さぁ走ろう！｜リアクション

さぁ走ろう！

響蒼留人は晴れた空の下、桜花寮の近くで準備運動を始める。
彼はまだ寝子島に来たばかりで、寮と学校の往復で日々が過ぎている。

「これでは体力的に遠くから通学してる生徒に遅れを取ってしまうな」

そう感じた蒼留人は道を覚えがてらトレーニングをすることに。
それに寝子島にはもっと面白いところがありそうなのに、寮と学校しか行かないのはもったいない。
走ろうと思った動機にはそういう面もあった。
息が上がらないように。あくまでマイペースで走ることを心がける。

「旧市街と星ヶ丘があるらしいが、今日は旧市街のほうにするかな？」

旧市街は寝子島の東側、星ヶ丘は西側に位置している。
さすがに両方に向かうのは難しいので、今日は旧市街の方向へ。
目的地も決まったところで、いよいよ走りだす。
寝子島中学校と小学校の前を通り過ぎ、猫又川を渡って旧市街に入った。

周囲を見渡すとレトロな街並みが広がっている。
雰囲気もどことなく落ち着いている印象がある。
その空気を楽しみながら、蒼留人はさらに走り続ける。
すると賑やかな場所に出た。飲食店や時計店などが立ち並ぶ。

道行く人に尋ねてみると、ここは参道商店街と呼ばれていて、
旧市街のなかで有名な場所だという。

休憩も兼ねて、蒼留人は商店街のなかをゆっくり歩く。
シーサイドタウンとは色合いの違う景色を楽しみつつ、簡単な食事を済ませる。

「やっぱりこの島は面白いな」

寮と学校近辺だけで過ごすにはもったいない。
その感覚は間違っていなかったと蒼留人は思った。

「今度は星ヶ丘のほうに行ってみたい」

きっとシーサイドタウンとも旧市街とも違う景色が広がっているだろう。
楽しみが増えたことを喜びつつ、蒼留人は寮のほうへ向かって走り出した。

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