いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな｜リアクション

いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな

　雷鳴轟く中、樹はロングスカートから閃光弾を、手榴弾を、催涙弾をばらばらと出してそれを投げる。それが修に襲い掛かろうとしていた怪人を爆発四散させた。打ち漏らした敵も催涙弾や閃光弾で動くことが出来ない。そこに、蔦が絡みつく。

「いくよプリンセスフローラ！」
「お任せあれ☆」

　そして動けなくなった敵を、美咲紀の鎌が真っ二つにした。そして力が削がれたのかふらふらと弱々しい姿を見せている強敵――だったものに、修の槍が刺さる。

「いま、収穫の時なのです！」

　刈り取られた敵はこときれてその場にばらばらと倒れ伏した。

「大丈夫、刈りとった後もちゃんと役に立つ姿をソルジャーが当てがってくれるですよ」

　美咲紀が言うと、修が槍を高く掲げ、何やら言祝ぐ。すると、怪人たちの抜け殻は次々と植物の種へ変身し、その場に蒔かれたそれは美しい花を咲かせた。

「撒かれるのは種って訳。死体の処分は手間だしさ」

　修は創造の魔法を使って、美咲紀と樹が斃した敵を花に変えていった。美咲紀と樹がその花の美しさに見惚れかけたその時、空に先程までのUFOよりもはるかに大きなそれが飛来した。

「ソルジャー！　あれを見るのです！」
「ああ！」

　巨大UFOは、ぽわんぽわんと影を集め、怪人を生み出している。樹はその影が集まっている部分――繭とも言うべき場所に狙いを定めた。

「あれを倒せばいいのかな？」
「俺たちは内部からアレを破壊する」
「マジ狩る・冥土、援護してくださいなのです！」

　樹にそう言い残して、二人はその場を駆けて建物の陰に入る。敵の視界から消えたことを確認した修は、美咲紀に耳打ちして建物の陰から陰へ、敵の死角を渡り歩きUFOの下へ入った。修はヘルメス、と名付けた竜を呼び、その背に乗る。美咲紀も、修に倣ってその背に――修の前に――乗った。

「行きましょう！」

　美咲紀が言ったのを合図に、竜は光のような速さでUFOの中へ入りこむ。修と美咲紀がUFOの内部に侵入するのを見届けた樹は、UFOの近くで膨れ上がった繭を睨み、背負っているリュックのスイッチを入れた。

「マジ狩るヘブン！」

　樹が叫ぶと、リュックの中から小型ミサイルが次々と発射され、繭に向かって飛んでいく――。

　一方、UFO内部に侵入した修と美咲紀は、その内部に犇めく怪人を範囲攻撃で殲滅していた。修の描く魔法陣の中に居る怪人が、次々と光の粒になって消えていく。魔法陣の外の敵は、美咲紀によって刈り取られた。刈り取られた敵は、種に変化していく。
　通路を抜け、制御室へ入った修は、そこを守っている軍服風の衣装を着た異形頭の怪人に切りかかられるも、槍で受け流す。美咲紀が他の怪人を蔓で拘束すると、また修は床に魔法陣を描き、敵を光の粒へ変える。無人となった制御室に地響きが鳴る。UFOの悲鳴だ。修は機械を動かして、UFOを海上へ動かし……その行く先を、海の底に設定した。

「日本海溝の底へ落ちていけ。君達の入国は許可しない」

　美咲紀を押し、通路を駆け、修は出口で待っていた竜の背に急いで乗る。二人が脱出したその後で、巨大UFOは水飛沫と爆風を上げ自爆した。竜はひと鳴きして、修と美咲紀をビルの屋上へ降ろす。

「お掃除かーんりょう♪」

　全てを見届けた樹は爆発するUFOの破片と繭の残骸が舞っている様を背に、修と美咲紀には何も言わずに去っていった。その背中を、二人は上からじっと見ている。晴れた空から差し込む夕陽が、彼女を照らしていた。

「ありがとう、マジ狩る・冥土」
「助かったのです」

　夕陽の中、修と美咲紀は顔を見合わせる。そして今立っているビルの屋上から街を見て、取り戻した平和を味わった――。

　その余韻も消えた頃、モニターに映るゆかりが軽薄な声を響かせた。

『可哀想なスタッフさんの処遇はまあ、ここでは置いといて！　次いってみましょー！！』

　その言葉を最後に、場面は移り変わる。