何色バスタイム｜リアクション

何色バスタイム

ビャクダンなひととき

■ビャクダンなひととき

　ピコピコピコ……ちゃっちゃらー♪
　セーブ完了音が響いたところで何気なく時計を見上げた色違いの双眸が、微かに見開かれた。

「ありゃっ、もうこんな時間。キリもいいしそろそろお風呂に入らないと」

　夢中になっていたゲームの電源を落として、着替え一式を手に白真白はいそいそと自宅の浴室へ向かった。
　――　わぁぁ……大分しちゃってるなー……こんなになるまで気が付かなかったなんて。
　衣服を脱いで、下着の代わりに肌を覆っているおむつを破りながら、どれだけ夢中だったのだろうと真白は自身へと苦笑いを漏らす。
　最近のはどんどん性能が良くなって、吸水量上がってくれてるのは良いのだけれど。
　さすがに長時間付けているとムレていたことが、取り払った瞬間直接肌に感じる空気からよく分かった。
　真白にとってもうこれは日課。
　手際よく丸めてテープで固定し専用のごみ箱に入れて、何でもないように浴室へ入っていった。

　湯船に浸かる前に、汗を流すためのかけ湯で濡れた真白の身体は、一見するとちょっぴり、いや、大分平均身長より小柄なだけで至って健康体である。
　今にも零れんばかりの大きな桃色を両胸に携え、すべすべと肌触りの良い素肌はむしろ人によっては羨むところであろう。
　真白自身も、障害残る身体を後ろ向きになど意識していないため、未だ周囲には知られていないまま日々楽しく過ごせているのだ。

「泡あわ～っと……うん、このスポンジ良く泡立つかもー♪」

　足先から順に上に登っていくように洗い始める。
　普段密着していて見えない部分、たわわに実った谷間は常に汗を残す所なので念入りに。
　大切に伸ばしている長い髪は、頭皮を洗った後一房一房手にとっては丁寧に毛先まで。

「よしっと。えーと、今日はゆずの香りにしようかな！」

　全身磨き終えたら、数種類ある入浴剤から一つを選んで浴槽にぽちゃり。
　透明色が春の陽射し色に変わった湯の中へ、体を浸からせた。

「はふぅ～、生き返る～」

　一般家庭平均サイズのバスタブであるが、小柄な真白には足をぴんと伸ばしても余る広さで。
　気持ちよさそうに目一杯伸びをして、ふと自身の、ぷかぷかとお湯に浮かぶ肌色果実二つを見つめた。
　――　そういえば身体測定の時に分かったんだけど、また胸がおっきくなってたんだよねぇ……。
　おかしい。春先に新しいブラを買った気がするのに。
　それからまだそれほど月日は経過していないような。
　一体自分の胸はどこまで成長期なのか……。
　――　胸よりも身長の方が伸びてほしいんだけどなぁ。
　ただでさえ、どんどんサイズが見つかりにくくなっているというのに。
　身長もこの間改めて思った。レジャー施設でアトラクションなどがあるところは、身長が無いと楽しめないのだと。
　高校生にして身長制限に引っかかる自分に、は～、と大きく息を吐いてはぼーっと天井を見上げた。
　でも、こういう時間っていいよねぇ。
　ちょっとした悩みも、お湯が包んでくれて心まで温めてくれている感じがする。
　
　存分にぽや～っとお風呂を堪能すれば、真白はようやく湯から上がった。
　湯冷めしないよう、しっかりとタオルで拭いてから、新しいおむつをあてて寝巻のベビードールに身を包む。
　毛先は傷めないようにタオルで挟んで、叩くようにぽんぽんと水気を取ってからドライヤーに手をかけた。
　――　これがまたすっごく時間かかるんだよね。
　長い髪は、洗うだけでなく乾かすのも一苦労。
　それでも真白は、億劫そうな顔一つせず熱風をあてれば、手で梳くようにしてさらさら流れる髪へと仕上げていく。
　ん、良いお風呂だった♪
　明日の朝入る時用のおむつを事前にセットしてから、ひらりベビードールのフリルをひらめかせ自室へと戻るのであった。