ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～｜リアクション

ラブ☆部活＆同好会～運動部の春～

【陸上部(3)―インターバルトレーニング―】

　楢木春彦は、モトクロスが好きだった。
　陸上部も、モトクロスに必要な体力や持久力をつけるために参加したのがそもそものきっかけだ。
「へー、モトクロスですかー。ああいうのカッコいいですよねー！」
「だろ！　お前、わかってるじゃん！」
　大好きなモトクロスを褒められて、春彦は自分のことのように無邪気に喜ぶ。
「……で、やっぱりモトクロスに大事な持久力を鍛えるためにもっと陸上部を活動したいんだケド……」
　やはりがむしゃらに走っているだけでは、効率良く鍛えることができない。
「……マラソンも普段からやってはいるケド、イマイチ効率が上がらないんだよなー」
　そこで、春彦は陸上部顧問の浅井幸太に相談してみることにした。
「というわけで、浅井先生、なんかいい方法ないっすかねー？」
「持久力を効率よく上げる方法？」
　春彦の質問に、浅井は親身になって考え込み――
「……そうだな。それならば、インターバルトレーニングはどうだ？」
　と言った。
「インターバルトレーニング？」
　春彦が耳慣れぬ言葉に目を瞬かせる。
「そうだ。インターバルトレーニングは、その名の通り、高負荷と低負荷を交互に繰り返すトレーニング方法だ」
「……こ、高負荷と低負荷？」
　いきなり出てきた小難しそうな単語に、少し春彦は気遅れしてしまう。
「難しく考える必要はない。もうロードで身体は温まってるな？　じゃあ、実際にやってみよう」
　そう言った浅井に連れ出されて、春彦は学校近くの急坂までやってくる。
「その坂を下るときは全力で走って、平地ではジョギング程度で走る。全力の坂道ダッシュの間にゆっくりとしたジョギングを挟むわけだな」
「……なるほど。坂を走ったり、歩いたり、また走ったり……結構キツいっすね」
「はは。だろ？　けど、キツいってことはそれだけ負荷がかかってるってことだ。身体は負荷をかければかけたぶんだけ強くなるんだ」
　童顔の浅井だが、そう言って説明してくれる姿はまぎれもなく頼りがいのある体育教師であるように春彦には思えた。
「よし。次は２００ｍ全力疾走して、来た道をジョギングで帰ってくるんだ」
「……う、うっす！」
　いつになくスパルタな浅井に、春彦は必死で食らいついていく。
（……これ、、マジ、きっつ……これ、あとでしっかり筋肉ほぐさねぇとヤベぇな……）
　久方ぶりのハードトレーニングに、思わず内心でそう呟く春彦なのだった。