いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな｜リアクション

いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな

◆ルールを破って楽しくインヴェイド！

『一難去ってまた一難！　ありえないことはありえない！　まだまだ侵略者は街をのさばってまーす！』

　画面が切り替わり、先程の晴れやかな様から一転、また暗雲が空を埋め尽くし、怪人とUFOが街を荒らしている光景が映された。駅前の広場の隅、寝子高の制服を着た学生が二人。片方、八神修は黒服――SRSNのスタッフと何か話をしていた。それも終わると、修は怪人の暴挙に顔を向ける。

「不法侵入者には速やかに終わって頂こう。俺達は忙しい身なんだ」

　やれやれ。そういった声が聞こえそうなくらい肩を竦めている修の隣で、椿美咲紀が明るく笑っていた。

「まあまあ、楽しみましょうよー」

　美咲紀は顎に手をやり続ける。

「ふむー。それにしても名は体を表すとはよく言ったものなのです」

　見るからに怪しい姿の、ちくわぶ、はんぺん、大根を顔の代わりに首の上乗せた異形頭の男たちを修と美咲紀は一瞥してから、お互い顔を見合わせた。

「この怪人達を始末すればきっと道が開けるです！」

　そうして、美咲紀は手にある花を掲げる。そうすると場がぱっと光に包まれ、美咲紀はその中でくるくると舞う。透過光と共に、美咲紀の足へ、腰へ、胸へ、肩へ、腕へ、リボンが巻き付いてリボンの大きなキュートなセーラー服になる。胸の中央には花のような形状を持った輝石を湛えたブローチが輝いていた。
光が晴れ、中央に立つ美咲紀。高く掲げた手に花はなく、しかしその代わり天から――美しい花が、花束のように数本絡みついた――ロッドが降ってくる。美咲紀はそれをパシッと取り、ポーズを決めた。

「花と共に戦う乙女、プリンセスフローラ見参なのです！」

　風が舞い、花弁が散る。隣にいた修も、懐から薄型メガネを取り出し、装着して変身する。美咲紀のような派手な演出こそないが、パッと変わったその姿は白を基調とした、軍服風の衣装だ。

　グルルルルゥとどこからか竜がやってきて、修の隣に跪く。

「シュー君はなんて名前なんですか？」
「ソルジャーで良いよ」

　咄嗟に付けたものであるが、そう悪くもない。修はそう思いながら、武器を構えた。しかし、モニターの中のゆかりが困惑したように口を開く。

『え、ちょ、ちょっと、魔法少女っていうコンセプトなんですけど！？　男装ならわかりますけど……身体、男のままですよね！？　スタッフはいったい何をしてたんですか！？』

　すると、場の隅に居た黒服が、何やらジェスチャーでゆかりに何かを伝えようとしている。手の平を天に向けながらも親指と人差し指で丸を作ったり、両手を合わせてぺこぺこと頭を下げたり。とにかく、申し訳なさそうな表情だ。

『……。わかりました、上に報告しておきますから』

　遠い目をしたゆかりの毒舌を聞き流しながら、修と美咲紀の二人は今後の方針を相談している。

「今回の事態、この複数体現れている怪人達の数を減らせば、事態が良い方向へと収束すると見たのですが、どうでしょう？」
「ああ。だがどの敵と戦うかは大事だ」

　修はインタビューに答える何かの専門家のように、手を前にやりながら、美咲紀に諭した。

「ただの消耗戦ではいけない。どう動くかが重要なんだ」

　美咲紀はそれにこくりと頷きながら、ロッドを構えて言う。

「とにかく、敵を１体でも多く始末した方が良いですね」

　美咲紀がロッドを振ると、怪人たちの足元から茨が生え、ぐるぐると巻き付いて拘束する。そこに、修の持っている槍の先端から光線が放たれた。怪人たちは容赦なく焼き尽くされる。