いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな｜リアクション

いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな

　変身。そう叫んだ璃亜の周囲が光に包まれて、着ていた服が消滅する。満天の星空の中に璃亜は放り出され、その中をくるくると回転する。足先から魔法陣の輪が通り、それが通った後には細いハイヒールやフリルとリボンのふんだんに使用されたスカート、ベルト部分にはロザリオ型のポーチが出現した。そして胸から頭へ――璃亜のロングヘアがより艶を増し、さらさらと流れていく。ブレスレットが煌めいて、璃亜の目が開いた。展開された魔法陣――タロットカードの運命の輪によく似たそれが連なっている空間をパリンパリンと通り過ぎ、その最後を破ると光が消え、また背景は荒廃した寝子島に戻る。そこへ璃亜は降り立ち、ポーズを決める。そして、叫んだ。

「魔法少女リア・ザ・タワー参上です！」

　レオンの周囲もまた、ブレスレットを軸に別の空間へ移動したかと錯覚するような効果がかかる。暗闇。そこに何やら判別のつかない光る文様が浮かぶ。レオンの姿は見えない。
　どこにいったのだろう。消えてしまったレオンの代わりに、ロングヘアの少女の輝くシルエットが映った。そのシルエットの周囲に、黒いリボンが現れる。リボンは少女の身体にまとわりつき、衣装に変わっていく。リボンが無くなりかけたころ、その胸元に最後の一端が巻き付くと、宝石に変わる。少女が宝石のような瞳をのぞかせると、光がはじけた。

「黒き魔法少女、Noirちゃん参上！」

　レオンの変身した少女――Noirが、ポーズを決めて口上を述べる。はじけた光からウサギと猫のぬいぐるみが生まれ、少女の足元でおそろいのポーズを決めた。

「悪ーい怪人さんはお仕置きなんだからねっ！」

　――お、おぉ……口が勝手に……！
　レオンはどこか感心しつつ、驚きつつ、恥じらいつつも自らの身体を眺めた。変身前の面影が一ミリもない、小柄な少女の身体。あるものがなく、ないものがある。この姿を見て、レオンとわかる者はいないと思えるほどの変わり具合に、レオンはこのご都合主義に感謝した。
　……しかし。

『ちょっとNoirちゃん、ノリノリじゃないですかー？』

　弾んだレオンの心を見透かすように、ゆかりの声が響く。

「いかなる力も、時の前には敗れ去るのみ！」

　レオンが変身している時、瀬莉もまた変身していた。先程まで着ていた服が光の中で溶け、一糸まとわぬ姿になったかと思えば、刹那、時計をモチーフにした衣装が彼女の身体にまとわりつく。幸いにも普段から似たようなデザインの服を好んで着ている瀬莉に、衣装へ感じる抵抗感はない。その手に長針のようなステッキが握られ、変身を終えた瀬莉は口上を述べる。

「時の魔法少女クロック☆せりぃ　見参！」

　いよいよここに揃った三人の魔法少女。彼女らは、眼前の敵に武器を構えた。