「こ、ここは……?」
葛城 璃人が瞳を開けて最初に見た光景は、暗雲が空を埋め尽くし、割れた石畳、その隙間から生える黒薔薇だった。そして、頭がちくわと化したムキムキの男の身体。Tシャツとジーンズというシンプルな出で立ちが、余計不気味さを増している。
「ちーくわー!!」
「きゃーっ!」
璃人の姿をみとめたちくわ男は、すぐさま璃人の元へ駆けだした! その時! どこからか男が現れてその前に躍り出た! 黒いスーツの上に白衣を着たその男――彼はバリアーをちくわ男の前に張り、璃人へ何やら手渡した。
「可憐なる乙女よ、これを使え!」
その手に載せられた、可愛らしいブレスレット。
「これはいったい……」
「それは変身ブレスレット!」
「そのままですねぇ?」
やや脱力しつつ言う璃人を置いて、白衣の男は語り出す。
「これを腕に着けて決め台詞を叫ぶと魔法少女に変身することが出来る! あの宇宙人に対抗するには、この変身ブレスレットで魔法少女になり、戦うしかない!」
ちくわ男は、白衣の男の長台詞とバリアを前にただ佇むばかりだ。白衣の男は璃人の可愛らしい、小さな手を握って言った。
「頼む……! 変身できるのは……宇宙人を追い払えるのは、君たちのような寝子島の住人だけなんだ!」
白衣の男は真剣そうな顔つきで、じっと璃人を見る。璃人は白衣の男にぐっと頷いて、変身した。
「そういうことなら仕方ないのです! 魔法少女りぃ、行きますよ!」
「はいはーい、MewTubeをご覧の皆さん人生楽しんでますかー! いつも心にエンターテインメント! 空にはUFO! モニターにはこの私! 司会の不知火ゆかりです! 突然ですがSRSNから、新番組をお届けに参りましたー!」
怪人が溢れ、荒廃したシーサイドタウンに突如明るい声が響き渡る。マイクを持った――俗にユニコーンヘアと呼ばれるような奇抜な髪色と、個性的な服装をした――少女が、駅ビルの大型モニターに大きく映し出された。
「題して……『いきなり最終決戦! 寝子島滅亡できるかな』!」
ゆかりの言葉に、
弘明寺 能美子の周囲にいた黒服の男が一斉に歓声を上げ拍手する。
「何なのよそれ。説明しなさいよ」
「そう! 最終決戦ですからこれまで倒してきた怪人も揃い踏みですよー!」
話聞いてんの? 能美子はそう言いたくなったが、モニターの映像にそう言っても仕方がない。呆れたように溜息を吐いた。
街にはちくわ頭の怪人や巨大なセーラー服が舞っている。あんな怪人、倒したことあっただろうか? 能美子は記憶を遡ろうとするが、すぐにゆかりのキンキン響く声が邪魔をした。
「もーっ、SRSN渾身のドキュメンタリー番組ですよぉ。侵略に抗うべく魔法少女になった寝子島の皆さんと宇ちゅ……怪人が戦う姿を撮影し……はわわっ!?」
ぶつり。音を立てて画面はゆかりの姿から『Something is Rotten in the State of Nekojima』と書かれたロゴへ一転する。またゆかりの姿が映し出されるのは、それから暫し経った後。
「失礼しましたっ……と、とにかく! 変身するための道具は黒服が用意してくれますから、戦ってください! 怪人と!」
お世話になっております。六原紀伊です。
ガイドに登場してくださった葛城 璃人様、弘明寺 能美子様、ありがとうございました。
もしご参加されるようでしたら、ガイドの内容に捕らわれず自由にアクションを書いていただければと思います。
概要
いきなり最終決戦。というわけで、寝子島滅亡の危機を救ってください。
本シナリオはSRSNの用意した撮影用の仮想空間での出来事になりますが、参加PCの皆さまは本物の寝子島での出来事だと思わされています。
ですので、本シナリオでPC様の受けた傷等はシナリオ後完治するようになっています。
PCの皆さんは黒服から変身アイテムを手渡され、魔法少女として活躍します。
性別や年齢に関わらず、魔法少女になります。
男性の方は女性の体になるか、男性の身体のまま魔法少女になるか、お選びください。
アクションには『魔法少女としての名前』『必殺技』『決め台詞』『技名』『変身方法』などなど書いていただけると助かります。
また、ガイドでは変身ブレスレットを変身アイテムとしていますが、変身アイテムは各々ご自由に決めて頂けます。変身アイテムがなくても独自の方法で変身出来ます。
悪の魔法少女や、怪人としてアクションをかけることも出来ますが、正義の魔法少女に比べて難易度が高いです。マスタリングも厳しめに行わせていただきます。
もしそういった立場でアクションをかける場合は、正義側でアクションをかける方とのGAを推奨します。
◆SRSN
最近MewTubeに独自のチャンネルを作り活動し始めた謎の組織です。
コンセプトは『いつも心にエンターテインメント』
従業員は殆どが謎の黒服男です。冒頭の白衣の男もSRSN社員です。
◆不知火ゆかり
奇抜な恰好と個性的な服装が特徴の少女。SRSNに雇われているらしい。
魔法少女が負けそうになった時の援助と、モニターから茶々を入れる以上のことはしない。