復讐のノーズグラス！　～眼鏡は俺の敵～｜リアクション

復讐のノーズグラス！　～眼鏡は俺の敵～

●目覚めし者

　燦々と降り注ぐ太陽が「彼」の眠りを妨げる。
（おいおいよしてくれよ。そんなに熱烈なアプローチを受けたら応えない訳にはいかないだろう？）
　降り注ぐ日光に負け、真っ白なベッドから起き上がってブロンドの髪をかき上げる。
　ここは保健室。
　「彼」にとってはいつもの休憩所である。
　どうやら辺りには「彼」以外、誰もいないようだ。
「目覚めに美人の顔がみられないのは残念だ。……ん？」
　部屋の外から騒々しい音が響いてくる。そいつは乱暴にドアを開けると、一人の女性が担ぎ込んできた。
「一体どうしたんだ？」
「委員長が気絶されたんですよー。それで保健室で休まさせて頂こうと……鷲尾先生は？」
「生憎、この城の主は風とデート中みたいだぜ」
「え、そ、そうですか……どうします、五月さん」
「まあとりあえず寝かせましょう」
　そういって、彼女たちは北風貴子をベッドに寝かせた。
　しかし彼女の顔には随分似つかわしくないアイテムがあるじゃあないか！
「叫び声が聞こえたと思ったらこういう状態でして……自分の鼻眼鏡姿に衝撃を受けたって目撃情報もあるみたいですねー」
「気絶する程のショックを受けるなんてな……酷いことをしやがる」
　「彼」は委員長の顔から鼻眼鏡を取ってやると、それを自分の顔に装着する。
　問題無い……「彼」的には。
「彼」の視力は良い方だが、とにかく「彼」の視界はハッキリしていた。
「あ、あのー……どちらに？」
「犯人を探しに行くのさ」
　知人が酷い目に遭わされた。「彼」が怒るには十分すぎる理由だ。
「そこの委員長に言っておいてくれ。『素顔を見れたのは役得だ』……ってな」
　振り返る代わりに片手を上げ、「彼」は保健室から出る。
　（さあて……これから忙しくなりそうだ）

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