いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな｜リアクション

いきなり最終決戦！　寝子島滅亡できるかな

「え～っとね～……こうやるんだよ」

　マスコット二匹はまたカンペを持ってきた。そこには必殺技の詳細が図解されている。ネコキュア二人が手を繋ぎ、もう片方の手を前へ。その手からは赤と青の光線が太く絡み合い放たれている。名前の部分には『ネコキュアマーブルストリーム』と書かれていて、その隣に『この動作をして技名を叫んでください』と書いてある。

「お互いを思う心が強いほど強くなる技だワン！」

　補足するようにサモエドが言った。

「思いの強さが技の威力を決める……つまり声量がってことなのか」
「……なんでそんな羞恥プレイばっかなんだよ！」

　悠月は少しずれた理解をし、アカリは抗議するも、巨大マイクは近くまで迫ってきている。他に手段があるわけでもない。アカリはそれを自覚して、唸る。

「むー……でも、やるしかねーもんなー……」

　そんなアカリを悠月は一瞥してから、シャチのマスコット……の咥えているカンペを見た。

「これ以上この格好でいたくないしな。さっさと終わらせるぞ」
「言われなくても」

　しっかりと二人は手を繋ぎ、もう片方の手を前へ。確りと足で踏ん張って、高らかに、大きな声で叫ぶ。

「ネコキュアマーブルストリーム！」

　二人の手から赤と青の光線が放たれ、巨大マイクを焼き払った。断末魔が遠くに聞こえて、煙の向こうからぱらぱらと金平糖のように星がこぼれる。悠月とアカリの周囲、どんよりと曇っていた空から光が差し込んだ。煙がもうもうと立ち込めて敵がどうなったのか、二人にはまだわからない。

「……やったか？」

　その煙もやがてすっきり晴れ渡ると、そこに何もいないと見えて、二人とも手を繋いだまま飛び上がって喜んだ。

「……やった！」

　ぴょんぴょん跳ねてから顔を見合わせて、隣にいる相手がライバルと知るや途端二人とも手を繋いでいることが恥ずかしくなってきた。顔を赤くして、強気に言う。

「も、もういいだろ！　離せよ！」
「それはこっちのセリフだ！」

　乱暴に手を離すが、なんだか気まずい雰囲気が流れる。そこを、シュウウーン……と映像が現れて、不知火ゆかりの姿が現れた。

『うんうん、仲良きことは美しきかな！　二人の絆で一件落着ですねー！』

「なっ……！」
「仲良くない」

　否定する二人を無視して、ゆかりは明るい声を響かせる。二人は呆れながら映像を見ていた。

『では次いってみましょー！』

　その言葉を最後に、場面は移り変わる。

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