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<終章>いぬねこの国
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倒れたいぬねこたちは、寝子島からのいぬねこも手伝い、まだ広い一階の方へ運搬された。
作業が一段落し、場違いなのが分かっていても皆が息をつく。
しかし数は大分減ったが、説得が必要な存在がいる事には変わらない。
斉田 珠喪
が引き続いて、速筆ながらも読むに困らない極めの速さで、本に筆記具を滑らせる用意をする。
どのような結末となろうと『この会談を形として残し新たなる道標を作る』その思いを己に課して。
そして
恵御納 夏朝
は、ついに踏み切るように話題を切り出した。
「ごめん……大事な事、言います。
2人にも、会側にも……
合ってる所と、間違ってる所がある」
残った会長といぬきち、そしてニ、三匹程度にまで減った会側のいぬねこ達が一斉にざわめいた。
対照的に、かつて一番偉いとされたいぬねこ達は、己の非すら『当然』と言わんばかりに沈黙した。
「ニ人は『民を傷つけたくない』事は合ってる。
でも……
『会の人達を納得させずに交流を分断し続ける』のは間違い。
ここを変えないと、状況は解決しないと思う」
言葉を返すことの無い、いぬとねこの施政者。そこには肯定はなく、かといって反論も無い。
そこに夏朝は、最初皆でこの世界に来て目にした映像時とは、その二匹の様子は明らかに異なっている事に気がついた。
「(皆の説得の結果……? でも、)」
夏朝は、その違和感に僅かに不安に思いながら、今度は中立共存の会の方へと向き直る。
「会側は、
『互いに仲良くなりたい』事は合ってる。
でも……
『誰かを犠牲にしてでも仲良くなる』のは違う。
……他のいぬねこ達が、悲しむ」
「他のいぬねこなんていないわん! きっと皆喜んでくれるわん!
犬のしょうぐんと、ねこの王さまがおかしいんだわん! 何でもかんでも一匹で決めてきて! おかしいんだわん!」
いぬきちの言葉にも、二匹は反論しない。
夏朝は、そこまで来てやっとその違和感を理解した。
その二匹は、恐らく昨日の一日で、自分の取るべき思案と、相手の思考を完全に把握している。今、何も言わないのはその為だ。
でも、それは多分──諦めと自己犠牲でできている。
夏朝から、一気に血の気が引いた。『それは良くない』と、何としてでも言わなくてはならない。
夏朝が、何とか次の言葉をと、急ぎ慌てて口にしようとした時。
その合間を静かに埋めるように、
日暮 ねむる
が会のいぬねこ達に尋ね掛けた。
「まず一つ聞きたいんだけど、君らの目的は王さまとしょうぐんを失脚させ二つの種族が共存できる国を作りたいんだよね」
こくこくと、いぬきちと会長が頷く。
「──具体的にどうやって作るのかな、政治に詳しい方は?」
頷いていた二匹の首が途中で止まった。
狼狽えた先、その視線が会長へと一斉に向けられる。
「わ、私はそんなに詳しくないにゃっ、ただ皆が一緒に暮らせる国がほしくて……!
いぬきちがきっと補佐してくれるにゃ!」
「自分も政治なんてからっきしだわんっ! だけれども、政治なんて皆はじめは素人だわん、なってから皆で勉強すればいいんだわん!」
「なるほど──例えば」
政治心のまるでない事が露呈し、動揺が隠せない中立共存の会のいぬねこたちに、穏やかだがねむるが更なる追い打ちを掛ける。
「君らが力ずくで将軍様を今捕らえているように、王になれば彼と同じ目に自分達が遭う可能性だってあり得る。
改めて確認するけど、全ての民の願い・喜び・怒り・悲しみを背負う。王になる覚悟が君らにはあるのかい?」
ざわめいていた一同はこれで完全に沈黙した。
そんなものある訳がない。平和に生きてきたいぬねこ達にそんな心の耐性など無い。
しかも、先程聞かされたことが事実であるのなら、王達はそんな恐ろしい事が一体どうして出来たのだろう。
答えを求め二匹のトップの間を右往左往するいぬねこ達の視線に、二匹は目を閉じそれを拒否した。
今、この場において『いぬとねこの中立共存を目指す会』は、完全に目指していた言葉通りに、己達の頂点だった存在を封じることに成功していた。
だがそれが、本当に望んでいた事態であったかどうかは別として。
「今、あそこには時空を割る塔がある」
八神 修
が指差した先には、いぬねこたちが好機として使っても、その正体までは見て見ぬ振りをしてきた星幽塔があった。
「あの中には、正確にはこの世界の外には別の国がある。
雪崩や炎で村を飲むほどの竜もいるし、形だけでは無い、完璧に訓練された軍もある。
そんな状況下で、いぬねこが争っていて良いと思うか?」
修が、敢えて少し厳しい口調で言えば、そこには新しく恐ろしい異界があるのだと、いぬきちも会長も交えて、会のいぬねこ達は更に例外なく震え上がった。
代わりに、いぬとねこのトップ二匹が、その言葉に先程まで閉じていた瞳に僅かに剣呑な眼差しを交えて、天空の星幽塔を見やっている。
「──もちろん、基本は皆平和だから、急にその心配は無い。
だが、考えてほしいんだ。
何が今、国と民には必要か。
皆が楽しく暮らすには。
この場全てのこの世界のいぬねこ達に」
「でも、でも。それが間違っていたら大変なことになってしまうにゃ~……」
皆でそわそわし始めるいぬねこ達。
その視線は会のいぬねこでありながら、既にいぬきちと会長にではなく、いぬとねこのトップの方へと向けられている。
「……我々は発言すべきではないだろうワン。発言すれば、お前達の望む世界のそれではなくなってしまうであろうワン」
救いを求める目を受けた犬のしょうぐんは、それをゆっくりとした言葉で拒絶した。
「トワは~。
間違えたとしても、それで良いと思うマス!」
代わりに弾けるように空気を破ったのは
トワ・E・ライトフェロゥ
だった。
「少なくてもトワはそう思うマス。
犬のしょうぐんも、中立共存の会も、なにか間違ってるという負い目は感じず胸を張って良いのデス。
だから、こんなギスギスせずに、仲良く喧嘩するデス!」
仲良く喧嘩する──その言葉に、言葉を閉じた犬のしょうぐんが予想外を示してトワを見る。
「トワとカエデはー、
考え方も価値観も違うデスケド共存してるマス。
共存のお手本は此処にあるのデス!」
トワが大きく胸を張る。代わりに楓が、神の言葉とばかりにそれを有難く聞いているいぬねこから向けられた目線に、眼鏡を掛けた顔を僅かに揺るがせて、そのまま伏せる。
「いぬもねこも昔はしてたし、出来るんじゃないデスカネー。
何が正解で何が間違いかは、その後の行動で『正解』にしてゆくのデス!」
「……娘、
誰もが、同じように強くは生きられニャい。その強さを同じく他者に求めるのは酷というものニャ」
ねこの王さまが、トワへと宥めるように声を掛ける。
「うがー! これだから『ダメオトナ』はダメなのデス!!」
理不尽極まりない。納得できるはずも無く、トワが更にねこの王さまにくってかかろうとした瞬間に、ようやく言葉を見つけた夏朝がそれらを諭すようにそれに触れた。
「王さまとしょうぐんさまは、
あきらめないで」
ぴくり、と。いぬとねこの二匹が、触れられたくない心の糸に触れたかのように夏朝に目を向けた。
いぬとねこの姿をしていても二人の施政者である存在の視線に、一瞬息を呑みかけるが、夏朝は無理を圧すように声を上げた。
「怖いけど、何度でも言うよ。
あきらめないで。
王さまとしょうぐんさまは、民と二人自身の為に……
解放されたら、もう一度、民を試してほしいと思うんだ」
同時に、夏朝は既に一塊になっていた中立共存の会のいぬねこへと伝える。
「いぬねこは、いぬねこの為に……
力ずくでなくたって、仲良くなれるんだよって事を、二人に見せてほしい」
その言葉にねむるが重ねて口にする。
「僕はね、二つの民が共存したいという思いは素敵だと思うんだ。だからこそ今改めて二つの国の主に君達の思いを君たちの言葉で届けるべきだと思うんだ。力になんて頼るべきではない、そうだろ」
「でも、でも……今まで聞いてくれなかったし……」
恐怖に完全に骨抜きにされたいぬきちと会長を交えて、そわそわする中立共存の会のいぬとねこ達。
いぬとねこの施政者は、反応しない。
「………………」
「再度、危機が起これば…結界張り直しもやむを得ない。
けど……その前に、どうか……!」
夏朝はその二匹が驚く程に頭を深く下げ、その切なる願いを、擦れる程に力を入れた声で伝え上げた。
「皆や僕の提案を、君達の為に聞き入れて……!」
強すぎるまでの願望の言の葉。トップを含むいぬねこ達全員が、その言葉に己を振り返った。
そこまで言わしめた言葉──それは誰が悪かったのか。己なのか。だとすれば、何を誰をどうすれば。
誰も正しいとは言い兼ねる状況で、その場の当事者達は完全に対話を続ける切っ掛けを無くした。
いつかは、誰かが話し始めるだろう。しかし、それはあまりにも先と思われた中。
状況をじっと見つめ続けて来た
大天使 天吏
がゆっくりと口を開いた。
「私……人間はこの問題に首を突っ込む気はないわ、
でも、人間ではできなくてもいぬねこさん達になら出来ることがある。それを伝えたくて」
「──」
お喋りでもあるいぬねこ達全員がその言葉に一匹残らず耳を傾けた。いぬとねこのトップも、露骨ではないが言葉を拾うべく耳を向ける。
まさに、その言葉に救いを求めるように。
「過去──私達も争い、隔絶した事がありました。
その度にもう喧嘩はやめよう、和解しよう、仲良く。
そんな感情をもって争いをやめた。
でも結局すぐに忘れ去られ争いが起きた。前向きな言葉なんて所詮誰の心を繋ぎとめることもできない」
ねこの王さまは、それに
ブリジット・アーチャー
の言葉を思い出していた。
そしてすぐに理解する。あれはやはり『個人』という世界であり。恐らく今は、どちらが尊ばしいかではない、同列では語れない『人間』という種の世界の話であることを。
「私達は喧嘩をした、…それを”恥じる”こと。
恥ずかしいから次はこうしない。
人間は恥じることを知らず目を背けて生きてきた生き物」
己の種族、ひいては己のことをあまりにも承知した上であることが伝わる重み。
そうして。静謐に、説くように語った天吏は、願いを込めて締め括った。
「でも、いぬさん、ねこさん。
今のあなた達の状態は……恥じるべきもの。
どうか目を逸らさないで、考えて」
己でもある人間を完全に見限り。その誠実さをいぬとねこに求めた天吏の心境を、覗き見る者は今この場にはいなかったが。
それでも、伝わってきた真摯な思い。
──この状況に受けた数多の感情の数々に。応えない訳がなかった。応えない理由がなかった。
「あきらめに、恥、か……思えばそこまで意固地になりすぎていたとは、考えなかったワン」
己を振り返るように、犬のしょうぐんが言葉を落とす。
「だが、もうここまで来ては、流石の我も威厳も何も、これっぽちも残っていないワン」
「……言われた通り、子供扱いの時期は過ぎたのニャろう。
民がこれからの有り様を自分で考え始めたと言うのニャらば、それは尊重するニャ。
しかし、それで丸投げをするわけにもいかニャいというのなら……」
ねこの王さまと、すっかり足を寛げた犬のしょうぐんが、しばしお互いの目を見合わせてから同時に口を開いた。
「「できることは──きちんと話を聞いて『対等・それ以上として』応えることくらいだニャ・ワン」」
今まで、話すらまともに聞いてもらえなかった。
しかし、今。その存在が、自分達の意見と存在を、この上ない現実的な形で認めてくれると言った。
それは時の止まった『王』達の決断と、『いぬとねこの中立共存を目指す会』の努力が、明確な形となった瞬間だった──
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月21日
参加申し込みの期限
2017年10月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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