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早朝、
矢萩 秋
は未だに深い眠りの中にいる。掛布団から右手と右足が食み出していた。枕は蹴飛ばされたのか。壁際で拗ねたように縮こまっていた。
徐に右手が持ち上がる。首筋を掻いて、んあ、と声を漏らした瞬間に目を開けた。気だるげに身を捩じって部屋の時計を眺める。六時を回ろうとしていた。
和菓子屋「萩屋」
の朝は早い。開店前の仕込みは数時間前に行うのが常であった。
「今日は余裕なのよね」
布団の中で伸びをした。甘ったるい声を引き伸ばしたような声が出て、ゆっくりと起き上がる。パジャマに薄手のカーディガンを羽織ると、よし、と目覚めの一言で部屋を出ていった。
手で髪を整えながら調理場に顔を出す。魅惑的な甘い香りに表情が緩み、胸いっぱいに吸い込んだ。
副店長の田中が精力的に動いていた。秋は気さくに声を掛ける。
「おはよう、問題はないみたいね」
「姐御、ではなくて店長、おはようございます。今日は遅番のはずでは?」
「槇に朝食を作ってあげようと思ってね。それで少し餡を分けて貰えると嬉しいんだけど」
「味見という名目で提供しますよ」
田中は少年っぽい笑みを見せた。
「さすがは副店長ね」
秋はガキ大将の面構えで受けて立つ。
矢萩 槇
は部屋にいた。真新しい高校の制服を着て鏡台の前に座っている。鏡に映る表情は真剣で少し大人びて見えた。
「……そろそろ動こうかなぁ」
鏡の中の自分が気弱そうな笑みを浮かべた。傍らの鞄を手にして立ち上がる。天井に届きそうな頭を少し下げた。柔和な顔に戻って腹部を摩る。
「その前に朝ごはんだね!」
元気に腕を振って歩き出す。
「なんか、良い匂いがする」
槇は足を速めた。キッチンに入るとテーブルには料理が用意されていた。
「槇、おはよう。冷めない内に食べてね」
「これってフレンチトーストなのかなぁ」
所定の席に着いた槇は皿を上から覗き込む。
秋は各種の野菜が詰め込まれたボウルをテーブルの中央に置いた。取り分ける皿を配り、向かい合わせの位置に落ち着いた。
「フレンチトーストに白餡と漉し餡をトッピングして、あっさり目のホイップクリームで飾り付けしてみたんだけど、どうかな?」
「大きなケーキみたい。食べてもいい?」
「もちろんよ。ナイフとフォークで切り分けてね」
「いただきます!」
槇はナイフとフォークを手にした。赤い瞳をフレンチトーストに向けてゆらゆらと頭を揺らす。悩みながらもナイフを入れて切り分けた。フォークに突き刺した一部を一口にする。口を動かしながら蕩けるような笑みが零れる。
秋は両手を止めた状態で眺めていた。そわそわした様子で感想を待ち受ける。
「甘くて、柔らかくて、クリーミーな部分が口の中で蕩けて、とっても美味しいね!」
「槇の口に合って良かったわ」
「こんなに美味しかったら誰の口にも合うよ。お店のメニューにあっても不思議じゃないよね」
槇はホイップクリームを口の端に付けて切り分ける。秋は笑ってボウルのサラダを小皿に取り分けた。
「サラダも一緒に食べてね。それと少し顔を前に出して」
言われた槇は口を動かしながら顔を突き出す。秋はテーブルに置かれていた布巾を手にして妹の口元を拭った。
和やかな状態で朝食は進んだ。終わりが見えてきた頃合いで秋が思い付いたように口にした。
「槇、まだクラブは入ってないよね?」
「うん、まだ、だけど」
槇は視線を下げた。皿に付いていた白餡をフォークで集める。
「剣道部に入るなら、剣道具を高校用の物に新調しないとね。買う時には何時でもお姉ちゃんに言ってね」
「……私、剣道部には入らないよ。もう時間だから行くね」
最後の一口を食べ終えた槇は手を合わせて立ち上がる。
「え、槇。なんで……」
引き留める言葉が出て来ない。秋は半開きの口で槇の姿を目で追った。
秋は和菓子屋のショーケースを呆然とした状態で眺めていた。隣で客の対応をしていた副店長の田中が心配そうな目を投げ掛けてきた。無反応は変わらず、まるで見えていなかった。
泣き腫らしたような赤い目が不自然に揺れていた。
――槇は剣道を嫌っていたの? 好きじゃないことを私が押し付けていた? もうお姉ちゃんのこと、好きじゃない? 最初から嫌われていて気付かなかっただけなの?
疑問符が頭の中に溢れた。内部で反響して立ちくらみのように全身が揺れ始める。客の問い掛けも揺らいでいた。
のろのろと動いて注文の品をケースに収めていく。
「あ、あのぉ、和菓子を買いにきたんですけど」
「……あ、ごめんなさい。タルトは洋菓子、ですよね」
言いながら今度はモンブランを入れ始めた。見兼ねた田中が秋の腕を掴み、住居の方に連れていく。
「何があったか知りませんが、今日は休んでください! はっきり言って今の姐御は邪魔です!」
「そうね、私は邪魔よね」
秋は足を引きずるようにして居間へと向かう。
「槇、私は……」
見つけた座布団の上にへたり込む。虚脱した姿でブツブツと呟き始めた。
「……槇に謝らないと……ごめんって言わないと……お姉ちゃんを許して……槇、大好きな槇ちゃん、極上の甘い蜜、妹二ウムを……私から奪わないで……」
槇はそわそわとした態度で授業を受けた。教科書は開いている。黒板に書かれた文字は余さず、ノートに書き写した。
それでいて問題を当てられると困ったような表情で笑った。
「よく問題を聞いていませんでした」
「聞いていたよな?」
国語教師が怪訝な顔で歩いてきた。ノートを見て更に不信感を募らせる。
「授業態度に問題はないが」
教師は踵を返す。教壇に立つと代わりの者に問題を当てた。
ほっとしたのも束の間、槇は落ち着きのない態度に戻っていった。
――私もクラブのことは打ち明けるつもりだったんだけど、今日はないよ~。心の準備ができてないのに。急に話を振るから強引に切っちゃった。秋お姉ちゃん、絶対に誤解してるよ~。
シャープペンシルの先をノートに小刻みに打ち付ける。澱んだ心に一陣の風を求めて目が横手の窓へと向かう。
空は青一色で覆われていた。その青さが目から取り込まれ、心の中に沁み渡っていく。
――中学校の時から決めていた。当時の先生にも相談したよね。兼部なんて中途半端なことはしたくない。お姉ちゃんと話し合って説得するって。
あの時
に覚悟を決めたんだよ。
「……今日だよ」
静かに固い決意を口にした。
放課後を迎えた。槇は真っ先に教室を飛び出していった。
髪を風に膨らませて走る。自身が疾風と化した。まるで強い風圧を受けたかのように人々が道を開ける。
数分で店舗兼自宅に着いた。勝手口から中へと入り、槇は大股で歩いた。店舗を覗いたあと、居間へと向かった。
項垂れた姿の秋が座布団に座っていた。槇は向き合う形で正座をした。
「秋お姉ちゃん」
呼び掛けると顔を上げた。泣きそうな表情で笑う。口を開き掛けた瞬間、槇が口を挟んだ。
「私に先に言わせて」
「そうね、いいわ。お姉ちゃんに何でも言ってみて」
「私、剣道は好きなんだけど、手品はもっと好きなの。だから高校で奇術部を立ち上げて部活を楽しみたいの」
「本気なのね」
秋は静かな声音で問う。
「本気だよ。期待に応えられなくて……その、相談しないで勝手に決めて、ごめんなさい」
「謝る必要はないわ。妹の意思を尊重しない姉なんていないのよ。もっと胸を張って。自信をもって進めばいいの。倒れそうになったらお姉ちゃんが支えてあげる」
「秋お姉ちゃん、ありがとう。本当に、嬉しいよ……」
槇は大粒の涙を零した。秋は笑って頭を抱き寄せる。
「奇術部、良いと思うわ。手品と言えば、あれよね。トランプの束から一枚を引いて元に戻し、投げ上げた状態から剣で突き刺して当てる。名前は知らないけど似合いそう。槇の動体視力なら五枚くらいをパパッと串刺しに出来そうよね」
「あのぉ、秋お姉ちゃん。それは手品じゃないと思うんだけど」
泣きやんだ槇が顔を上げた。秋はきょとんとした表情で、そうなの? と聞き返す。
「そうだよ~」
「そうなのね」
二人の姉妹は顔を見合わせて朗らかに笑った。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年11月02日
参加申し込みの期限
2017年11月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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