の深くに根付き、未だに憎悪の情を抱かせているのだろう。刀はそう考えた。故に。
（そうならば、俺が彼女に刃を、拳を向ける事はできない）
刀は、ぽん、と己の足に触れた。儀式を行わせない策は既にある。
「限界を超えて動けよ。この世界のために」
刀がそう呟いた時……、凛とした声がそこに響いた。
「時は来た。帳の儀式を止め、呪皇龍愛憐降臨を遅らせるぞ！」
掛け声をかけたのは、新田 亮。彼は月長石の刃を持つ長刀を手に勇ましい声をあげた。
周囲の者たちが答えると、亮は白鋼とこくり、と頷き合う。そして、進むべき方向へと身体を向けた。
「進行せよ、月華・寝子島連合軍！！」
「「おおーっ！！」」
白鋼の号令と共に突撃する。寝子島の住人達と月華世界の住人達は、肩を並べ、儀式阻止を目指す。
こうして、月華世界の命運をかけた戦いが火蓋を切って落とされた。
＊：＊：＊：＊
どんなにあがこうとも、この世界は終わる。
愛憐様の慈悲にすがらないこんな世界なんて……。
男も女も平等に闇に抱かれて眠ればいい。
そうすれば、あの温もりと怒りを忘れられる。
私を苛むあの記憶からも、きっと……。
もう、愛さないし愛されなくてもいい。
あんな思いをするぐらいならば。
それなのに……何故私は、刹弦たちがうらやましいのだろう？
私は……帳は、何故彼らをうらやむのだろうか……。
（呪いの犠牲者たちなら、いろんな年齢の男女がいないとおかしい。……まさか？！）
とある危惧を覚えたとき、既に進軍ははじまろうとしていた。夏夜は思いっきり息を吸って叫ぶ。
「石人形の中に、人が入れられている可能性がある！ だから、防御の時以外は腕や足、関節を狙ったほうがいい！ 胴体や頭を完全に壊すのは避けてくれ！」
「そうか、中に人がいたら壊された事で死んでしまうかもしれない。そうなれば生贄に……ってことか」
夏夜の叫びに呉井 陽太が眼鏡を正しながら頷く。傍らにいたサキリ・デイジーカッターは話を聞きながら僅かに首をかしげた。
「全員女性だったよね。そこから推測するに呪皇への供物にされた少女達の亡霊って線も考えられる。帳の関係者かもしれないね。だったら彼女が呪皇へ忠誠を誓っている理由もこの辺りに考えられそうだけど」
「過去に魔物との戦いで贄として捧げられてきた女性たちの魂の残滓のようにも感じる」
大切な人から引き離された悲しみがあるのだろう、と優木 遥斗が静かに言った。
どっちにしろ、用心に越した事はない。とりあえず石人形の中身については調べる必要がありそうだ。
「仮に人が入っていた場合、救出しないといけないわ。状況によっては怪我や体力の消耗も考えられると思うの」
仙藤 紫は考えながらそういい、自分が請け負う、と付け加えた。
「その懸念は、なるほど、なのです。では。敵の動きを止める物が必要ですね」
椿 美咲紀は夏夜の言葉に何度も頷きながら、自分の知識の中から有効な手立てを探す。
だが、準備の時間は短い。彼女はあることを思いつくと手っ取り早く材料を探し、何かを作り始めた。
（困ったな）
月長石を仕込んだ篭手を装備しながら、遥斗はため息をついた。男女の恋愛問題が絡んでいるように感じた遥斗だったが、そういうことは相当鈍い。その事を自覚し深くため息をついた彼は、ちらり、と空を見た。
（好きになった相手の幸をただ願うだけでは、すまないのだろうか……）
複雑な思いを確かに感じつつ、相手にも自分達が知らない深い事情や不条理な出来事が愛憐の身にあったのだろう、とも考える。そして、帳にも問いかけたい、と。
白鋼は修と話し、帳に挑む者たちの行動も組み込んで編成を行う。
一同は装備を貰い、素早く準備を整えた。
（いよいよか）
天狼族へと変化した御剣 刀は、ふぅぅ、と強めに息を吐いて顔を叩いた。進行方向には、帳が用意した儀式の祭壇があることだろう。
（帳や愛憐の悲しみや苦しみは。分らない。男とか女とか以前に、愛と囲いとか理解できるほど、俺は場数を踏んでいないからな。ただ……）
もやもやとした物が胸にたまる。脳裏に思い浮かんだのは、最初にあった時の出来事。彼女が刀のフツウに手を出しておきながら高みの見物を決めていたときの事だ。
（その時、少しだけあいつの過去だろう映像を見たが……恐らく、あれは、男が帳を裏切った場面だったのだろうな）
流れ込んできた激情は、暫くの間刀の脳裏を揺らしていた。そのキンキンに冷えた鋭い刃を思わせる記憶は帳の心の深くに根付き、未だに憎悪の情を抱かせているのだろう。刀はそう考えた。故に。
（そうならば、俺が彼女に刃を、拳を向ける事はできない）
刀は、ぽん、と己の足に触れた。儀式を行わせない策は既にある。
「限界を超えて動けよ。この世界のために」
刀がそう呟いた時……、凛とした声がそこに響いた。
「時は来た。帳の儀式を止め、呪皇龍愛憐降臨を遅らせるぞ！」
掛け声をかけたのは、新田 亮。彼は月長石の刃を持つ長刀を手に勇ましい声をあげた。
周囲の者たちが答えると、亮は白鋼とこくり、と頷き合う。そして、進むべき方向へと身体を向けた。
「進行せよ、月華・寝子島連合軍！！」
「「おおーっ！！」」
白鋼の号令と共に突撃する。寝子島の住人達と月華世界の住人達は、肩を並べ、儀式阻止を目指す。
こうして、月華世界の命運をかけた戦いが火蓋を切って落とされた。
＊：＊：＊：＊
どんなにあがこうとも、この世界は終わる。
愛憐様の慈悲にすがらないこんな世界なんて……。
男も女も平等に闇に抱かれて眠ればいい。
そうすれば、あの温もりと怒りを忘れられる。
私を苛むあの記憶からも、きっと……。
もう、愛さないし愛されなくてもいい。
あんな思いをするぐらいならば。
それなのに……何故私は、刹弦たちがうらやましいのだろう？
私は……帳は、何故彼らをうらやむのだろうか……。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年04月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年05月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年05月07日 11時00分
