さぁ走ろう！｜リアクション

さぁ走ろう！

夜。御剣刀はいつものように寝子島神社の境内で修行をしている。
静かな空間に刀の足音や鼓動だけが響いている。

刀の剣術にとって「大地を踏みしめて蹴る」事で生まれる瞬発的なエネルギーは大切な要素の１つ。
それを今よりも強く、多く生み出すには瞬発力が重要になる。
だから今、それを鍛えるために短距離ダッシュを繰り返している。

大地を足の指で掴むように踏みしめ、それを思いっきり遠くへ放り投げるようなイメージで蹴る。
それで生まれるエネルギーを前に進む力に変えて、速く、ただ速く目標地点にたどり着こうとする。
そしてたどり着いたらすぐに反対側、さっきのスタート地点に向かって走り出す。

息が苦しい。
大地を踏みしめて前へ進み、目標地点で折り返すたびに脚が軋むし、身体が疲労で重くなる。
だけど楽しい。
自分が速く動いていると感じるし、これ以上速くなれると思って身体を動かせる。
それが楽しくて楽しくてたまらない。

月の浮かぶ星空の下、ただただ走ることを繰り返す。
どのくらいの時間走っているのか、何回往復したのか、もう分からないほど続けている。

流れる汗が走る風を受けて冷えていく。
その汗が身体を冷やしていくんだけど、
走ることで生まれている身体の熱がそれを飲み込み、まだ足りないと汗を流していく。
それを想像するだけで楽しくなっていく。

（これがランナーズハイって奴か？）

変な調子になってきた自覚はあった。
けれど今日は剣を振るうのを止めて、この勢いのまま走れなくなるまで走り続けよう。
刀はそう思って、脚に力を込めた。

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